2012年12月の記事
緊急雇用事業委託のNPO法人 137人分の給与払えず
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東日本大震災で被災した岩手県山田町から国の緊急雇用事業の委託を受けているNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと。」(北海道旭川市)が、本年度事業費約7億9000万円のほとんどを既に使い切り、地元の雇用者137人に12月分給与を支払えないことが11日、分かった。事業費について町と大雪側の見解が食い違っており、町は詳しく調べている。
関係者によると、大雪は津波の行方不明者の捜索や防犯パトロール、町内の銭湯運営などをしている。本年度は事業費7億9000万円のうち、人件費約4億5000万円、リース料など約3億3000万円の計画だった。12月分給与は137人約2700万円。
12月上旬段階で、本年度予算残高は約75万円しかなく、町は1億6000万円を増額する補正予算案を町議会12月定例会に提出予定だったが、10日の町議会全員協議会で反発を受け見送った。
町は使途を明確にした書類の提出を大雪側に求めており、佐藤信逸町長は「現在、詳しく調査している」と述べた。
大雪の岡田栄悟代表理事は「年度当初から事業費は不足すると伝えており、年度内の補正予算を当てにしていた」と説明。「使い込みはない。雇用を守るため町と協議したい」と話している。
2012年12月12日水曜日
復興支援NPO、雇用町民への給与支払えず
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東日本大震災の津波で被害を受けた岩手県山田町で、被災者の緊急雇用事業を町から受託しているNPO法人「大雪りばぁねっと」(北海道旭川市)が今年度の事業費の大半を使い切り、雇用している町民137人に12月~来年3月分の給与を支払えない事態となっていることが11日、分かった。
法人は同日から受託事業を当面休止にし、雇用した町民を自宅待機とした。
町によると、法人は事業費約7億9141万円の大半を使い、残金は約75万円だという。事業費は全額国費で賄われている。
町は10日の町議会全員協議会で、事業継続のために約1億6000万円増額する補正予算案を、12月定例議会に提出する方針を提示。議会からは「予算の範囲でやるべきだ」などと反発の声が上がり、11日の町議会一般質問でも「法人の提案を丸のみしていたのではないか」などと質問が出た。
答弁に立った佐藤信逸町長は、事業に関する書類の提出を催促したにも関わらず法人が応じなかったことや、9月に町総務課に復興事業支援室を設け、職員2人を実質的な法人の監査役としていたことを明らかにした。2人は7月分まで遡って書類を調べていたが、11月末、法人から給与が支払えない旨の連絡があった。豊間根和博総務課長は「改めて(法人の経営を)調査して報告したい」と述べた。
法人は昨年5月、厚生労働省の震災等雇用対応事業を町から受託。行方不明者の捜索や防犯パトロール、無料銭湯の運営などを行っている。今年度の事業計画では、人件費が約4億5000万円、車や潜水機材のリース料などが約3億3000万円となっている。
法人の岡田栄悟代表理事は「当初から事業費が足りないと町に言っていた。(給与を)支払えるように何とか資金繰りをしたい」と話している。私的な流用はないとしている。
(2012年12月12日22時56分 読売新聞)
山田町のNPO法人問題 取引先代表に法人側男性
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岩手県山田町が事業を委託したNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと。」(北海道旭川市)が本年度の緊急雇用事業費をほぼ使い切った問題で、取引先のリース会社の代表を法人の男性メンバーが務めていたことが18日、分かった。
リース会社名は「オール・ブリッジ」。大雪が被災者向けの無料銭湯(昨年12月完成)を整備するのに合わせ、メンバーが昨年8月3日、町内に設立、代表に就任した。
町などによると、緊急雇用事業制度は、資産形成につながる事業への出費を禁止している。そのため、大雪は施設をリースする必要があったとみられるが、リース会社設立の必要性や詳しい取引内容などは分かっていない。
