政府、原子力損害賠償支援機構を設立 東電に資金提供
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2011年9月12日22時0分
政府は12日、東京電力福島第一原発事故の賠償を資金面で支える「原子力損害賠償支援機構」を設立した。一橋大前学長の杉山武彦氏が理事長に就き、月内にも業務を始める。政府が70億円、電力業界12社が70億円の資本金を払い込み、計140億円で発足した。
機構は、福島第一原発事故の被害者に賠償金を支払う東電に対し、資金繰りを支える組織。電力業界が払う負担金や政府の発行する交付国債を原資に、東電に資金を提供する。負担金の金額や、業務を担う運営委員などは今後決める。
機構は資金援助の際、東電の経営改善策や事業運営の方針を定めた「特別事業計画」を同社とともにつくる必要がある。政府は「東電に関する経営・財務調査委員会」を設け、同社のリストラ策などを検討している。委員会が今月末にまとめる報告書が、特別事業計画の柱となる見込みだ。(中川透)
東電の賞与回復「認められない」 調査委
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2011年9月15日3時6分
東京電力が来年度から3年間の電気料金の値上げ終了後に、半減中の一般社員の賞与水準を元に戻そうとしている問題で、政府の第三者機関「東電に関する経営・財務調査委員会」は14日の非公式会合で、「15年度に賞与水準を回復することは認められない」との考えで一致した。
15%という電気料金の値上げ幅についても、委員から批判的な声があった。ただ、値上げの理由としている火力発電所の燃料費の増加が、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の行方に左右されるなど見通しが不透明なため、是非の判断は先送りした。
東電は賠償や事故対応の費用を捻出するリストラの一環として、7月から一般社員の賃金の5%、賞与の5割を削減中。賃金カットは賠償が終わるまで続ける方針だ。ただ、原発事故の収束や電力供給にあたる社員の士気を保つため、さらなる給与水準のリストラについては否定的な声もある。(福田直之)
東電社長、年金削減を表明 調査委は「まだまだ緩い」
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2011.9.20 19:05
福島第1原発事故の賠償金支払い原資を確保するため、東京電力の資産や経営状況を調べる政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)の会合が20日開かれ、東電の西沢敏夫社長が出席し、資産売却、人員削減などについて説明した。西沢社長は聴取後、記者団に対し、企業年金や人員の削減について「検討しており、現在、詰めているところだ」と述べた。
これに対し、下河辺委員長は会合後の会見で「感想としては、まだまだ緩い」と述べ、さらなるリストラを求める考えを示した。
会合では、委員から電力会社の地域独占構造の問題点などを挙げ、「他の民間とは違う社風、文化を、今回を機に徹底的に改める必要がある」との指摘が出たという。これに対し、西沢社長は年金削減の検討を報告などを報告。一方で、原発が稼働できない状況が長期化すると、「収支悪化は避けがたい」と説明した。
会合後、西沢社長は記者団に「年金は聖域を設けず、幅広く検討していかなければならない」と述べ、OBも対象に含める考えを示した。
西沢社長はまた、電気料金の算定時のコスト見積もりが過大との指摘について、「経営効率化の成果を料金の値下げという形で反映してきた」と反論した。
調査委員会は、来週中に最終報告書をとりまとめ、政府に提出する。東電が検討している料金値上げについて、下河辺委員長は会見で、「原子力損害賠償支援機構が東電と策定する特別事業計画で検討するもの」と述べるにとどめた。
「原発低稼働なら収支悪化」東電社長、値上げ理解求める
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2011年9月20日19時40分
政府の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)が20日、西沢俊夫東電社長を呼んでヒアリングをした。西沢社長は、定期検査に入った原子力発電所が再稼働できなければ、料金値上げは避けられないとの考えを示した。
終了後に記者会見した下河辺氏らによると、西沢氏は5月に発表した経営合理化方針よりも「深掘り」して合理化を進めると説明。方針になかった人員削減の具体的な目標や、年金減額も検討していることを明らかにした。その上で「原発が長期にわたって低稼働の状態が続く場合は、収支の悪化は避けがたい」と述べ、料金値上げに理解を求めたという。
下河辺氏は「社内努力で一歩も二歩も前進をさせたということで『深掘り』という言葉を使ったのだろうが、全体として(東電の合理化努力は)まだまだ緩い」と批判した。東電は来年度から15%程度の料金値上げを検討している。調査委は来週にも報告書をまとめるが、値上げの前に、さらなるリストラを求める可能性がある。
東電、初の希望退職募集へ 1割削減、年金カットで1000億円捻出
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2011.9.24 21:50
東京電力は、福島第1原発事故の賠償資金を捻出するためのリストラ策として、同社として初となる希望退職の募集を行う方針を固めた。新規採用の抑制と合わせて今後数年間で、現在約3万7千人いる従業員の1割程度を削減する。退職者も含め、企業年金も削減する方向で、人件費の削減額の目標を当初の年間540億円から倍増し、1千億円程度に拡大する。
