民主党所属の衆議院議員(5期)。経済産業大臣、原子力経済被害担当大臣。
消防庁の隊員を恫喝「言う通りやらないと処分する」
時系列
▼2011年03月18日?
政府側の人物から放水準備作業中の隊員に対して「言う通りやらないと処分する」との発言があった。
真相は不明だが、都関係者によると「処分」と発言したのは海江田万里経済産業相だという。
▼2011年03月19日未明~
東京消防庁が福島第一原発3号機に対して放水活動を行う。
▼2011年03月21日
石原東京都知事が首相官邸を訪ね、菅直人首相に抗議し発覚。
▼2011年03月22日
海江田、記者会見で謝罪。
- 「消防の方が不快な思いをされたのなら、申し訳なく思う」
- 直接隊員に言ったとされる点については否定。誰にどのような言い方をしたかは明らかにしなかった。
参考
東京消防庁放水「恐怖心を克服、プールに命中」
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東京電力福島第一原子力発電所の事故で、3号機の使用済み核燃料の一時貯蔵プールに19日未明に放水を行った東京消防庁の緊急消防援助隊の総隊長ら3人が同日夜、東京・大手町の同庁で記者会見を行い、「恐怖心を克服し、ミッションを達成できた」などと振り返った。
会見に出席したのは、現場に行ったハイパーレスキュー隊の冨岡豊彦(47)、高山幸夫(54)の両隊長ら。オレンジ色の作業服姿に黒いブーツを履いた冨岡隊長は大変だったことを尋ねられると、「隊員の士気が高いので……」と切り出し、絶句。しばらく声を詰まらせた後、「家族ですね。本当に申し訳ない。この場でおわびとお礼を申しあげたい」と唇を震わせながら目に涙を浮かべた。
高山隊長は、「(放射能という)目に見えない敵との戦いだった。短い時間で活動を終了するのが大変だった。仲間のバックアップがあったから良かった」と話した。
会見に同席した同庁警防部長の佐藤康雄総隊長(58)の説明によると、同隊はまず、18日午後5時過ぎ、同原発の正門から中に入った。当初の予定では、3号機そばの岸壁から直接海水をくみ上げることになっていたが、がれきや流木が現場に散乱して大型車が通行できなかったため、いったん撤退した。
同日午後11時30分、隊員約40人で再び敷地内に入った。そのうち20人が約350メートルにわたって手作業でホースをつなぐなどし、19日午前0時30分、屈折放水塔車の高さ約22メートルのホースから3号機に向かって20分間、毎分約3トンを放水した。
放水前の現場の放射線量は約60ミリ・シーベルトあったが、放水を終えた段階でほぼ0ミリ・シーベルトに。佐藤総隊長は、「(使用済み核燃料プールに)命中しているなと思った。139人の安全を確保しつつ、連続して大量の水を注入するミッションを達成できた」と笑顔で語った。
2度の活動に従事した約50人のうち、最も被曝(ひばく)量が多かった隊員は約27ミリ・シーベルトで、14~15ミリ・シーベルトが3人、10ミリ・シーベルト以下が45人いた。同庁は原子力災害の現場での被曝量の基準を30ミリ・シーベルトと設定しており、佐藤総隊長は「基準を満たすことができた。放射能の危険を熟知しているので、恐怖心を克服できた」と述べた。活動には、本人が承諾したハイパーレスキュー隊員を充てた。
(2011年3月20日01時28分 読売新聞)
政府から消防隊員に「処分」と恫喝 石原知事が首相に抗議
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2011.3.22 00:39
東京都の石原慎太郎知事は21日、首相官邸を訪ね、菅直人首相に対し、東京電力福島第1原子力発電所への東京消防庁の放水作業をめぐり、政府側から消防隊員に恫喝(どうかつ)まがいの発言があったと強く抗議した。会談後の石原氏の説明によると、政府側の人物から放水準備作業中の隊員に対して「言う通りやらないと処分する」との発言があった。
石原氏は、首相に「みんな命がけで行い、許容以上の放射能を浴びた。そういう事情も知らずに、離れたところにいる指揮官か誰か知らないが、そんなばかなことを言うのがいたら戦(いくさ)にならない。絶対そんなこと言わさないでくれ」と注文、首相は「大変申し訳ない」と陳謝した。
石原氏は記者団に「処分するという言葉が出て、隊員は皆、愕然(がくぜん)とした。(現場の)指揮官は、それが一番不本意だったと言っていた」と述べた。真相は不明だが、都関係者によると、「処分」と発言したのは海江田万里経済産業相だという。
また、長時間の放水で、放水車が一部故障し、以後の作業ができなくなったことも明らかにした。
これに関し、枝野幸男官房長官は21日夕の記者会見で「菅直人首相は、事実関係を把握し、善処が必要ならば政府として対応する、と(石原知事に)言った」と説明した。
一方、首相は、その後開かれた政府の緊急災害対策本部と原子力災害対策本部の合同会議であいさつし、「知事に私から改めてお礼を申し上げた」と述べた。また、「消防は国直属の機関ではなく、自治体や消防職員のボランティア精神で応援に駆け付けてくれた。命をかけて日本や国民を救うために努力されたことが、少しずついい方向に進む大きな力になっている」と称賛。ただ、知事からの抗議には触れなかった。
「言葉にできない。ありがとう」石原都知事、感極まり言葉詰まらせる 放水活動の消防隊員に謝辞
「処分」発言で海江田氏が陳謝 「直接話したわけではない」
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2011.3.22 22:45
海江田万里経済産業相は22日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所への放水作業を行った東京消防庁の消防隊員に対し、「言う通りやらないと処分する」と恫喝(どうかつ)まがいの発言をしたとされる問題について、「消防の方が不快な思いをされたのなら、申し訳なく思う」と謝罪した。
同時に「直接現場と話したわけではない」と述べ、直接、隊員に言ったとされる点については否定した。ただ、誰にどのような言い方をしたかは「こういう時期なので事実関係の詳細は控えたい」「事実の混同がある」「言った言わないになる」などと述べ、明らかにしなかった。
この問題は、東京都の石原慎太郎知事が21日に首相官邸を訪ね、菅直人首相に抗議したことから発覚。このとき首相は「大変申し訳ない」と陳謝している。石原氏によると、長時間の放水で、放水車が一部故障し、以後の作業ができなくなったという。
海江田氏は周囲に「自分が処分できるはずもない。内輪の話だ」と漏らしている。詳細は不明だが、海江田氏が直接、隊員に語った言葉ではなく、内々の場で思わず口がすべったものが間接的に隊員に伝わった可能性がある。