ことし4月下旬には、リース会社の本店を、代表の出身地である石川県に移転していることも判明した。代表は町に対し「確実に事業を行うために、実家のある石川県に移した。他意はない」と説明しているという。
町は発注者と受注者が密接な関係にあることを問題視し、リース料増加が事業費使い切りの原因の一つとみて調査する。
大雪が本年度、リース会社から借りているのは、災害対応資機材と船外機付き上陸用ボートの2名目。リース料は1億1450万円。
2012年12月19日水曜日
実績把握せず委託 NPO雇用費使い切り問題 岩手・山田町
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NPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)が東日本大震災で被災した岩手県山田町から委託を受けた緊急雇用事業の本年度事業費をほぼ使い切り、被雇用者の人件費が支払えなくなっている問題で、町が大雪の過去の活動実績を把握せずに事業委託していたことが19日、分かった。
事業報告書や会計収支計算書などは、大雪を所管する北海道が2010~11年度分をホームページで公開、07~09年度分は旭川市に情報公開請求できる。だが、町はこうした実績評価を入手することなく委託先に選定、次年度への継続も決めていた。
大雪が旭川で活動していた05~10年度の年間売上高は約450万~約780万円にすぎなかった。山田町から事業を受託した前年度は一気に約4億3700万円となり、本年度予算では約7億9100万円とさらに急増している。県雇用対策課は「途中で事業を拡大する際には、町はもっと慎重である必要があった」と指摘する。
町総務課は「震災の状況下で委託先を検討する余裕はなかった。大雪を信頼し、2年目もそのまま契約を更新した」と話している。
2012年12月20日木曜日
山田町雇用事業費使い切り問題 委託先の緊急点検通知
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NPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)が、東日本大震災で被災した岩手県山田町から受託した緊急雇用創出事業の本年度事業費をほぼ使い切り、給料の支払いができなくなっている問題を受け、岩手県は同事業を委託している県の機関や市町村に対し、委託先の事業の執行状況を緊急点検するよう通知していたことが20日、分かった。通知は13日付。
県雇用対策課によると、県内で本年度採択された同事業は862件(11月末現在)。緊急点検は継続中の委託事業すべてが対象で、県や市町村の担当課が委託先の民間企業やNPO、シルバー人材センターなどに対して行う。期限は年内としている。
具体的には、委託者が委託先に立ち入るなどして会計書類を調査。賃金の遅配がないか確認するほか、事業費の前払いがある場合には資金の執行状況が適正かどうかを検査する。事業費の使途に不備がある場合には是正を求める。県雇用対策課は「大雪と同様の問題がほかにないか、速やかに点検を実施してほしい」と話している。
大雪の問題では、山田町が18、19の両日に集中検査を実施し、21日の町議会全員協議会で結果を報告する。
2012年12月21日金曜日
無料浴場1億3330万円で発注…岩手NPO
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岩手県山田町で被災者の緊急雇用創出事業を受託しているNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと」(岡田栄悟代表理事)が給与のほとんどを支払えなくなっている問題で、法人がリース会社にリース料を支払って運営している無料浴場の建設を、昨年度、盛岡市の建設会社に約1億3330万円で発注していたことが20日、分かった。
法人は昨年度、組み立て費約4276万円を建設会社に支払ったが、使途に不明な点の多いリース料の一部が建設会社への支払いに充てられた可能性もあるとして、県も近く、町からの要請を受けてリース契約の実態などを調べる方針。
県などによると、法人が町から受託した緊急雇用創出事業の一環として運営していた無料浴場「御蔵の湯」(営業休止中)を建設したのは盛岡市の建設会社。県が確認した契約書によると、消費税抜きで1億2695万円で、法人から請け負っている。
ところが、浴場(未登記)の所有権は、法人が組織する「山田町災害復興支援隊」の副隊長が代表を務めるリース会社「オール・ブリッジ」(石川県加賀市)にあるとされ、昨年度はリース料として2400万円が緊急雇用創出事業の事業費から支出されている。
