震災ゴミ処理「藤久建設」 ずさん報告、百条委で追及へ 宮城
2012.5.31 02:14
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■写真使い回しや作業員名を省略
東日本大震災による災害廃棄物処理業務を受注した石巻市の建設会社「藤久建設」が、市への業務完了報告書で写真を使い回したり、作業員名を省略したりしていたことが30日、分かった。市議会は一連の問題を追及する百条委員会設置を議論する臨時会を31日に開く。市議31人のうち20人が臨時会招集を求めており、委員会は設置される見通し。
市生活環境部によると、使い回しがあったのは、同社が市に提出を義務づけられていた災害廃棄物処理業務(昨年4月~今年3月)の報告書に添付された写真。
写真1134枚のうち、83枚がトリミングなどの処理をした使い回しで、報告書の日付と写真データの日付が一致しない写真も28枚あった。997枚はデータがなく、検証できなかったという。同じ現場にいたボランティア団体がネット上に公開していた写真も53枚使用していた。
市に提出した作業日報のうち、作業員名が明記されていたのは延べ150日間のうち15日間だけだった。
臨時会招集に賛同した石巻市議会震災復興促進特別委員会理事の阿部和芳市議は「ボランティアを作業員数に計上したり、実際に処理していない業務を架空請求していた可能性も残る。同社と市の担当者から聴取する」としている。
藤久建設の伊藤秀樹社長は「震災当時、故郷をなんとかしたいと思って始めた支援で毎日が忙しく、書類に不備が出てしまった。意図してやったことは一切ない。きれいになった現場を見てもらえれば分かると思う。調査にはきちんと答えたい」と話している。
伊藤社長は石巻市のボランティアの連携を取り持つ一般社団法人「石巻災害復興支援協議会」の前会長。しかし、無償貸与された重機の経費を市に不正請求していたとの一部報道を受け、同社は466万円を市に返還し、伊藤社長も会長職を辞任していた。
一方、市の調査では同社が廃棄物処理法が禁止する再委託(下請け)をしていたことも判明した。報告書によると、作業員名が作業日報にあった15日間のうち、8日間は別会社が業務主任者だった。業務主任者を務めた建設会社「マルソ」(東京)は「有償で業務委託を受けていた」としており、市は「下請負があったとみられる」としている。
環境省によると、昨年7月、下請け先を明記するなどの条件付きで下請けを認める法改正をしていたが、同社は7月以降も下請けを明示せず業務を続けていた。
同社が同時期に受注した家屋解体業務では、作業日報に作業員名が記された延べ893日間のうち、業務主任者と作業員の会社が一致しない日が少なくとも136日間あった。業務主任者を、従事する会社から出すよう定めた労働者派遣法に抵触する偽装請負だった可能性がある。
市の担当者は「有事と平時は違う。弁護士と相談し、告訴しないことに決めている」と話している。
石巻・がれき処理不適切会計 別業者の報告書も不備
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宮城県石巻市の建設会社が市から請け負った東日本大震災のがれき処理業務で不適切な会計処理などがあったとされる問題で、同社以外の受注業者が市に提出した業務報告書にも必要事項が記入されていないなどの不備があることが22日、市の調査で分かった。
市は問題となった建設会社を除き、がれき処理業務に携わった124社のうち30社を無作為に抽出して調査。昨年4~6月の報告書を調べたところ、29社で不備が確認された。
報告書は作業日時と場所、人員、車両が分かるように、現場の写真も求めているが、使用機械の種類と台数の未記入や写真の未提出、同じ写真を数日連続で使うなどのケースがあった。4月分で重機など475台を使用したと報告した業者は、写真に重機が1台も写っていなかった。
問題視された建設会社は、別々の日付の作業報告に同じ写真を添付していたことが明らかになった。
調査の概要は市議会6月定例会で説明された。亀山紘市長は答弁で「震災後の混乱期ではあったが、今回の問題を教訓に庁内で対応を検討する必要がある」と述べた。
