2012年03月の記事
15m津波、切迫性否定的だった…東電元副社長
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国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(黒川清委員長)は28日、原発事故直後に首相官邸に詰めていた東電の武黒一郎元副社長(現フェロー)を参考人として呼び、聴取を行った。
武黒氏は東日本大震災前の2008年に開かれた東電社内の会議で、福島第一原発付近で想定される津波に関して「何通りもある中で、一番高い数字は15メートル」と試算していたことを明らかにした。
だが、結果的に東電が冷却用設備の津波対策について「最大5・7メートル、その後6・1メートル」と想定したことについて、武黒氏は「実際に(15メートル級の)津波が来る切迫性について、(自分も東電も)否定的だった」と釈明した。
(2012年3月29日10時51分 読売新聞)
2012年04月の記事
2012年05月の記事
菅氏、何度も「チェルノブイリに」海江田氏証言
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海江田万里元経済産業相(民主党衆院議員)を参考人招致して17日に開かれた国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」での主なやりとりは次の通り。
◆事故当時の状況
――地震発生当時の対応は。
海江田氏 地震当時は参院の委員会にいた。官邸の災害対策本部に出席して役所に戻り、事故対応(の会議)を行った。原子力災害対策特別措置法15条の事象になると、首相が本部長の(原子力災害対策)本部を設置しなければならないので、官邸に飛んで行き(当時の菅首相に)事情を説明した。
――首相にどう説明したのか。
海江田氏 本部を作って下さいと申し上げた。「どこに根拠があるか」と(菅氏に)聞かれ、みんなでどこだどこだという作業に入った。「チェルノブイリのようになる」と、チェルノブイリという言葉が2、3回首相の口から出たと記憶している。
――もっと早く宣言を出し、国が動ける態勢は取れなかったのか。なぜ時間がかかったか。
海江田氏 まさにご指摘の通りだ。首相の理解を得るのに時間がかかったということだ。
(2012年5月18日08時43分 読売新聞)
政府の避難指示、頭越しだった…福島知事が批判
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東京電力の福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)は29日、福島市で、佐藤雄平福島県知事から参考人聴取した。
佐藤氏は、事故直後に原発周辺の住民に対して出された政府の避難指示について、「事前に連絡もなく、根拠も示されず、矢継ぎ早に出された。本当に頭越しだった」と述べ、批判した。
佐藤氏の聴取は、約2時間、公開で行われた。
佐藤氏は、政府が出した原子力緊急事態宣言について、「訓練では、発電所からの緊急通報を受けて、政府は約30分後に緊急事態宣言を出すことになっていた。しかし、今回は東電からの連絡後、約2時間半経過しての宣言で、県に連絡が届いたのは、その1時間後だった」と述べ、政府の対応に問題があったとの認識を示した。
(2012年5月29日21時21分 読売新聞)
馬淵元首相補佐官を非公開聴取…国会事故調
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東京電力の福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)は31日午前、事故直後に首相補佐官を務めた馬淵澄夫元国土交通相から非公開で参考人聴取した。
馬淵氏は、事故発生から15日後の昨年3月26日に首相補佐官に就任。6月27日まで、同原発4号機の使用済み核燃料プールの耐震補強や放射性物質の拡散防止策などを担当した。
聴取は国会内で約2時間10分行われ、馬淵氏は聴取後、記者団の取材に応じた。馬淵氏によると、聴取では、原発から放射性物質を含む地下水が拡散するのを防ぐ遮水壁の設置について、「(原発の)四方を囲むことを前提に話を進めてきたが、海側の遮蔽だけで止まっている」と指摘し、安全対策がいまだ不十分との認識を示した。
(2012年5月31日12時03分 読売新聞)
政府・東電「指揮系統が混乱」…事故調で馬淵氏