緊急雇用創出事業費では、財産形成につながる50万円以上の物品購入ができない規定となっているため、鉄骨などについてリースの形をとったとみられる。オール・ブリッジの資本金は50万円で、金融機関から融資を受けている形跡がみられないにもかかわらず、浴場や船外機付上陸用ボートなどを法人にリースし、昨年度と今年度で計約1億8000万円を受け取っている。
町の緊急雇用創出事業に対する県の窓口となっている県沿岸広域振興局の宮古地域振興センターは「リース契約を結んでいる以上、所有権はリース会社にあるはず」としているが、県雇用対策・労働室では「実質的な所有権はどこにあるのか、契約の内容を確認したい」としている。
建設会社の担当者は「オール・ブリッジという会社は知らない」としている。
(2012年12月21日 読売新聞)
山田町の雇用事業NPO休止:盛岡の業者に「御蔵の湯」発注疑惑 県も事実関係確認へ /岩手
毎日新聞 2012年12月22日 地方版
魚拓:
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NPO法人「大雪りばぁねっと。」が無料銭湯「御蔵の湯」の建設を、盛岡市内の建設業者に約1億3330万円で発注していた疑いが浮上した。法人が町から受託している緊急雇用創出事業では、建物の建設や50万円以上の資産形成は補助金の対象外となっており、県も町と協力して事実関係の確認を進めている。
「御蔵の湯」を建設した業者が県に提出した工事経歴書では、発注者の欄には「大雪りばぁねっと。」と記載。税抜きで1億2695万円の請負金額で昨年9月に着工した。
これまで法人側は「御蔵の湯」について、法人の関係者が代表を務めるリース会社にリース代を払って運営していると説明。岡田栄悟代表理事は、町に対して「補助をもらうためにリース会社を探したが見つからず、自分たちで設立した」と話しており、補助金目当てに実態のないリース会社を設立した可能性もある。
県雇用対策・労働室の阿部信弘室長は、「御蔵の湯」について、「実際に法人と建設業者が直接契約を結んでいたのであれば、雇用創出事業の規定に抵触する。所有権や税金を誰が支払っていたかを調べ、全容を解明したい」と話す。
また、県は13日付で市町村に対し緊急雇用創出事業を委託する民間企業やNPOなどへの緊急点検を指示。年内中に、会計書類などの帳簿を調べ、賃金の遅配や、前払いした事業費が適正に執行されているか検査するよう求めた。【宮崎隆】
山田町の雇用事業NPO休止:町長、事業打ち切り明言 資金使途調査結果、議会全員協に報告 全容解明はできず /岩手
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NPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の資金の流れについて集中検査を行った町は21日、町議会全員協議会で、「全容解明はできなかった」と報告した。佐藤信逸町長は事業の早期打ち切りを明言した。これにより、法人が雇用している137人の解雇が現実味を帯びてきた。...
2012年12月22日12時06分
岩手・山田町雇用事業費使い切り問題 町長、事業打ち切り明言
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東日本大震災で被災した岩手県山田町で、NPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)が町から委託された緊急雇用事業の事業費をほぼ使い切り、被雇用者に給与を支払えなくなっている問題で、佐藤信逸町長は21日の町議会全員協議会で、事業を打ち切ることを明らかにした。
佐藤町長は「事業費の使途が明確ではなく、町民の理解が得られない」と説明。137人の雇用について「解決策があるかどうか、県と相談して対応したい」と述べた。
議員からは「職務怠慢だ」「これでは国から予算が来なくなる」など、町の責任を追及する厳しい声が出た。
大雪に対し18、19の両日行った町の集中調査では、金銭出納帳がなかったり、領収書の費目がなく何に使われたか不明だったりしたため、運営実態が把握できなかったことが報告された。
特にリース料名目の支出に不審な点が多く、災害対応資機材名目のリース料1億850万円の内訳が分からないほか、振り込み先が確認できない6000万円の支出もあった。