2012年06月23日土曜日
石巻・がれき処理不適切会計 建設会社社長が宣誓拒否
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東日本大震災で宮城県石巻市の建設会社が市から請け負ったがれき撤去業務で不適切な会計処理などがあったとされる問題で、市議会の調査特別委員会(百条委員会)は28日、証人喚問を行った。建設会社社長(49)は「刑事訴追を受ける恐れがある」として宣誓を拒否したため尋問は見送られ、社長が3月まで代表理事を務めた石巻災害復興支援協議会の役員2人が証言した。
社長は冒頭、「これまでの市議会で犯罪行為があったかのような発言があり、告訴・告発を強硬に求める主張もある」と宣誓拒否の考えを表明した。尋問には応じる姿勢を示したが、百条委は「証言の真実性を担保できない」として打ち切りを決めた。
市によると、建設会社は昨年、がれき処理と家屋解体の業務費用を市に請求した際、日本財団が協議会に無償貸与し同社が使っていた車両の経費も含めて計上した。社長は「誤請求だった」と認め、約480万円を市に返還している。
喚問で、市内で活動するボランティア団体やNPOなどを支援している協議会の代表理事(29)と理事(40)は、建設会社のがれき処理業務や費用請求には関与していなかったと強調した。
◎「誤請求だった」社長、不正否定
石巻市議会の百条委員会で証人喚問された建設会社社長は28日、市役所で記者会見し、震災がれき撤去業務をめぐる会計処理について「誤請求だった」と不正を否定した。
代表理事を務めていた石巻災害復興支援協議会から運用を委託された車両の使用経費も含めて市に経費を請求したことは「非常に反省し、道義的責任を感じている。(代表理事辞職で)責任は取った」と述べた。
喚問で宣誓を拒否したことに関しては「真相究明より、刑事告発が目的だ。偽証でも何でもいいので、告発しようとしている。この状況で宣誓はできない。良心に従い、(百条委で)発言はしたい」と説明した。
2012年06月29日金曜日
東日本大震災:がれき処理不正請求 建設会社社長が宣誓拒否、証人喚問せず""石巻市議会百条委 /宮城
毎日新聞 2012年06月29日 地方版
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東日本大震災のがれき処理などを請け負った石巻市の建設会社が、無償貸与トラックの使用料なども含めて処理費用を請求し市が支払っていた問題で、市議会調査特別委員会(百条委員会)が28日、開かれた。証人として出頭した建設会社社長の男性(49)は、「複数の委員が告訴、告発を強硬に主張しており、著しい利害関係が生じる」として宣誓を拒否したため、証人喚問は行われなかっ
記者会見した男性は「(市議会では)真相を究明するよりも最初から刑事告発ありき」と指摘したうえで、「誤った請求があったのは事実で自主的に返納した。今後も出頭要請には応じたい」と述べた。
またこの日は、石巻市に訪れたボランティア団体の調整業務などを行う民間団体の役員2人の証人喚問も行われた。同団体は男性が会長を務めていたが、問題発覚後の3月に辞任している。【須藤唯哉】
ボランティアの経費」2億円チョロまかし
2012年11月5日 10時58分
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震災地の中でも甚大な被害を受けた宮城県石巻市。今なお仮設住宅暮らしを余儀なくされている人がいる一方、ガレキ処理で不正に儲けたヤカラに捜査のメスが入った。
震災から1年半が経過した今、自治体によってガレキの処理費用に大きな開きがあることが問題視されている。NHKの調査によると、石巻市の費用は1トン当たり7万1000円。これは被災地の中でも最高額で、最低額である宮城県東松島市の実に約7倍に当たる。なぜ、ここまで金額に差が出るのか。
地元紙記者が解説する。
「費用がかさんだ理由の一つはガレキの集め方です。十分な分別をせずに集められたガレキを金属や木材に分類するための機械や人手が必要となったんです」
機械や人手だけでなく、時間もよけいにかかった。そのため処理待ちのガレキからハエが発生し、その駆除のための薬品代もかさんだという。ところが、これだけではなかった。