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東京電力福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)は31日、事故直後に首相補佐官を務めた馬淵澄夫元国土交通相から参考人聴取し、馬淵氏は政府や東電の事故対応の甘さなどを批判した。
馬淵氏は事故発生の15日後から約3か月間、首相補佐官として主に同原発4号機の対応に当たり、政府・東電の統合本部に常駐した。
聴取は国会内で約2時間10分、非公開で行われた。馬淵氏の記者団への説明によると、馬淵氏は聴取に対し、統合本部の当時の状況について、「法的な権限のない任意組織であるがゆえに、指揮命令系統が混乱していた」と述べた。
外壁が大破した4号機について、「(地震で崩落する)危険性が高まっているのに、(東電は)なぜそう認識しないのか理解不能だ」と訴えた。4号機の耐震補強に関し、「(補佐官時代に)恒久的な安全性確保のためにコンクリートで固めるプランを検討していたが、実施に至らなかった」ことも明らかにした。
(2012年5月31日19時53分 読売新聞)
2012年06月の記事
清水・前東電社長を8日参考人招致…国会事故調
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東京電力福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)は1日、清水正孝・前東電社長を8日に参考人として招致し、公開で聴取すると発表した。
(2012年6月1日15時27分 読売新聞)
「全面撤退」真偽は?…東電前社長を8日聴取へ
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東京電力福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)は1日、東電の清水正孝前社長を8日に参考人として公開聴取すると発表した。
事故直後、清水氏が作業員の「全面撤退」の意向を政府に伝えたとされる問題の解明などが焦点となる。
清水氏は昨年3月15日未明、当時の海江田経済産業相と枝野官房長官に電話し、同原発からの退避を相談した。東電の勝俣恒久会長は国会事故調で、一部作業員に関する退避の打診だったと説明。菅前首相、海江田、枝野両氏は「全面撤退」の申し出だったと国会事故調で証言し、東電と見解が大きく対立している。8日の聴取では、清水氏が電話内容をどこまで具体的に説明するか注目される。
(2012年6月1日21時56分 読売新聞)
国会事故調 「責任転嫁と自己正当化」
2012.6.6 07:36
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菅直人前首相は5月28日、国会の東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調)に参考人として出席し、最高責任者(原子力対策本部長)としての、事故への対応について質問を受けました。
「菅氏の発言は、責任転嫁と自己正当化に終始して実に情けなく感じた。民主党政権が与えた国民の不利益はどれぐらいだろうか」(29日)▽「菅氏の欺瞞(ぎまん)発言には腹が立った。国会での証人喚問を絶対に行うべきだ」(同)▽「菅氏をいくら責めても仕方がない。それより事実はどうだったのか、これからどうすべきかの教訓を引き出すほうが大事だ」(同)▽「もともと原発は安全ではなかったのだから、菅バッシングはおかしい。原発をすべてストップさせたことをみれば、すごい政治力を発揮したともいえる」(同)▽「自己責任回避のための行動に終始したことが、改めて判明した。安直な脱原発宣言が今日の日本経済、社会を混迷の深みに落とし込んだ自覚はどこにもない。こんな政治家に国を任せた悲運を思う」(30日)
在日中国大使館の李春光・元1等書記官が、外国人登録証明書を不正に更新したとして警視庁から書類送検されました。諜報活動をしていた可能性も指摘されています。
「スパイ天国と呼ばれるわが国も、早急に『スパイ防止法』を整備して国家を守るべきだ」(30日、神戸市の70歳代女性)▽「日本がいかに平和ボケしているかが証明された。この問題は中国人の土地取得にもつながるのではないか」(30日)▽「そろそろ国家として本気になって、情報統制の体制づくりに取り組むべきだ」(31日)(5月28日~6月2日の意見)
'12/6/8
清水前社長、「全面撤退」を否定 国会事故調が公開聴取
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東京電力の清水正孝しみず・まさたか前社長が8日、国会が設置した福島第1原発事故調査委員会(黒川清くろかわ・きよし委員長)の参考人聴取に応じ、2号機の状況が深刻化する中、原発からの全面撤退を政府に申し出たとされる問題について「『全員』とか『撤退』とは、まったく申し上げていない」と重ねて否定した。参考人聴取は公開で行われた。