大型発電機などの災害対応資機材は、大雪の関係者が代表を務める会社「オール・ブリッジ」からリースされる形になっており、町は大雪に資料提示を求めたが、岡田栄悟代表理事は「時間が欲しい」として提出していないという。
大雪は震災直後に山田町に入り、緊急雇用事業で支援物資の配分や津波の行方不明者の捜索、防犯パトロール、銭湯運営などをしている。本年度は事業費約7億9000万円をほぼ使い切り、地元の被雇用者137人の12月分給与計約2700万円の大部分が支払えない状態になっている。
◎被雇用者に不安広がる
岩手県山田町の佐藤信逸町長が、NPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)への委託事業の打ち切りを表明した21日、被災後の再就職先を突然失った被雇用者の間に不安が広がった。
「まさか」。給料未払いで自宅待機中の40代男性は町長の事業打ち切り方針に言葉を失った。
町内で被災し、わらをもつかむ思いで1年ほど前、大雪で仕事を得た。17日に12月分給与の一部5万円を受け取ったが「足りない。次の就職先も未定だし、この先どうしよう」と途方に暮れた。
同町船越の大雪事務所から出てきた別の男性は「残念です」。うつむきながらつぶやくと、足早に車に乗り込んだ。
地域経済への悪影響を懸念する声もあった。目玉事業で今月上旬、営業を休止した無料銭湯。1日400~500人が利用し、周辺の商店で買い物をする姿も見られた。商店主の一人は「客足が遠のき、みんな財布のひもがきつくなった」と表情を曇らせた。
岩手県沿岸広域振興局の菅原和弘副局長は「雇われていた人たちに落ち度はない。町やハローワークと連携し、雇用者の不安を解消したい」と話した。
2012年12月22日土曜日
山田・雇用事業費使い切り問題 町と岩手県が調査開始
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岩手県山田町で被災者らを雇用するNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと給与未払い問題で、町は22日、「支出内容に不明な点が多い」として、県と合同調査を始めた。期間は28日まで。
町役場に佐藤信逸町長ら町の8人と県の担当者ら5人が集まり、町が行った集中調査で大雪から集めた領収書や伝票をチェックし、今後の調査方法などを協議した。
町の調べでは、緊急雇用事業費の多くを占めたとみられるリース料と材料費の支出が不明確で、大雪の関係者が代表を務めるリース会社「オール・ブリッジ」との取引状況を示す資料が提出されていない。
大雪の岡田栄悟代表理事は、ブリッジ社の関係資料を来年1月7日に提出するとしている。
佐藤町長は「事務上の手続きを含め、県と慎重に調査する」とし、岡田代表理事とブリッジ社代表の2人を同席させて合同調査を行う方針。
大雪は本年度の事業費約7億9000万円をほぼ使い切り、被災者ら137人の12月分の給与計約2700万円の大部分が未払いになっている。
佐藤町長は21日の町議会全員協議会で事業打ち切りを表明。未払い給与の扱いや雇用対策なども県と話し合う。
2012年12月23日日曜日
エンジン交換に1700万円 山田・NPO法人問題
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山田町が緊急雇用事業を委託するNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと。」(北海道旭川市、岡田栄悟代表理事)が本年度の予算を使い切ったとされる問題で、同法人が、無償で借りていた三陸やまだ漁協の監視船のエンジンを、本年度事業費から約1700万円を投じて交換していたとみられることが22日、分かった。雇用者に「階級」を設定し、給与に差をつけていたことも判明。放漫ともいえる支出実態が浮き彫りとなった一方で、町内の業者への商品代金未払いがあり、事業打ち切りの影響は雇用者以外にも広がりそうだ。
法人側は、エンジン交換は「リース料」名目で支払っていたとしているが、町によると、この支出は当初計画になかったという。
同漁協によると、監視船は造船から20年以上経過した6トン級。震災直後から無償貸与され、法人は緊急雇用事業として、遺体捜索や密漁監視に使用し、最近まで使われている。
昨年末ごろ、法人が「エンジンが消耗しているので交換したい」と申し出、今春交換。法人は監視船の「リース料」として約1700万円を漁協に支払い、漁協が交換した業者に支払ったという。
