2012年11月
災地以外見直しを 復興予算で意見相次ぐ 財政審
2012年11月2日
...
財務省は一日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会を開き、二〇一三年度予算編成に向け、復興予算や文教・科学技術予算などを議論した。会合では東日本大震災の復興予算をめぐって「被災地以外の事業の予算化に対しては見直しや事業の絞り込みが必要」との意見が多く出た。
分科会後に記者会見した田近栄治委員長代理(一橋大大学院教授)によると、復興予算のうち、被災地以外の事業にも予算が付けられた「全国防災事業」の扱いをめぐっては、「被災地域に限定して使うべきだ」との声が大半を占めた。
全国防災事業は現在、公立小中学校の耐震化や道路の震災対策などにも使われている。分科会では、この予算を復興特別会計で管理せず、一般会計に移して使途を個別に管理するべきかどうかについても議論。ただ、一般会計の歳出の大枠は七十一兆円に収めるとの政府の原則がある上、管理先を移すと「一般会計の歳出増につながる」との見方もあり、一般会計での管理には否定的な意見が多かった。
田近氏は復興予算について「今後のあり方として被災地域への限定と、全国防災などの見直しが課題となる」と指摘した。
地方公務員も給与減を…財政審、財務省に同調
...
国の財政運営について提言する財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会が1日開かれた。
地方に配る地方交付税交付金を減らすため、地方公務員の給与をカットするよう、自治体に促すべきだとの意見が大勢を占めた。自治体への強制力はないものの、今後、年末の2013年度予算編成に向け、地方公務員の給与問題が焦点の一つになりそうだ。
国家公務員の給与は、東日本大震災からの復興予算を捻出するため、12年4月から2年間で平均7・8%削減された。財務省は、国家公務員の給与水準を100とした場合の地方公務員の給与水準を示す指数(ラスパイレス指数)が、全国平均で106・9程度となり、9年ぶりに100を超えたとの試算を分科会に提出した。全国の自治体の8割超で100を超えるという。仮に、国家公務員並みに減らせば、地方公務員全体で給与関係費を1・2兆円圧縮できるとしている。
委員からは「地方財政を地方交付税などで穴埋めする仕組みでは、地方の財政健全化が進まない」などと、財務省に同調する意見が多く出された。ただ、関係者によると、委員の一人で、傘下に地方公務員の労働組合を抱える連合の古賀伸明会長は「地方公務員の給与は自治体ごとの労使交渉の結果を尊重すべきだ」と慎重な対応を求めたという。
(2012年11月2日09時52分 読売新聞)
交付税延期を陳謝 財務相が全国知事会議で
2012.11.2 17:34
...
政府主催の全国知事会議が2日、首相官邸で開かれ、城島光力財務相は公債発行特例法が成立していないため地方交付税の配分を延期したことに触れ「迷惑を掛け、おわびする。法案が一日も早く成立するよう最大限努力する」と陳謝した。東日本大震災の復興予算に関しては「使途に批判があり、被災地に必要な予算以外は厳しく絞り込んでいく」と強調した。
野田佳彦首相は「地域主権推進大綱の作成や国出先機関の原則廃止も含めた課題への取り組みを一層進めていきたい」と述べ、民主党政権の掲げる地域主権改革を進める考えを示した。
2012年11月2日21時26分
復興予算でカラ出張11万円 文科省事業受託の社団法人
...
震災復興を担う人材を育てる目的で文部科学省が復興予算をあてた事業をめぐり、同省は2日、事業を受託した公益社団法人の東京都専修学校各種学校協会が約11万円の架空請求を認めたと発表した。ほかの29件の委託先についても経理などに問題がないか調べる。
今年2~3月に福島県郡山市などで開かれた6回の会合で、カラ出張が確認された。少なくとも延べ8人分の旅費約11万3千円が架空請求だったという。
この事業をめぐっては、参加した業者が不正請求をしたとして約240万円の返還を申し出ている。同協会はカラ出張分の旅費は返還し、引き続き経緯を調べるという。
事業は「東日本大震災からの復旧・復興を担う専門人材育成支援事業」。昨年度3次補正予算で5億円、今年度予算で4億5千万円が計上された。同協会はスマートフォンなどを使った遠隔教育プログラムの開発を約1670万円で受託していた。
カラ出張で旅費不正受給 都専修学校各種学校協会
2012/11/4 19:07
...