東電の資産売却やリストラ策をチェックする政府の第三者機関「東電に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)が月内に今後10年程度の収支見通しなどを盛り込んだ中間報告を策定。これに基づき、東電が10月中に新たな人員削減を盛り込んだ特別事業計画を策定する予定。
東電はすでに役員報酬や社員の給与削減、新規採用見送りなどで年間540億円の人件費を削減するリストラ案を公表。一方で、原発停止による代替火力発電用の燃料調達の増大で収益が悪化しており、賠償資金確保には電気料金の値上げが避けられないとして料金改定の申請を検討している。
しかし、同委が値上げの前に徹底した合理化を求めているほか、政府内には値上げへの反対論が強い。このため、東電はリストラの上積みが不可欠と判断した。原発事故の収束や賠償金支払い作業のための人員を確保する必要があり、配置転換を進めると同時に、削減は数年かけて実施する方針だ。
一方、年金の削減は、会社が保証する運用利回りを引き下げることで実施する。現役社員は現行の年2.0%から1%程度に、退職者については現行の最高年5.5%を3.0%程度に引き下げる案を軸に検討している。ただ、退職者の年金削減には同意の取り付けが必要で、調整が難航する可能性がある。
原賠支援機構が業務開始 東電リストラ一段と
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2011.9.26 21:23
東京電力福島第1原子力発電所事故の賠償金支払いを行うため官民共同で創設した「原子力損害賠償支援機構」(理事長・杉山武彦一橋大前学長)が26日、都内に事務所を開設し、本格的な業務を開始した。支援機構には賠償資金確保のための経営計画を定める役割があり、今後、東電との協議を本格化させる。政府は東電の経営状況を精査。東電が一段のリストラを迫られることは確実だ。
「競争が全くなく、利益がほぼ確実に確保される状況にありながら、役員報酬が民間企業に準じているのは論理矛盾だ」。枝野幸男経済産業相は26日の開所式で東電の企業体質にこうかみついた。その上で役員報酬や社員給与について「公務員や独立行政法人と横並びで当たり前」と述べ、さらなる引き下げを求めた。
東電は希望退職募集や企業年金の削減などで、賠償資金の原資となる人件費の削減額を当初目標から倍増して1千億円程度に拡大する。だが、その程度のリストラ策では不十分だというのが経産相の見方だ。
東電の経営状況については、政府の第三者機関「東電に関する経営・財務調査委員会」が月内にも中間報告を策定。東電と支援機構はこの報告をもとに10月下旬までにリストラ策や経営責任の明確化の方法、金融機関への協力要請などを盛り込んだ特別事業計画を策定する。理事には杉山理事長ら5人が就任。民間企業の取締役にあたる運営委員には経営・財務調査委員の5人が横滑りする。
杉山理事長は同日の会見で「枝野経産相と同感。東電に(リストラの)余地は大いにある」と経産相に同調。東電が検討する電気料金値上げについても、リストラ計画の全体像がない中では「違和感を覚える」と否定的な見方を示した。
経産相は「(支援機構の目的に)株主や債権者の保護は入っていない」としており、株主や銀行に負担を求めることも確実だ。
これに対し東電の西沢俊夫社長は26日の会見で、給与引き下げは「経営・財務委員会での議論を踏まえて検討する」と述べるにとどめた。「(経産相の)要求は一方的だ」(米倉弘昌経団連会長)との声も出ているが、東電への風当たりの強さは収まりそうにない。
東電、公的管理下に…原賠機構が出資意向
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東京電力の福島第一原子力発電所事故の賠償金支払いを支援する国の「原子力損害賠償支援機構」が26日業務を開始した。
理事長に就任した杉山武彦氏(前一橋大学長)は記者会見で、廃炉費用などが巨額になった場合、東電に出資し、名実ともに公的管理下に置く意向を示した。杉山氏は「原子炉の廃炉費用がどの程度のオーダー(規模)になるか判断はまとまっていない」としながら、今後の機構による資本注入については「必要になる」と述べた。
東電には廃炉のための費用が数兆円必要になるとみられる。一方で東電の自己資本は約1兆円にとどまっており、自力で負担すれば債務超過に転落する恐れがある。これに関連して、枝野経済産業相は、「(地域独占で)東電は現状の競争がまったくなく、利益が確実に確保される。(役員報酬や給料は)公務員や独立行政法人と横並びで決まって当たり前」と一段の人件費削減を求めた。
(2011年9月27日01時51分 読売新聞)
東電に7400人削減求める、第三者委員会報告書案
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2011年09月28日 17:15 発信地:東京
【9月28日 AFP】福島第1原発事故の賠償金の捻出に絡み、東京電力(TEPCO)の資産評価などを進めている政府の第三者委員会が東電に7400人の人員削減を求める方針であることが28日、明らかになった。また、第三者委員会は経営陣に退職金の辞退などを求めることも検討しているとの報道もある。
読売新聞(Yomiuri Shimbun)によると、第三者委員会は10月3日にも発表する予定の報告書で、東電にグループ全体の社員の約14%にあたる7400人を、2014年3月末までに削減するよう要請する。福島第1原発の事故の賠償金を確保するためには、人員削減は不可欠だとしている。
また、読売新聞は東電が原子力損害賠償支援機構による資本注入を受け、実質的に公的管理下に置かれることを想定した上で、東電に新株発行可能枠を拡大するよう求めることも盛り込んだと報じた。
共同通信(Kyodo News)とTBSは、第三者委員会が東電経営陣は退陣すべきだと考えているとも報じた。共同通信によると、政府からいかなる資金援助を受ける場合でも前提として、東電の経営陣が「辞任や退職金の放棄、保有株式の返上などで経営責任を果たすことが望ましい」と明記する方針だ。(c)AFP/Miwa Suzuki