【写真=本年度の緊急雇用事業の資金で新しいエンジンに交換したとされる監視船=山田町】
(2012.12.23)
岩手・山田NPO問題 町、あす相談窓口設置
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岩手県山田町で被災者らを雇用するNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと被雇用者への給与未払い問題で、佐藤信逸町長は25日、被雇用者向けに雇用や法律問題についての相談窓口を設ける方針を明らかにした。
佐藤町長は「被雇用者から相談が寄せられている。弁護士対応や今後の雇用について相談する窓口を設け、不安解消に努めたい」と述べた。事業費の使途の全容解明が難航していることもあり「(被雇用者からの)内部告発があれば問題が解決に進む」と、相談内容によっては司直の手に委ねる方針も示唆した。
町総務課によると、窓口は27日に設ける予定という。
佐藤町長は26日中に大雪の岡田栄悟代表理事を町役場に呼び、事業打ち切りを伝える。
2012年12月26日水曜日
被災者雇用:受託NPO法人の事業打ち切り 岩手・山田で
2012年12月26日 19時17分
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今年度の予算約7億9000万円を使い切ったとして11日に活動を休止し今月支給予定の給与の大半も未払いとなったため、町が事業の早期打ち切りを決めた
11月下旬、「資金がなくなった」と町に通告。町が検査したところ、金銭出納帳がなく資金の管理状況が確認できなかったほか、不適切な処理が多数見つかった。
雇用費使い切り問題のNPO 137人全員を解雇
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岩手県山田町で被災者らを雇用するNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと被雇用者の給与未払い問題で、大雪が地元から採用した137人全員に解雇を通知したことが26日、分かった。
町総務課によると、解雇は被雇用者に電話やメールで25日に通達。大雪の関係者が同日、旭川市のハローワークから約140人分の離職票を受け取った。
大雪は年内をめどに解雇の手続きを完了させる。失業手当の受け取りは来年1月からの見込み。雇用期間が短いなど、受給条件を満たさない従業員も11人いるという。
大雪で施設管理を担当していた従業員女性(54)は「解雇すると電話で一方的に言われた。しかも従業員仲間からの連絡だった。詳しい事情を知りたい」と話した。
解雇を受け、佐藤信逸町長は「被雇用者たちが生活設計を立てている最中の解雇で、非常に残念だ」と強調。来年、弁護士ら識者でつくる第三者委員会を発足させる方針も示した。
町は27、28の両日、元従業員らを対象にした雇用、法律の相談窓口を町役場3階に設置する。時間は午前9時~午後5時。27日午後1時30分からは町中央公民館で被雇用者対象の説明会も開く。
大雪は本年度の事業費約7億9000万円をほぼ使い切り、被災者ら137人の12月分の給与計約2700万円の大部分が未払いになっている。
2012年12月27日木曜日
復興支援NPO、全従業員を解雇…岩手・山田町
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岩手県山田町で被災者の緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪りばぁねっと」(北海道旭川市、岡田栄悟代表理事)が従業員に給与のほとんどを支払えなくなっている問題で、法人は25日付で全従業員137人を解雇した。
佐藤信逸町長は26日、従業員向けの雇用対策を急ぐ考えを示した。27日に説明会を開くほか、27、28日には町役場に相談窓口も設ける。
法人は25日夜、従業員に対し、電話で解雇する旨の連絡を行った。26日に役場内で臨時庁議を終えた佐藤町長は報道陣に対し、「岡田氏から解雇の事実を確認した。町としては早急に雇用対策を進めていかなければならない」と述べ、「(従業員は)本来なら年度末までの生活設計をしているのに(解雇は)非常に残念だ」と語った。
旭川公共職業安定所(旭川市)によると、法人は25日に全従業員分の離職票を受け取り、26日には担当者が訪れ、必要事項を記入した約20人分を提出。同職安は内容を確認し、同日中に法人に返却したという。