文部科学省は4日までに、同省の震災復興事業を請け負った東京都専修学校各種学校協会が、実際には行っていない出張の旅費約11万円を不正に受け取っていたと発表した。協会は事実関係を認める報告書を同省に提出、返納を申し出ている。
文科省によると、協会は被災地の専門学校に導入する教育プログラムの開発などを2011年度第3次補正予算から1672万円で受託。福島県郡山市などで2、3月に計6回会合を開いた際に、出席しなかった関係者の旅費を少なくとも8人分経費に含めていた。
文科省は同補正予算で、専門学校などを支援し震災からの復興を担う人材を育てる事業として5億300万円を計上。今回の事業以外に不正がなかったか調べる。
協会には、専門学校を中心に都内の約350校が加盟。教職員の研修などを実施している。〔共同〕
2012年11月6日03時00分
これも復興予算なの? バス停の外国語表示、駅前再開発
...
【木村聡史、稲田清英】東日本大震災の復興予算が、東京都や千葉県の駅前再開発や、全国各地のバス停を外国語表示にする事業にも使われていることが分かった。「防災の強化」や「復興への貢献」などを名目にしているが、「被災地の復興と関係が薄い」という疑問の声が地元からも出ている。
国土交通省が復興予算から補助金を出している駅前再開発の事業は、8地区ある。京王線調布駅北口(東京都)や京王線府中駅南口(同)、西武池袋線大泉学園駅北口(同)、JR柏駅東口(千葉県)などだ。
復興予算の一部の「全国防災対策費」として、12年度当初予算に約20億円が盛り込まれている。国交省は「今後の災害に備えてビルの耐震性を高めるため」と説明している。
復興予算 被災確認せず住宅支援
2012年11月6日 朝刊
...
東日本大震災の復興予算の不適切使用問題で、国土交通省は被災地の住宅再建支援事業として、復興予算に五十億円を盛り込んでおきながら、実際には使途を被災者の住宅再建に限定できない制度になっていることが明らかになった。津波などの被害を受けた被災者の住宅再建は進んでおらず、国交省は予算がどこに使われたかの追跡調査もしない方針という。 (中根政人、岩崎健太朗)
この事業は、木造住宅を建設する際に、建築主となる中小の工務店などに一戸あたり百万~百二十万円を補助する「木のいえ整備促進事業」。国交省は事業目的を「被災者の恒久的な住まいの確保」と定め、二〇一一年度第三次補正予算に五十億円を盛り込んだ。
対象になるのは、政府の特定被災区域に指定された十県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、埼玉、千葉、新潟、長野)内で、地震や津波で被災して再建が必要な住宅。被災地外を含む工務店が建設を手掛けた場合、補助金が出る。
しかし、国交省は補助金審査の際、被災証明などの提出を求めず、予算が被災者の住宅再建に使われたかの調査もしていない。特定被災区域で、老朽化など別の理由で建て替え、補助金を申請する可能性もあるが、チェックはしていない。
復興庁によると、津波で被災した集落を高台や内陸部に移す事業では、移転先の造成が終わり、一戸建ての住宅を建設できる状態になっている集落は一カ所もない。
五十億円の予算は一二年度中に使い切ることになっているが、国交省は「年度末に集計する」として、支出済みの金額さえ把握していない。審査が甘くなった理由は、迅速に対応するためと説明しているが、大きな被害を受けた被災者が申請する時に予算がなくなっていれば本末転倒だ。
◆意味のない事業
<日本災害復興学会長を務める関西学院大の室崎益輝教授(防災計画学)の話> 津波による被災地域の住宅再建が遅れている現状では、木造住宅の補助金事業を行ってもほとんど意味がない。現地のニーズを考慮せずに予算を獲得した国交省の硬直化した姿勢には問題がある。
復興予算で全国各地のバス停を外国語表示に 批判相次ぐ
2012/11/ 6 12:28
...