「石巻市の費用が突出したのには、処理方法以外にも理由があるんです」(前出・地元紙記者)
先月13日、一通の告発状が宮城県石巻警察署に受理された。提出者は石巻市議会。被疑者は同市で「藤久建設」を経営する伊藤秀樹社長(49)だった。告発理由は「正当な理由なく資料の提出を拒んだ」という地方自治法違反の容疑だ。これこそが、石巻市のガレキ処理費の高額化とも無関係ではないというのだ。
「藤久建設が市から請け負ったガレキ処理の費用請求に不審な点があるとして、議会が今年の5月に調査特別委員会(百条委員会)を設置し調査を続けていました」(全国紙仙台支局記者)
つまりこういうことだ。議会側は伊藤社長に対し、会社の帳簿や税務申告書を提出するよう求めた。しかし、伊藤社長が「営業上の秘密が保てなくなるおそれがあり、委員会の調査権限の範囲を超えている」と拒否したことから、議会による告発という事態に至った。
伊藤社長は、震災後に石巻市で組織された「石巻災害復興支援協議会」(協議会)の会長を今年春まで務めていた。この協議会は、全国から同市に集まってきたボランティアを統括。受け皿不足からボランティア受け入れを断った自治体もあった中で、行政とボランティアとの協力関係をうまく築き、メディアから「石巻モデル」などと称賛されたものだった。
一方で、地元建設業者の間では「藤久建設がボランティアを使ったガレキ撤去作業で儲けている」という疑いの声がささやかれ、今年3月には市が調査を開始。
すると、同社による巧妙かつ悪質な手口が明るみに出てきたのである。
「協議会には日本財団から非営利目的でトラックやダンプカーが貸し与えられていたのですが、藤久建設はそれらの車両を自社の事業に流用し、ガレキ撤去にボランティアも総動員した。その経費として市に請求した額は1億1000万円。さらに倒壊家屋や事業所の解体撤去業務でも約2億円を稼ぎ出していたのです」(地元ジャーナリスト)
震災後、市内の建設業者や解体業者はガレキ処理を受注しようにも、車や機材、人手が足りずに手をこまねく状況だった。そんな中、藤久建設は協議会への支援物資をうまく利用。ボランティアのガレキ作業を自社の作業にすり替えて荒稼ぎしたというのだ。
「業者が処理業務の費用を市に請求する際には作業中の写真を添付しなければならないのですが、これらの写真に、協議会に貸し出されていたオフロードトラックが写っていたことから疑惑が浮上しました」(前出・地元ジャーナリスト)
藤久建設には車両借り上げ費として市から約500万円が支払われたが(のちに返還)、協議会の車両を流用していたのだから借り上げ費が派生するはずはない。
さらに、同社が請求書に添付した写真には、所属団体名を示す胸当てなどをつけたボランティアまで写っており、伊藤社長が協議会におけるボランティア活動の記録写真を自社のガレキ処理の施工写真として使用した疑いが濃厚なのだ。しかも請求に当たっては、同じ写真を場所と時間を偽って何度も繰り返し添付。実際の作業期間より長期にわたったように見せかけ、請求額を膨らませたのではないかとも見られている。
前出の仙台支局記者は次のように指摘する。
「藤久建設の行為は追及されてしかるべきですが、市側が単純に被害者かというとそれも疑問です。確かに庁舎が水浸しになるなどの異常事態で、書類や写真のチェックまで手が回らなかったという事情はわかりますが、役所内に地方都市ならではの、しがらみがあった点も見逃せません」
“しがらみ”とは何か。実は、疑惑が明るみに出て以降、伊藤社長は「市の職員の指示に従ってやっただけ」という趣旨の発言をしているというのだ。
「伊藤社長の身内にはベテランの県会議員がいます。この県議は前回の市長選で亀山滋市長を支援したことで、市政にも強い影響力を持っている。それだけに、彼を通じて市職員が伊藤社長に何らかのサジェスチョンを与えたのではという憶測を呼んでいます」(前出・地元ジャーナリスト)
前出の東松島市は「復興費は全国の皆さんが負担しているのだから1円でも安くするのが使命」と言って、最少コストでの処理に成功した。
この姿勢は全ての自治体に貫いてほしい。
石巻市復興を考える掲示板2