清水氏は昨年3月14日午後から15日未明にかけての官邸側への電話連絡で「退避」という言葉を使ったことを認め「緊急時に対応する人を残すという意味だった」と説明。「状況が切迫している中でのやりとりなので、微妙な意味でニュアンスがずれたのかもしれない」と釈明した。
国会事故調はこれまでに、菅直人前首相、海江田万里元経済産業相、当時の官房長官の枝野幸男経産相を参考人聴取。3人はいずれも、清水氏からの申し出を全面撤退と解釈したと発言していた。
参考人聴取で清水氏は、事故対応をめぐる自身の発言が首相官邸と東電の信頼関係を崩した原因の一つだと委員から指摘され「もう少しきちんとコミュニケーションギャップを詰めておく余地はあったのかなと思う」と認めた。
また事故発生翌日の3月12日朝に菅氏が第1原発を視察したことについては「ベント作業などで現場は全力を挙げていた。あまり芳しいことではないと思った」と、視察が作業の妨げになったとの認識を示した。
さらに3月15日、東電本店に乗り込んだ菅氏から叱責しっせきされたことを振り返り「死力を尽くしている現場の社員たちは、打ちのめされたような印象だったと思う」と述べた。
東電・清水前社長、「撤退」否定 国会事故調が参考人聴取
2012年6月8日 17時40分
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国会が設置した福島第1原発事故調査委員会に参考人として出席し、発言する東京電力の清水正孝前社長=8日午後、参院議員会館 東京電力の清水正孝前社長が8日、国会が設置した福島第1原発事故調査委員会(黒川清委員長)に参考人として出席し、事故が深刻化する中、原発からの全面撤退を政府に申し出たとされる問題について「緊急時に対応する人を残すという意味だった。『全員』とか『撤退』とは、まったく申し上げていない」と否定した。 国会事故調はこれまでに、菅直人前首相、海江田万里元経済産業相、当時の官房長官の枝野幸男経産相を参考人聴取
東電・清水前社長、「撤退」否定 国会事故調が公開聴取
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東京電力の清水正孝前社長が8日、国会が設置した福島第1原発事故調査委員会(黒川清委員長)の参考人聴取に応じ、2号機の状況が深刻化する中、原発からの全面撤退を政府に申し出たとされる問題について「『全員』とか『撤退』とは、まったく申し上げていない」と重ねて否定した。参考人聴取は公開で行われた。
清水氏は昨年3月14日午後から15日未明にかけての官邸側への電話連絡で「退避」という言葉を使ったことを認め「緊急時に対応する人を残すという意味だった」と説明。「状況が切迫している中でのやりとりなので、微妙な意味でニュアンスがずれたのかもしれない」と釈明した。
2012/06/08 20:17 【共同通信】
「退避と撤退はニュアンス違う」事故調委員長
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東京電力福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」の黒川清委員長は8日、東電の清水正孝社長(当時)が昨年3月の事故直後、原発から作業員を全面撤退させる意向を政府に伝えたとされる問題について、「東電は最初から撤退という言葉は使っていない」と述べた。菅前首相らの見解とは異なり、東電が全面撤退を意図していなかったとの見方を示したものだ。国会内での記者会見で語った。
黒川氏は、「東電側は(これまでの聴取で)常に退避という言葉を使っていた。退避と撤退は、ニュアンスが結構違う」と語った。
これに先立ち、清水氏は8日、国会事故調の参考人聴取で、撤退問題について「撤退とか撤収は全く念頭にない。一部の人間が残るという大前提の上で退避を検討しているという趣旨を政府に伝えた」と述べた。
(2012年6月8日21時59分 読売新聞)
菅前首相、過剰介入批判にブログで反論
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菅前首相は10日、自らのブログで、東京電力福島第一原子力発電所事故について、国会の「事故調査委員会」が首相官邸側の過剰介入を批判する論点整理をまとめたことに関し、「他の政府機関が十分に動かない以上、官邸として、原子力災害対策本部長として、直接対応せざるを得なかった」と反論した。