全国各地のバス停を英語や中国語、韓国語の表示にするのに、震災の復興予算が使われていることが2012年11月6日までに分かった。「復興と関係が薄い」という批判が出ている。
報道によると、観光庁が、震災で減少した外国人観光客を呼び戻し復興につなげようと、予算8億円を使った。しかし、外国語表示にした26地域のうち、被災地は3か所だけだった。駅の案内板も英語などの表示にしたり、バスに表示が出る車内モニターをつけたりもしていた。
復興予算:抜本的見直しを…衆院決算監視委が決議案
毎日新聞 2012年11月06日 15時00分
...
衆院決算行政監視委員会(後藤田正純委員長)は6日、東日本大震災の復興予算配分を抜本的に見直すよう求める決議を行う方向で最終調整に入った。復興予算が被災地以外に支出されていた問題を踏まえ、決議案は不適切な予算の執行停止も視野に入れるべきだと指摘。政府が決定した、被災地以外の全国防災対策を含む震災復興基本方針の見直しも「躊躇(ちゅうちょ)すべきでない」と踏み込んだ。
決議案をめぐり、民主党は先例にならい決議にすべきだと主張。自民党は衆院規則92条に基づく勧告に格上げするよう求めている。衆院決算行政監視委は6日午後、理事懇談会で扱いを協議する。
震災復興基本方針は、政府がまとめた復興の全体像。震災復興対策本部が昨年7月に決定し、震災から5年間の「集中復興期間」に約19兆円を投入するとし、被災地への財政支援のほか、全国で緊急に実施する防災対策などを盛り込んだ。
これについて決議案は、全国防災対策の事業額に上限を設けたり、被災地の事業と峻別(しゅんべつ)したりする「重要性を認識すべきだ」と指摘した。
また反捕鯨団体「シー・シェパード」による妨害対策に充てる「鯨類捕獲調査安定化推進対策」(農水省)やアジア大洋州・北米地域との「青少年交流事業」(外務省)について「復興に直接関連したものと認められない」と認定。刑務所での「再犯防止施策」(法務省)に関し「復興予算での要求はやめるべきだ」と断定した。【岡崎大輔】
復興10事業の廃止要請へ=予算規模900億円超-民主案
...
東日本大震災の復興関連予算の流用問題を是正するため、民主党が近く政府に提出する基本方針の骨子案が6日、判明した。国土交通省の「官庁施設の防災機能強化」や文部科学省の「国際核融合実験炉計画推進費」など10事業について、復興との関連が薄いとして、2013年度の復興関連予算案には計上しないよう求めている。仮に全事業を廃止した場合、予算縮減効果は900億円超となる見通しだ。
復興予算をめぐっては、11年度3次補正や12年度当初に捕鯨妨害対策費など本来の目的とは懸け離れた事業が含まれていたことが発覚、野党が批判を強めている。
これを受け、民主党の行政改革調査会(中野寛成会長)は13年度予算概算要求に盛り込まれた各府省の復興関連事業を精査。(1)資金が被災地以外で使われている(2)予算規模が比較的大きい-ものを中心に、震災復興とは関連性が薄い10事業を選定した。同調査会は7日の総会で各府省から意見聴取した上で、週明けにも基本方針を策定する。(2012/11/06-20:19)
廃止対象復興事業
...
復興予算流用問題に関する民主党の基本方針案で、廃止対象とした事業は次の通り。
【外務省】国際交流基金運営費交付金
【文部科学省】国際核融合実験炉計画の推進に必要な経費▽日本原子力研究開発機構運営費交付金
【厚生労働省】災害に強い次世代医療情報システムの構築
【農林水産省】農山漁村活性化プロジェクト支援交付金
【国土交通省】官庁施設の防災機能強化▽土地境界の明確化の推進
【環境省】原子力安全規制情報広聴・広報経費
【内閣府】被災者への心のケア対策等の推進▽環境未来都市の推進に必要な経費(2012/11/06-20:20)
宇宙開発利用関係予算に復興予算から22億円 内閣府の言い分
2012.11.08 04:00:08 記者 : NEWSポストセブン
...
