2011年05月
東電、料金最大18%上げ容認へ なし崩しで税金投入も
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2011.5.13 20:43
東電の賠償支援の枠組みは、「国民負担を極小化する」と明記したのとは裏腹に大幅な電気料金値上げが避けられない状況だ。値上げは機構に負担金を拠出する他の電力会社にも及ぶ可能性が高い。さらに東電の経営が行き詰まれば、国が肩代わりできる例外措置が設けられたことで、責任の所在があいまいなまま、なし崩し的に税金による穴埋めが膨らむ恐れがある。
「できるだけ電気料金への転嫁を少なくする。国民負担の極小化に努めていきたい」
海江田万里経済産業相は13日、こう強調したが、具体的な値上げ幅への言及は避けた。
すでに政府は、原発停止による代替火力発電の燃料費など年7千億円、16%分と試算されるコストアップについて、料金への転嫁を認める方針を固めている。値上げ要因はこれだけではない。東電を含む電力会社が機構に拠出する負担金についても、「原発のコストとして値上げの根拠になる」(資源エネルギー庁幹部)としている。
東電の場合、負担金は年1千億円程度と想定しており、値上げ幅は約2%上積みされ、最大18%にも達する。東電は今秋にも申請し、来春から実施される公算が大きい。合計で年2千億円を想定する他の電力会社の負担金も料金への転嫁を認める方向だ。
料金に転嫁されないのは、東電が公的資金の返済のために機構に拠出する年1千億円と想定される特別負担金だけというのが実情だ。政府が大幅値上げを容認せざるを得ないのは、コスト増で東電が赤字に陥れば、合計で年2千億円の負担金を拠出できなくなり、「枠組みそのものが成立しなくなる」(政府関係者)ためだ。
政府は取引先金融機関による支援に期待を寄せるが、実現は不透明だ。枝野幸男官房長官は13日の会見で、「(銀行が債権放棄に応じない限り)国民の理解は得られない」と、恫喝(どうかつ)してみせた。
だが、銀行側は債権放棄どころか、追加融資にも慎重だ。原発事故の発生直後には8行が計約2兆円を融資したが、これは「日本の産業を守る社会的使命」(奧正之・全国銀行協会長)による緊急措置という位置づけだ。「債権放棄に応じれば、不良債権として扱わざるを得ず、賠償金支払いや原発処理に必要な資金の追加融資が難しくなる」(大手銀関係者)と、政府側を牽制(けんせい)する。
電気料金を値上げしても、金融支援がまとまらないと、東電が年2千億円の負担金を拠出できず、公的資金の返済に行き詰まる恐れがある。そうなれば、例外措置が発動され、税金による穴埋めで国民負担が生じる。
これまで金融機関や日本航空などへの公的資金の投入では、破綻処理により対象企業だけでなく、株主や銀行にも損失を負わせ、責任を問うてきた。今回は、関係者に加え、原発を推進してきた国の責任も明確化せず、枠組みを決めることだけを優先した。(小雲規生)
2011年06月
東日本大震災:「東電、来年度16%値上げ」 政府支援策、賠償10兆円で試算
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110614ddm001040086000c.html (リンク切れ)
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東京電力福島第1原発事故の損害賠償を巡り、政府の東電支援策の前提となった同社の財務試算が13日、毎日新聞が入手した内部資料で明らかになった。賠償総額を10兆円と仮定し、原発から火力発電に切り替える燃料費の増加分を電気料金に上乗せ、12年度から約16%(一般家庭の場合月額1000円程度)値上げして東電に収益を確保させる。東電はこの収益を原発事故の賠償に回す仕組みで、事故による負担増を利用者に転嫁する構図となっている。
政府は14日、東電の賠償支払いを、原子力事業者からの負担金や交付国債の発行で支援する「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定する方針。試算は支援策を固めるにあたっての「検討用資料」として経済産業省などが作成し、今後10年分の財務諸表などを盛り込んでいる。
試算によると、東電は支援機構の支援を得て、12年3月期から年2兆円の賠償費用を5年間計上。
廃炉費用も2年間で1兆円を計上する。柏崎刈羽原発(新潟県)の運転停止が継続する場合、年約9000億~1兆円の燃料費が上乗せされ、14年3月期まで4期連続で最終赤字となる。