事故調が「東電が全員撤退を決定した形跡は見受けられない」としたことについては、「(事故当時の)経済産業相と官房長官が撤退の意思表示と受け止めた事実は大きい。官邸の誤解と一蹴するのは一方的な解釈だ」と批判した。また、事故調の調査結果を全て公開するよう求めた。菅氏は、事故当時の首相だった。
(2012年6月11日10時48分 読売新聞)
「官邸が、官邸が…」と東電、自己弁護ばかり
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東京電力が20日公表した福島第一原発事故に関する社内事故調査委員会の最終報告は、官邸の現場介入が混乱に拍車をかけたという見方を強調する一方、津波について「想定外」と繰り返した。
専門家は「身内に甘い」と指摘し、福島の首長からは「あらゆる事態に備えるべきだ」といった憤りの声が上がった。
東電本店(東京都千代田区)でこの日午後3時から始まった記者会見。調査委員長の山崎雅男副社長は、約100人の報道陣を前に「現時点において最大限の調査を行った」と語った。
「実態からかけ離れた要求が官邸からなされ、無用の混乱を助長させた」。最終報告がこう強調したのが、菅直人前首相をはじめとする「官邸の介入」だ。
事故発生翌日の昨年3月12日、菅氏は同原発の吉田昌郎まさお所長(当時)に電話した。菅氏と、途中で電話を引き継いだ知人は数十分間にわたり、米スリーマイル島原発事故(1979年)を参考にした原子炉の冷却方法を提案。だが報告書は「実態と乖離かいりした指導だった」と批判した。
不十分だった住民への情報発信についても、爆発した1号機の写真を無断で公表したとして官邸から注意されて以降、許可なく発表できなくなったと官邸の責任に言及。3号機の格納容器圧力が上昇した3月14日には、官邸の了解が得られず公表が遅れたとした。
「津波に対する備えが不十分だったことが根本的な原因」と事故原因を総括したが、2008年春に最大15・7メートルの津波を試算していたことについては「仮の試算に過ぎない」とし、設備対策を講じなかったことを正当化。「結果的に炉心損傷を防止することができず、大変申し訳ない」と陳謝しながらも、「史上まれに見る大きな津波だった」「まさに知見を超えた巨大津波だった」と繰り返した。
(2012年6月21日07時29分 読売新聞)
東日本大震災:福島第1原発事故 東電最終報告書「内容甘い」「うそも」 福島で批判噴出
毎日新聞 2012年06月21日 東京朝刊
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東京電力の福島第1原発事故調査委員会が20日公表した最終報告書について、地元からは「内容が甘い」「まだ隠していることがあるのではないか」と批判する声があがった。
報告書で、東電は津波対策が不十分だったとしているが、福島県原子力安全対策課の小山吉弘課長は「なぜ十分なものにできなかったのか、できる契機がなかったのかを検証すべきだ」と指摘した。また「103号機の炉心状況など分からないことがある。東電は引き続き事実関係の解明に努力し、政府事故調にしっかり検証してもらいたい」と注文した。
浪江町の馬場有(たもつ)町長は、東電が事故直後に町に通報をしなかったのは連絡協定違反として、前社長らの刑事責任を問う準備を進めている。報告書は「浪江町には(昨年3月)13日から社員が訪問」としているが、馬場町長は「実際の報告は3月下旬だ。報告書は甘いどころではない。うそが書かれている」と憤った。
警戒区域に指定された富岡町から避難し、郡山市の仮設住宅で暮らす横田仁さん(71)は「最終報告といってもまだ隠していることがたくさんあると思ってしまう。これでしらばっくれて逃げようとしているのが、ありありと分かる」と話した。【乾達、泉谷由梨子】
東日本大震災:福島第1原発事故 東電報告書に質問状 浪江町長送付へ「虚偽記載では」 /福島
毎日新聞 2012年06月22日 地方版
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東京電力の福島第1原発事故調査委員会が20日公表した最終報告書の記載内容に疑問点があるとして、浪江町の馬場有(たもつ)町長は21日、東電に対して質問状を送る考えを明らかにした。来月3日、町を訪問予定の広瀬直己新社長に、直接回答を求めるという。
馬場町長が指摘しているのは、報告書の「周辺地域への情報提供」で、「浪江町には(昨年3月)13日から社員が訪問」と記載されている点。馬場町長は「町職員で接触した人物はいない。虚偽記載ではないのか」として、詳しい経緯をただす方針。また、事故直後にファクスと電話で連絡が取れなかったとの記載については、協定違反とし「通信の詳細や、直接訪問しなかったのはなぜかも問いたい」としている。【泉谷由梨子】
