外国人1万人に無料航空券…観光庁11億円予算
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観光庁は、東日本大震災後に激減している外国人観光客の回復を狙い、2012年度に全世界から、旅費無料で1万人の一般観光客を日本に招待する方針を固めた。
募集は主にインターネットを通じて行い、応募者の旅行計画などが審査に合格すれば、日本への往復航空券を提供する。
こうして来日する旅行者には、日本滞在中にインターネットで世界へ情報発信してもらう方針だ。日本国内の滞在が安全・安心であることを口コミで世界的に広げる効果を見込んでいる。旅行者にはこのほか、震災後の日本旅行についてアンケート調査をしたり、新たな日本旅行のモデルとなるような旅行プランを提案してもらったりする。事業費として、観光庁は12年度予算の概算要求に11億円を盛り込んだ。
震災後、東京電力福島第一原子力発電所の事故もあり、海外の旅行者が日本を敬遠する状況が続いている。来日外国人数は、4月に前年同月比62・5%減まで落ち込んだ後、8月になっても同31・9%減の54万6800人にとどまった。
その前の2010年には、前年比26・8%増の約861万人で過去最高を更新していた。政府は将来的に来日外国人数を3000万人に引き上げる目標を掲げている。
(2011年10月11日12時01分 読売新聞)
2012年1月6日23時3分
外国人1万人無料招待、幻に 観光庁企画、予算通らず
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観光庁の「外国人1万人無料招待」の企画案が、2012年度予算で1円も認められなかった。東日本大震災で落ち込んだ来日客数 を回復させようというねらいだったが、財務省の壁は厚かった。海外メディアは「DreamOver(夢、終わる)」と伝えた。
企画案によると、外国人に無料航空券を渡し、日本を旅行してもらう。ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS)などに書き込んでもらい、「口コミ」で日本の安全を世界に発信しようというもくろみだった。
観 光庁は、必要な費用として11億円を予算要求。「1万人が国内に滞在する経済効果は13.1億円、経済波及効果は31億円」と強調した。だが、財務省は、 「本当に外国人客が増えるのか疑問」「予算のばらまきになる」などとして、企画案を却下。米紙ウォールストリート・ジャーナル日本版は、「多くの人が夢見 た日本訪問が、夢のまま終わることが決まった」と伝えた。
観光庁の担当者は「外国の期待が高かったので残念」と話す。ただ、東北・北関東に外国人を誘致する別の事業費約6億円のなか で、外国人にブログやSNSを使った情報発信を呼びかけ、震災イメージを払拭(ふっしょく)したいとしている。(南日慶子)