復興予算の“流用”は枚挙にいとまがないが、さらに驚くべき来年度予算の目玉が、「宇宙開発利用関係予算」である。
内閣府宇宙戦略室が9月に発表した来年度の宇宙関係予算に関する資料を見ると、なぜかそこに復興予算から「22億円」と明記されている。震災と宇宙。何の関係があるのか。
「災害時に有効な衛星通信ネットワークの研究開発」に15億4800万円を計上した総務省・宇宙通信政策課に尋ねた。
「これは被災地向けに、衛星通信を受信するための小型衛星局を整備する費用です。衛星自体は、企業や自治体などが持っている既存のもので、予算は被災地に小型衛星地上局を置くための予算です」
――被災地ということですが、何県ですか?
「……全国防災です」
――えっ、さきほど「被災地に置く」といったじゃないですか。
「いや、将来の被災地に置くということです。車で運べる可搬型なので、場所は特に決まっていません。大人2人でどこにでも持って行けます。ですから、大規模災害が起こった場合、すぐに持っていくことができます」
どう考えても苦しすぎる言い訳である。
●福場ひとみ(ジャーナリスト)と本誌取材班
※週刊ポスト2012年11月16日号
復興予算 点検素通り
2012年11月8日 朝刊
...
民主党の行政改革調査会は七日、二○一三年度予算の概算要求に盛り込まれた復興予算に関連する二百を超える事業のうち、不適切な可能性の高い十事業について、関係府省から聞き取り調査した。来週には政府に一般会計予算への組み替えなどを要請する方針だ。しかし、復興予算が不適切に使われた原因とされる「全国防災事業」には踏み込まず、税務署の耐震化や沖縄の国道整備を点検しないなど、甘い「査定」との批判は免れない。 (中根政人、清水俊介)
聞き取り調査したのは、一三年度予算の復興特別会計に概算要求された日本原子力研究開発機構の国際熱核融合実験炉(ITER)の計画推進や、国土交通省の官庁施設の防災機能強化など十事業。
国交省の官庁整備は、被災地の復興と直接関係ない内容が大半だが、被災地以外への復興予算使用を認める全国防災事業の一環として盛り込まれた。
全国防災事業は「次の震災への備え」との名目で、各府省が予算獲得を競った結果、一三年度の概算要求は九千四百億円にも上る。政府内から「不適切使用の温床」と指摘され、野田佳彦首相も大幅に縮減する方針を示しているが、この日の調査会では議題にすらならなかった。
しかも、調査会では全国防災事業について、事業費全体の3%の五事業しか取り上げなかった。
調査会が点検対象から外した事業には、財務省が盛り込んだ被災地外を含む全国の税務署の耐震改修費(約三億二千万円)や、被災地から遠く離れた沖縄県内の国道整備費(七億六千万円)など、明らかに不適切な事業が含まれる。
民主党は聞き取り調査した十事業を軸に復興予算の改善を政府に求めるという。このままでは復興に便乗した無駄な事業の洗い出しが十分とはいえず、被災者の不信感はぬぐえそうにない。
NHKに流れた復興予算8億円「風評被害払拭」のため
2012年11月8日(木)11時35分配信
...
NHK(日本放送協会)などマスコミに復興予算の一部が流れていた件で、8日の衆院総務委員会で、樽床伸二総務相は「海外の風評被害を払しょくするのが目的」だと述べた。斎藤やすのり委員(国民の生活が第一・きづな)の質問にこたえた。
復興予算の使い方については、本当に被災者に行き届いていないのではないかとの疑念が各方面で問題となっているが、この日指摘されたのはNHKの海外向けサービスを提供する「NHKワールド」に対して約8億円が使われたという点だった。
樽床総務相は「風評被害の影響を受けているのを払しょくするのが重要なテーマだった。そこで海外で展開できるのが、NHKということだった」と説明した。
仕分け対象に復興関連など42事業決定 政府
2012/11/8 20:59
...