介入で混乱、官邸の責任重大…国会事故調報告書
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東京電力の福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)がまとめた最終報告書の骨格が29日、判明した。
菅首相ら首相官邸側の過剰な現場介入が事故対応の混乱を生んだと指摘し、官邸の責任を重大視している。報告書は7月5日に衆参両院議長に提出される。報告書は、〈1〉事故原因〈2〉被害状況〈3〉政府(首相官邸)や東電、地元自治体などの事故対応の評価〈4〉原子力政策の検証と提言――で構成され、概要版を含めて約500ページとなる見通しだ。
事故対応の評価では、菅氏が内閣官房参与に起用した学者を含めた官邸関係者が、第一原発に頻繁に電話で初歩的な問い合わせをしたことで、現場職員が余分な労力を割かれ、事故対応の指揮命令系統を混乱させたと指摘する。東電本店も、官邸との調整や現場支援を怠ったと批判する。
(2012年6月30日08時36分 読売新聞)
2012年07月の記事
「原発事故は人災」国会事故調が最終報告書
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東京電力の福島第一原子力発電所事故を検証する国会の「事故調査委員会」(黒川清委員長)は5日午前、国会内で会合を開き、最終報告書を決定した。
今回の事故について、首相官邸の対応などを問題視し、「自然災害ではなくあきらかに『人災』」と位置付けた。また、事故の直接的原因について、「地震による損傷はないと確定的には言えない」と明記し、地震も事故原因の一つである可能性を示唆した。
報告書は同日午後、衆参両院議長に提出された。黒川氏が記者会見して内容などを説明する予定だ。
報告書は、計641ページに及んだ。事故原因の分析のほか、「政府の危機管理体制の見直し」など七つの提言から構成されている。
事故の根源的な原因として、規制当局と東電との関係の「逆転関係」があり、「監視・監督機能の崩壊が起きた」とも指摘した。この結果、事前に災害への対策を行うチャンスを生かすことができなかったとした。
官邸や規制当局が機能しなかったことで、被害の拡大を招いたとし、首相官邸の対応の問題点に言及。東電本店も現場への支援で不十分な点があったなどと指摘している。黒川氏は会合で、「(報告書の)提言を実行し、改革の努力を尽くすことが国会などの使命だ。報告書が被災者に役立つことを祈念する」と述べた。
(2012年7月5日13時53分 読売新聞)
報告書了承へ、政府の責任厳しく追及 福島第1原発
2012.7.5 08:27
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国会が設置した東京電力福島第1原発事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、東京都内で第20回委員会を開き、事故の経過や原因をまとめた報告書を了承する。午後には黒川氏が国会内で衆参両院議長に報告書を提出、公表する。
これまでの論点整理で国会事故調は、菅直人前首相ら当時の政権中枢が「事故対応する現場に過剰介入し、指揮命令系統を混乱させた」と認定。また、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータ公表遅れについても「住民の避難に甚大な混乱と被害を引き起こした」「住民の健康と安全が顧みられなかった」と批判しており、報告書で政府の責任を厳しく指摘するとみられる。
国会事故調が最終報告決定 衆参議長に提出、公表へ
2012.7.5 11:27
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東京電力福島第1原発事故を検証してきた国会の事故調査委員会(国会事故調、委員長・黒川清元日本学術会議会長)は5日午前、国会内で第20回委員会を開き、事故の原因や対応の問題点などに関する調査結果をまとめた最終報告書を決定した。午後には黒川委員長が衆参両院議長に報告書を提出し、国民向けにもインターネット上で公表。記者会見も行う予定。
国会事故調は6月まで行った論点整理で、菅直人首相(当時)ら官邸側の頻繁な現場介入が指揮命令系統を混乱させたことなどを指摘。自身が東電の撤退を阻止したとする菅氏らの主張についても「東電に全面撤退の意思はなかった」と否定している。
最終報告書はこれらの論点整理を踏まえ、政府や東電の事故対応の問題点を厳しく指摘する見通し。