燃料費の増加分は、12年春に電気料金を約16%値上げして吸収する。電気料収入は約4・6兆円(12年3月期)から約5・8兆円(15年3月期)に増加。東電は15年3月期に1735億円の最終黒字を確保するシナリオだ。
11、12年度には機構を引受先に優先株を発行し、計2兆円を資本注入。賠償支払いに備えた巨額の
引当金で財務が悪化するのに備え、支援機構からの資金支援を前提に引当金と同額を「機構宛て請求権」として資産計上し、債務超過を回避するとしている。また、16年3月期に金融市場での社債発行を再開し、5年間で計4・2兆円を調達する出口戦略も描く。金融機関や社債権者への支払利息は据え置き、株主配当も19年3月期の再開を見込む。
毎日新聞 2011年6月14日 東京朝刊
2011年08月
東電、値上げ10%超打診、政府第三者委は難色
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東京電力が、電気料金の10%以上の値上げを、東電の資産や経営状況を調べている政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」に打診したことが27日、分かった。
原子力発電の代替で稼働している火力発電の燃料費負担が収益を圧迫しているためで、8月の標準家庭の電気料金に当てはめると値上げ幅は660円以上となる。だが、調査委は値上げを認めず、東電に一段のコスト削減を求める方針だ。
東電が打診したのは、燃料費の調達コストを料金に反映させる「燃料費調整制度」に基づくものではなく、原発停止に伴う抜本的な料金改定だ。
東電は、定期検査で相次いで運転を停止している柏崎刈羽原発(新潟県)が再稼働するまで暫定的に値上げし、再稼働後は値下げする方針を示したという。
(2011年8月27日14時40分 読売新聞)
2011年09月
東電、来春から15%値上げ検討「火力発電増やすため」
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2011年9月6日3時2分
東京電力が来春から15%程度の電気料金の値上げを検討していることがわかった。福島第一・第二原子力発電所は事故などの影響で今後も停止が見込まれ、代わりに火力発電を増やすことが理由。仮に15%値上げなら、標準家庭で月7千円弱の電気料金が、1千円ほど増える。
電気料金は毎月、燃料費調整制度で原油価格や為替の変動を自動的に反映している。今回は、これとは別の本格改定となる。値上げに必要な経済産業相の認可には公聴会の審査などで数カ月かかる。
東電は従来、発電電力量の3割ほどを原発に頼ってきた。これが福島第一・第二の停止で、当面はほぼ半減が見込まれる。その分は液化天然ガス(LNG)の火力発電を中心に増やさざるを得ない。燃料費の増加分は年1兆円規模とされ、値上げは避けられないと判断した模様だ。
ただ、値上げには企業や家庭に抵抗感が強く、政府は前提として東電に資産売却や経費削減などのリストラを求めている。政府関係者も「安易な値上げは認めない」としており、実際に15%程度の値上げができるかは不透明だ。
東電は、10月中にもつくる「特別事業計画」に値上げの必要性を織り込むことを想定している。
東電、値上げ期間は3年間を想定 賞与半減終了も同時
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2011年9月14日5時0分
来年度から15%程度の電気料金値上げを検討している東京電力が、値上げの期間を3年間と想定していることが13日、分かった。定期検査で停止中の原発が3年以内に再稼働すれば、火力燃料費の増加という値上げの理由がなくなるため。値上げが終了する2015年度には、削減中の社員賞与の水準を元に戻すことも検討している。
東電は、これらの意向を、原発事故の損害賠償に向けて同社の資産を調査している政府の「東電に関する経営・財務調査委員会」に、非公式に伝えた。調査委の会合では、東電のそもそもの電気料金の算定について「過去の電気料金の見積もりが過大」と批判が出ている。
東電、料金値上げ3年間想定 原発再稼働で10%下げも
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来年度から10~15%程度の電気料金値上げを検討中の東京電力が、値上げの期間を3年間と想定していることが14日、分かった。同時に、停止中の柏崎刈羽原発の再稼働を前提に、代替の火力発電に使う燃料費の増加という理由がなくなれば4年後からは料金を10%程度値下げするとしている。