政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)は8日の会合で、16日から3日間実施する「事業仕分け」の対象となる42事業を決めた。被災地との関連性が疑われている東日本大震災の復興予算や、日本再生戦略で重点分野に掲げた事業などを選んだ。
復興予算関連は17事業で、総額は約7300億円。消防庁のヘリコプター整備や税務署の耐震化、独立行政法人・国際交流基金への運営交付金など被災地との関連が薄いとみられる事業が中心だ。日本再生戦略の重点分野(環境、健康、農林漁業)では、農林水産省の森林整備などが効果的かを検証する。判定次第で2013年度予算案からの除外を検討する。
生活保護費の見直しについても議論する。保護費の削減額など具体的な数値は示さないとみられるが、受給者への医療費の自己負担の検討を含めて今後の対応策を示したい考えだ。
首相は会合で「被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外は厳しく絞り込む」と強調した。ただ、復興関連で執行済みの事業は対象外で、実効性を疑問視する声もある。「仕分けは3日間で時間に限りがある」(藤本祐司内閣府副大臣)ため、対象事業の数も絞り込んだ。
「事業仕分け人」から民主党国会議員外れる
...
政府の行政刷新会議(議長・野田首相)は8日、首相官邸で会合を開き、2013年度予算の概算要求事業を精査する「事業仕分け」について、復興関連の17事業を含む42事業を見直し対象とすることを決めた。
政府は16~18日に行う仕分けの結果に応じて、対象事業の廃止や予算削減などに踏み切る方針だ。
今回から、「仕分け人」は有識者12人と政府関係者に限られ、民主党国会議員が外れることも決まった。
復興関連では、埼玉県や北海道の受刑者向けに建設機械の運転免許取得を支援する「被災地域における再犯防止施策の充実・強化」(法務省所管)のほか、被災地以外の税務署や学校の耐震強化事業などが対象となる。
(2012年11月9日01時21分 読売新聞)
復興予算「新仕分け」 17事業では不十分
2012年11月9日 朝刊
...
政府は八日の行政刷新会議で、十六~十八の三日間で有識者が国の事業を検証する「新仕分け」の対象四十二件を決定した。東日本大震災の復興予算の不適切使用問題の関連では、首都圏などの税務署を耐震化する財務省の国税庁施設費など「全国防災事業」を中心に十七件が挙がった。ただ、不適切と指摘されながら対象に入らなかった事業もあり、十分な見直しにつながるのか疑問も残る。
対象は、いずれも二〇一三年度予算の概算要求に盛り込まれた事業。復興関連では、刑務所で訓練用の小型建設機械などを購入するための法務省の事業や、国土交通省の道路整備をはじめ本紙などが「被災地の再建とは無関係」と指摘した事業が一部盛り込まれた。
復興関連の中で、復興との関係が薄いとの指摘が多かった全国防災事業は十二件を占めた。復興関連十七件に計上された予算は計約七千三百億円。復興以外は経済成長に向けた「日本再生戦略」、生活保護を含む社会保障の関連などがある。
事業を検証する評価者は、福嶋浩彦前消費者庁長官ら過去の事業仕分け経験者を含む民間有識者十二人ら。国会議員からは、行政刷新担当の副大臣・政務官が入るが、過去の仕分けのように民主党側の議員は参加せず「新仕分け」とした。
野田佳彦首相は会議で「被災地が真に必要な予算以外は厳しく絞り込む観点から、しっかりチェックをお願いしたい」と指示した。
ただ、今回は、平野達男復興相が使い道として不適切との見方を示した文部科学省の国際熱核融合実験炉(ITER)研究費は入らなかった。全国防災事業も、概算要求で総額九千四百億円を計上しており、すべてが検証されるわけではない。
仕分けは内閣府で行われ、一般公開はしないが、インターネット中継を予定している。
復興予算で過激派対策費水増し 公安調査庁 調査車両14台、被災地配備1台
2012年11月9日 07時10分
...