国会事故調は昨年9月に成立した設置法に基づき、12月に発足した。ノーベル化学賞受賞者の田中耕一島津製作所フェローら有識者10人で構成し、菅氏や枝野幸男官房長官、海江田万里経済産業相、東電の勝俣恒久会長(いずれも当時)らから聴取。福島第1原発やチェルノブイリ原発の現地視察や被災者アンケートなども行った。
「明らかに人災」国会事故調 菅元首相による混乱も指摘
2012.7.5 17:02
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東京電力福島第1原発事故を受け、国会が設置した事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、「事故は自然災害ではなく明らかに人災だった。政府、規制当局、東電は人々の命と社会を守るという責任感が欠如していた」と厳しく批判する報告書をまとめた。事故当時、菅直人首相らが現場に直接指示を出したことも「現場対応の重要な時間を無駄にしただけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大させた」と断罪した。
報告書は約640ページ。事故調は5日の会合で最終的に取りまとめ、衆参両院議長に提出した。
報告書では、東電の清水正孝社長(当時)が第1原発からの全面撤退を申し出て菅氏が阻止したとされる問題に関しては「東電で全面撤退が議論された形跡はない。菅氏が阻止したと理解することはできない」と結論づけた。その上で「重要なのは首相の能力、判断に依存するのではなく、国民の安全を守ることのできる危機管理の仕組みの構築である」とした。
東電側の対応についても「官邸の顔色をうかがい、官邸の意向を現場に伝えるだけの状態に陥った」と批判。「緊急時対応での事業者の責任、政府の責任の境界が曖昧だった」とした。
一方、事故の背景として「第1原発は地震にも津波にも耐えられる保証がない脆弱(ぜいじゃく)な状態だったと推定される」と指摘。「東電や原子力安全委員会などは地震や津波による被災の可能性、シビアアクシデントへの対策、住民の安全保護など当然の備えをしていなかった」と批判した。
根源的な原因として「規制する立場と規制される立場が逆転し、原子力安全についての監視機能の崩壊が起きた」と認定。「規制当局の防災対策への怠慢と、官邸の危機管理意識の低さが、住民避難の混乱の根底にある」と結論付けた。
「危機意識が希薄」国会事故調、県の対応も批判
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国会の原発事故調査委員会は報告書で、内閣府原子力安全委員会や経済産業省原子力安全・保安院といった国の対応を問題視しただけでなく、福島県の事故当時の対応のまずさも厳しく指摘した。
これに対し佐藤知事は、「しっかりと受け止め、地域防災計画の見直しに反映させたい」とのコメントを出した。
報告書は、県の災害対策本部の体制が地震・津波災害を優先し、大熊町のオフサイトセンターが機能しなくなったことで対応が混乱に陥ったとした。加えて、同本部を設置するはずだった県庁本庁舎5階が耐震性の問題で使用できなくなり、自治会館に変更した際、防災行政無線が2回線しかなかった点も問題視。「危機意識が希薄」と批判した。
また事故直後に県が独自に原発の半径2キロ・メートル圏内の住民に避難を指示した30分後に、政府が半径3キロ・メートル圏で避難指示を出した点についても、「県と政府が相互の動向を把握していなかった」と述べた。
事故当時の県の対応について、大熊町の渡辺利綱町長は、「県などからほとんど情報がなく、バラバラな対応で避難が混乱した。県が避難誘導をすれば結果はもう少し違っていたと思う」と悔やんだ。一方、飯舘村の菅野典雄村長は「地震、津波に同時に襲われ、県にベストの対応を求めるのは酷なところもある」と述べた。
報告書については、おおむね評価する首長が多かった。富岡町の遠藤勝也町長は、「原発事故が人災で、津波の対応を怠ったことを的確に指摘し、東京電力の責任を明確に示している」と述べ、川内村の遠藤雄幸村長も「東電の社内事故調の報告書と比べ、より踏み込んだ表現で中身が濃い報告になっていると思う」とした。
また、川俣町の古川道郎町長は、「東電の社内報告書と、国会事故調には食い違いがある」と述べ、東京電力の社内事故調査委員会が公表した最終報告書を再検証すべきだとの考えを示した。
浪江町の馬場有たもつ町長は、「被災者は困っているということを文面に出してほしかった」と残念がった。
(2012年7月7日09時04分 読売新聞)
東電が「やらせ」、大熊・双葉町民への説明会で