26日には佐藤町長と岡田氏との会談が予定されていたが、岡田氏は町役場に姿を現さなかった。佐藤町長は「(岡田氏は)東京にいるようだ。(会えなくて)非常に遺憾だ」と述べた。
解雇された従業員からは不安の声も聞かれた。25日夜に電話で解雇の連絡を受けた50歳代男性は「次の身の振り方もある。解雇を決めてもらったのはよかった」としながら、「『25日分まで給与を支払う』と聞いた。いくら払ってくれるのか……」と語った。
説明会は27日午後1時半から町中央公民館小ホールで開かれる。相談窓口は町役場3階に設置され、宮古労働基準監督署、宮古公共職業安定所の担当者、県職員らが常駐する。町によると、来年1月4日から、同職安が同町内に雇用保険の手続きに関する臨時窓口を開設する予定だという。
(2012年12月27日 読売新聞)
岩手・山田町NPO問題 町、元従業員に説明会
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岩手県山田町で被災者らを雇用するNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと被雇用者の給与未払い問題で、町は27日、大雪に解雇された元従業員を対象に、雇用や法律問題についての説明会を開いた。
説明会は非公開で、元従業員107人が出席した。町は問題のこれまでの経緯を説明。出席した宮古労働基準監督署の担当者は、国の未払い賃金立替払制度を活用できる可能性を示し、調査・判定に2、3カ月かかることなどを説明した。
元従業員からは「(国の制度を使えるにしても)支払いまで数カ月も待てない」「納得いかない」といった声が上がったという。大雪の岡田栄悟代表理事が欠席したことや、町の責任を追及する意見も出た。
元従業員の男性(44)は「何を聞いても町は『調査中』と答えるだけ。未払い金を早く受け取りたいが、難しそうだ。意味のない説明会だった」とため息をついた。
佐藤信逸町長は「厳しい声もあった。問題の全容解明がなされておらず、納得してもらえない人たちがいる。じくじたる思いだ」と話した。
大雪は本年度の事業費約7億9000万円をほぼ使い切り、被災者ら137人の12月分給与計約2700万円の大部分が未払いになっている。佐藤町長は21日の町議会全員協議会で事業打ち切りを表明、大雪は25日に137人全員を解雇した。
2012年12月28日金曜日
2013年01月上旬~中旬の記事
岩手・山田 雇用費使い切り問題 NPO、事業継続を希望
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岩手県山田町で被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと被雇用者の給与未払い問題で、大雪の岡田栄悟代表理事は4日、町役場を訪れ、事業を継続する意思を伝えた。
町総務課によると、岡田代表理事は弁護士を伴い関係者4人で来庁。弁護士は、被災者支援を継続できる可能性などについて町に質問した上で「本来の(事業の)目的を達成したい」と訴えたという。
町は佐藤信逸町長ら6人が応対し「補正予算などで事業費を捻出するのは町民の理解を得られない」「今後の対応は県と協議している」と答えた。
事業費の多くを占めながら、これまで不明だったリース料の会計資料の提出日は今月7日に設定されているが、岡田代表理事は「ほとんどそろっている。当日提出する」と話したという。
大雪を解雇された元従業員の失業手当の受け取り手続きも同日始まり、ハローワーク宮古が山田町に出張して集中受け付けをし、110人が訪れた。
2013年01月05日土曜日
山田町の雇用事業費使い切り問題 NPOのずさん運営続々
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東日本大震災で被災した岩手県山田町で、被災者らを雇用するNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと従業員給与の未払い問題は、町と県の調査で、ずさんな事業費運用が明るみに出た。大雪は7日、事業費支出に関する資料を提出するとしているが、全容解明には時間がかかりそうだ。
<残高わずか75万円>
大雪は震災直後の2011年3月下旬、ボランティア団体として山田町に入った。旭川市などで水難救助技術の普及に取り組んできた実績を生かし、津波による行方不明者の捜索に携わったほか、全国からの支援物資の配分も行った。緊急雇用事業は同年5月下旬に町から受託した。