東日本大震災の復興予算の不適切使用問題で、法務省公安調査庁が復興向けの二〇一一年度第三次補正予算に過激派対策費として二千八百万円を計上し、調査用の乗用車十四台を購入していたことが本紙の取材で分かった。このうち、震災の被害が大きかった東北地方には一台しか配備されず、残りは首都圏で使っているのが現状だ。 (中根政人)
公安庁が三次補正で獲得した過激派対策費は「被災地の治安維持」が目的。過激派などの動きを把握することを名目にした。
しかし、十四台のうち、東北地方の配備先は仙台市の東北公安調査局の一台だけ。例年、調査用車両は一般会計で購入し、復興予算を使うのは水増しともいえるが、公安庁総務課は「被災地で過激派が勢力拡大を図ろうと動きを活発にしていた。車両購入で調査能力の向上を図る必要があった」と釈明する。
一方、法務省が管轄する施設の耐震対策費として一一年度三次補正に十三億円を盛り込み、鹿児島県・奄美大島や北九州市、石川県七尾市など被災地でない計二十三カ所の刑務所や拘置所、庁舎の改修に使っていたことも明らかになった。
中央省庁が被災地以外の公共施設改修に復興予算を流用していた事例としては、首都圏などの税務署を耐震化する財務省の事業があり、不適切との指摘が出ている。法務省も同様の事業を手掛けていたことになる。
(東京新聞)
復興予算の提言案全容判明 見直し選定で丸投げも
2012.11.9 14:14
...
東日本大震災の復興予算の「流用」問題で、民主党行政改革調査会がまとめた政府への提言案の全容が8日、判明した。復興予算で要求している事業を必要性などに応じて5分類し、優先度の低い事業は一般会計で行うよう求めたが、見直し対象事業の選定を政府側に丸投げするなど“抜け穴”も少なくない。党内には復興予算の大幅見直しに慎重な意見もあり、配慮したものとみられる。
同調査会は9日の総会で提言案を決定し、来週中に政府へ提出。提言に基づき平成25年度復興予算を編成するよう申し入れる。
提言案では、復興予算関連事業を優先度の高い順に(1)復興に直接結びつく被災地事業(2)復興に間接的に結びつく被災地事業(3)被災地での研究・広報事業(4)被災地以外の防災事業(5)その他-に分類。(4)と(5)は一般会計で行うよう求めているほか、優先度の低い執行中事業の停止や復興基本方針の見直しなども盛り込んだ。
だが、同調査会で個別事業の妥当性をチェックしたにも関わらず、提言案で見直し対象を列挙することは見送った。事業を行う「被災地」の定義についても「柔軟に解釈すべきだ」とし、政府の判断に委ねた。
一方、政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)は8日の会合で、25年度予算案概算要求に盛り込まれた復興関連の17事業を、16~18日に実施する「新仕分け」の検証対象にすることを決めた。生活保護制度と「日本再生戦略」の重点分野とともに仕分けの3本柱と位置づける。
2012年11月13日7時31分
復興予算、防衛省が風呂や食堂に 維新、予算委で追及へ
...
東日本大震災の復興予算が被災地以外で自衛隊施設のお風呂やキッチンなどの改修に使われていることがわかり、日本維新の会が13日の衆院予算委員会で追及する。維新は臨時国会で復興予算の流用問題をクローズアップする方針で、その第1弾との位置づけだ。
防衛省資料によると、復興予算に盛り込まれたのは、福岡県や大分県などの自衛隊駐屯地の風呂やキッチンの施設整備費。福岡のケースは、調理室内に冷房設備がなく「勤務員が多量に発汗し、食品衛生上もふさわしくない」というのが予算計上の理由。昨年度第3次補正予算で約3900万円、今年度当初予算で約1億4千万円を計上した。
原子力人材育成 復興予算で原資
2012年11月14日
...
福井工業大学で13日、原子力技術応用工学科の学生約50人が「人間安全学」の授業を受けた。原子力の安全を担う技術者を育成する文部科学省の事業の一環。
この日は全12回の初日。「原子力安全システム研究所」(美浜町)の作田博・ヒューマンファクター研究センター長が、思い込みや先入観について講義し、「津波で電源を失うワーストケースを考えておくことが必要」と話した。
授業は3年計画で、今年度は国から約2千万円の補助金を受けた。文科省によると予算は大学や団体14件で計2億円で、国会で使途が問題視されている「復興予算」から拠出した。
同省原子力課は「学生が将来復興にも役立つ人材になると考えているが、来年度は検討中」とした。担当する砂川武義教授は「福島の事故を教訓にした人材育成は必要。来年度も予算をつけてほしい」と話した。(小堀龍之)