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経済産業省原子力安全・保安院が2003年に福島県大熊町で開いた原子力発電所に関する住民説明会で、東京電力が社員らに出席の要請や、質問票への記入方法を指示するなどの「やらせ」をしていたことが、東京電力の福島第一原発事故を検証する国会の「事故調査委員会」の調査でわかった。
国会事故調は5日に公表した最終報告書で「明らかに行き過ぎた行為」と批判した。
やらせが行われたのは、03年3月27日、第一原発が立地する大熊、双葉町の住民356人を対象に開かれた説明会。報告書によると、これに先立って行われた新潟県柏崎市の住民説明会では、反対派の発言で議事が混乱したため、反対派とのバランスを考えて社員だけでなく、協力会社の135人に動員を要請したという。
(2012年7月7日11時23分 読売新聞)
津波到来画像を追加公開=国会事故調が存在指摘-東電「対応不十分」
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東京電力福島第1原発事故で、東電は9日、津波到来時の様子を撮影した写真のうち、昨年5月に公開しなかった33枚を追加公開した。経済産業省原子力安全・保安院は昨年9月、撮影した写真をすべて公開するよう東電に指示したが、これらの写真は公開されておらず、国会事故調の報告書で存在を指摘された。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「同じ角度の写真が多く、津波の規模を示す上で有用なものを出した」と釈明。保安院の指示については「対応が不十分だった」と述べた。
公開されたのは、昨年3月11日午後に協力会社の作業員が、4号機南側の廃棄物集中処理建屋の内部や屋上から津波が来る様子を撮影した写真。昨年5月には11枚を公開していた。(2012/07/09-21:12)
2012年7月10日12時5分
東電原発説明会、福島でやらせ 経産相「反省すべきだ」
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枝野幸男経済産業相は10日の閣議後会見で、東京電力が原子力発電所の説明会で「やらせ」をしていたと国会事故調査委員会が指摘したことについて、「(説明会への社員の)動員や、一番深刻な問題としてやらせなど様々な反省すべき点があった」と述べ、東電や経産省の対応を改善していく考えを示した。
国会事故調が5日に出した最終報告書では、経産省原子力安全・保安院が2003年に福島県大熊町と双葉町の住民を対象に開いた原発の安全性についての説明会で、東電が自社や下請け企業の社員を説明会に出席させたと指摘。質問票への回答方法も指導していた。事故調は「住民の意見形成でのやらせ」があったと批判した。
枝野氏は「東日本大震災以前の話だと思うが、こうしたことがないように、昨年の原発事故を受けて対応してきている」と述べた。
「東電全面撤退はなかった」 菅前首相の数少ない手柄も否定
2012.7.23 14:36
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政府事故調が23日公表した最終報告は、事故対応に当たっての菅直人前首相の数少ない手柄とされる東京電力の全面撤退阻止問題について、今月5日に最終報告書を公表した国会事故調と同様に「(東電が)全面撤退を考えていたと認めることはできない」との認識を示した。菅氏ら当時の官邸メンバーが「全面撤退と受け止めた」と強調してきた大きな争点だったが、客観的評価はほぼ定まった。
この問題では「一部撤退の意図だった」との東電の主張に、最初に報告を出した民間事故調は疑義を呈していた。ただ、民間事故調は東電から聴取できていない。政府、国会両事故調は未公開の東電のビデオ会議記録も調べ、客観的証拠から全面撤退を否定する同じ結論に至った。
記録の断片的発言から、政府事故調は一部関係者が全面撤退を考えた可能性も検討したが、「疑わせるものはあるが断定できない」と慎重に退けた。
また、政府事故調の最終報告は民間、国会両事故調と同じく、菅氏らの現場介入も厳しく批判した。
水素爆発直後の1号機への海水注入に関し、菅氏は最近になって「海水に変えても再臨界が起こることはないと分かっていた」と主張しだしたが、最終報告は菅氏が再臨界に懸念を示し、是非を再検討させたと事実認定。その上で現場対処は「現場を把握し、知識もある事業者の責任で判断すべきで、当初から官邸が現場に介入するのは適切でない」と断じた。
一方で、菅氏に適切な助言を行うべきだった原子力安全・保安院などの専門家についても「誰一人、役割を果たさなかった」と指弾している。「菅氏が疑問を呈しただけで安易に注入を中止させようとした」として、東電幹部の姿勢も問題視した。(千葉倫之)