この料金政策で東電は電気事業の収支を好転させ、社債発行による資金調達を再開するなど、福島第1原発事故で危機に陥った経営環境を抜本的に改善する計画を描いている。
東電はこうした計画について、原発事故賠償費捻出に向けて同社の資産査定などを進める政府の第三者委員会に非公式に説明した。
2011/09/14 13:34 【共同通信】
東電 電気代値上げ案を撤回…政府、世論の反発受け
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東電が、2012年度から時限的に電気料金を10~15%値上げする案を白紙撤回したことが分かった。同社の経営実態を調査する政府の第三者委員会が容認しない姿勢を見せているほか、与党内や世論の反発も強く、一段の経費削減を優先せざるを得なくなったためだ。ただ、値上げ幅を圧縮した新たな料金引き上げ案を再提示する可能性もある。
[ 2011年9月18日 06:00 ]
2011年10月
電気料金、10月も値上げ=LNG高で8カ月連続―東電など
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2011年8月19日3時6分
東京電力など電力会社の大半が10月も電気料金を引き上げることが18日、明らかになった。火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)の価格上昇が主因で、値上げは中部電力が7カ月、他の電力会社は8カ月連続。標準家庭の電気料金は、東電では9月に比べて78円程度上昇し、6854円前後となる見込み。中部電は100円近い値上げとなる。
一方、火力発電の燃料が石油主体の北陸電力などは10円弱の上げ幅にとどまる。北海道電力は、前月並みとなる見通し。
[時事通信社]
2011年11月
東電38円、中部電66円…11月も電力6社、ガス4社値上げ
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2011.9.29 17:11
電力10社と都市ガス大手4社は29日、11月の電気・ガス料金を発表した。算定基準となる6~8月分の液化天然ガス(LNG)価格が上昇したことから、電力は東京電力など6社が、ガスは4社すべてが値上げする。
東電の電気料金は標準家庭で38円値上がりし、6892円となる。3月からの合計では658円の上昇。電源のLNG比率が高い中部電力は66円の値上げ。値上げは東電など5社が9カ月連続、中部電は8カ月連続となる。
一方、価格が下落基調の原油依存度が高い北海道など電力4社は料金を値下げする。原子力発電所の稼働停止で各社は火力燃料への依存を高めているが、現行制度で使用量は価格に影響しない。
LNGを原料とする都市ガス大手も、10月に料金改定を実施した西部ガスを含め、全社が51~81円値上げする。
2011年12月
東電社長が電気料金引き上げ表明 まず4月から事業者向け
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2011.12.22 12:28 [エネルギー]
東京電力の西沢俊夫社長は22日、本店で記者会見し、工場やオフィスなど事業者向けの電気料金を来年4月から引き上げる、と発表した。また認可が必要となる一般家庭向けの値上げについても、「できるだけ早い時期に申請をさせていただきたい」と値上げ要望を表明した。
今回の事業者向け値上げは、福島第1原発事故に伴う代替火力燃料費の増加に対応するため。具体的な引き上げ幅は来年1月にまとめるが、2割程度の引き上げが予想される。
西沢社長は会見で「燃料費増による経常赤字構造を解消することが電気の安定供給のために急務」と述べた。値上げが実現すれば、昭和55年以来32年ぶり。
平成23年度の火力発電用燃料費は前年比8300億円増加するなど、合理化では吸収しきれないと判断した。
値上げ対象となるのは、料金設定が「自由化」されている契約電力50キロワット以上の顧客約24万件で、販売電力量の約6割を占める。
値上げ幅は柏崎刈羽原発(新潟県)の稼働状況などをみながら検討するが、今年度の燃料費増を吸収するには2割程度の引き上げが必要となる。
ただ、円高などに悩む製造業を中心に、経済界には電気料金の引き上げに対する抵抗感は根強い。西沢社長は「状況を説明して値上げの理解を得たい」とした。
一般家庭向け料金については、政府の中で慎重意見が根強い。経産省の有識者会議が来年2月に予定している料金制度に関する提言、東電が原子力損害賠償支援機構と来年3月にもまとめる総合事業計画を踏まえて考えるが、来春の申請と来夏からの値上げがひとつのタイミングとなる。