本年度は事業費約7億9000万円のうち人件費約4億5000万円、リース料約1億9000万円などを見込んでいた。ところが昨年12月上旬、既に残高が約75万円しかないことが発覚した。
町は当初、補正予算の計上で乗り切る考えだったが、町議会の反対で断念。佐藤信逸町長は12月21日、事業の打ち切りを表明し、大雪は25日に従業員137人全員を解雇した。
大雪は被災者向け無料入浴施設「御蔵(おぐら)の湯」(2011年12月完成)を整備するために11年8月、メンバーの男性を代表とするリース会社「オール・ブリッジ」を設立した。緊急雇用事業では資産形成につながる出費を禁じているため、施設をリースする必要があったとみられる。
しかし、事業運営に関する大雪の書類管理はずさんで、県、町の調査でもリース会社の設立経緯や同社との取引内容は分かっていない。
<「私的流用はない」>
事業費の半分以上を占める人件費では、月給30万~40万円になる従業員もいて、町民からは「業務内容の割には、高額すぎる」と疑問の声が上がっていた。
大雪の岡田栄悟代表理事は、委託を受けた当初の事業に加え、町からの依頼で観光や産業の復興など多くの仕事を受け持ち、年約12億円が必要だったとし「年度当初から事業費は不足すると伝えており、町も把握しているはず。私的な流用はない」と弁明している。
ほかにも、大雪の事業運営には不明朗な点が多い。元従業員によると、給与から差し引かれていた社会保険料が実際には納付されていなかった例もあった。大雪から明確な説明はないという。
100人以上の雇用が失われた上、大雪には取引先への未払いもある。町商工会の阿部幸栄会長によると、少なくても町内10社計約1000万円の支払いが滞っているという。
佐藤町長は「責任は委託した町にもある」と話し、資料を精査し、不正が疑われる場合は刑事告訴を含め、厳しい姿勢で臨む考えを示している。
[事業費使い切り問題の経緯]
2011年3月下旬 大雪、岩手県山田町入り
5月下旬 町、大雪に緊急雇用事業を委託
8月上旬 大雪、リース会社オール・ブリッジ設立
12月下旬 無料入浴施設「御蔵の湯」完成
12年4月下旬 オール社の本店を山田町から石川県に移転
12月上旬 町議会12月定例会一般質問で問題発覚
12月13日 町議会に調査特別委員会設置
17日 大雪、従業員に12月給与の一部、一律5万円支払い
18、19日 町が大雪本部で集中調査
21日 佐藤信逸町長が事業打ち切り表明
22日 町と県が合同調査開始(28日まで)
25日 大雪が従業員137人全員を解雇
27日 町、元従業員対象の説明会
2013年01月07日月曜日
NPO「大雪」代表理事、事業継続に意欲…岩手・山田町
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岩手県山田町で被災者の緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪りばぁねっと」(北海道旭川市、岡田栄悟代表理事)が全従業員137人を解雇した問題で、岡田代表理事らは4日、町役場で佐藤信逸町長らと会談し、事業継続の意欲を示した。
法人と町との会談は、町が昨年12月下旬に契約打ち切り方針を示して以来初めて。
非公開の会談は午前10時から約1時間、町役場で行われた。町によると、法人側からは岡田代表理事と、法人が運営する「山田町災害復興支援隊」の橋川大輔副隊長、弁護士2人の計4人が、町からは佐藤町長ら6人が出席。会談では、弁護士から「(緊急雇用創出事業の)目的を最後まで達成するにはどうしたらよいか」と事業継続に向けた質問があり、岡田代表理事からは「(提出を求められていた)書類はほとんど整った。7日に出す」と説明があったという。
また、ハローワーク宮古と県労働局は4日、山田町内に臨時窓口を開き、元従業員92人から離職票を受理し、離職の意志を確認した。92人は、22、23日にハローワークの窓口で失業認定を受けてから、失業手当を受給できる見通し。
(2013年1月7日 読売新聞)
委託費使い切りのNPO 本年度領収書提出 岩手・山田
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岩手県山田町で被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと従業員の給与未払い問題で、大雪は7日、これまで不明だった本年度リース料約1億7000万円の領収書を町に提出した。このうち約5828万円が前年度に支出した他の領収書などで、町は大雪に説明を求める一方、刑事告訴を含めた対応を取ることを明らかにした。
大雪は、大雪のメンバーが代表を務めるリース会社「オール・ブリッジ」との契約書や預金通帳、約100件の領収書を提出した。
リース料1億7000万円のうち、本年度支出として確認が取れたのは、災害対応資機材名目のリース料約2500万円と車両レンタル料約3000万円だけだった。
ほかは、2012年3月の従業員約140人分の人件費約3100万円や、同年2、3月の社会保険料約1250万円などの領収書が交じっていた。町は「リース料の総額に合わせるために、つじつま合わせをしたとしか考えられない」と話している。
佐藤信逸町長は「これ以上、大雪から(問題解決の)協力が得られない。司直の手に委ねることを考える」と強調した。
2013年01月08日火曜日
岩手・山田NPO問題 9600万円の送金先不明
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岩手県山田町で被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと従業員の給与未払い問題で、大雪が町に提出した預金通帳に送金先が不明な約9600万円の出金があることが8日、町議会全員協議会で報告された。
町によると、大雪のメンバーが代表で、大雪との取引内容が不透明とされるリース会社「オール・ブリッジ」の通帳には昨年4月13日、4回に分けて計9600万円が振り替えられているが、送金先を示す資料はなかった。オール社の代表に送金先や使途の説明を求めたが、明確な返答はなかった。町は大雪の弁護士に文書で説明を求める。
大雪が提出した資料を町が精査したところ、大雪がオール社に支払ったとされる本年度リース料約1億850万円のうち、2012年3月分の人件費など前年度の支出はさらに増え、計約7480万円に上ったという。
町の豊間根和博総務課長は「単年度事業なので、前年度分の支出に充てるのは補助金適正化法違反の疑いがある」と述べた。
大雪の岡田栄悟代表理事は「昨年度末に事業費が足りなくなり、本年度の予算で支払った。事前に町にも伝えてある」と主張しているが、町は否定している。
2013年01月09日水曜日
NPO問題、代表理事の身元確認せず…岩手
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岩手県山田町で被災者の緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪りばぁねっと」(北海道旭川市)が全従業員を解雇した問題で、町が、法人の岡田栄悟代表理事の身元を確認しないまま、町の非常勤特別職などに任命するなどしていたことが9日、分かった。
町によると、岡田氏は2011年3月下旬、県社会福祉協議会などからの紹介で法人会員2人と町を訪れた。町は、岡田氏が遺体捜索を続けた活動を認め、同年5月、町災害対策本部の町物資センター担当主幹と町沿岸域捜索担当主幹に4月1日付で任命した。当時町長だった沼崎喜一本部長名で任命し、12年5月の同本部解散まで続いた。
岡田氏は11年9月下旬、沼崎町長名で町復興支援参与に任命されたが、「町非常勤特別職で、副町長の下の位置付け」との立場に議会から疑問の声が上がり、12年2月から「町復興支援アドバイザー」になった。事業費を使い切った問題が明らかになり、同11月末に解任された。いずれも無給だった。
町が契約状況などを改めて確認したところ、任命前に町が提出を求めていた岡田氏の履歴書は未提出のまま。同意書も提出されなかった。町は運転免許証などによる身元確認もしていないという。
町は、法人が組織する山田町災害復興支援隊の従業員が、町が所有する宿泊施設「ケビンハウス」に住民票を登録していたことも明らかにした。町有施設には原則として住民票を登録できないが、複数人が登録していたという。
(2013年1月10日 読売新聞)
山田町NPO問題、年度内に検証 第三者委、21日初会合
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岩手県山田町で東日本大震災の被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと従業員の給与未払い問題で、町は11日、問題を検証する第三者委員会の委員3人を発表した。
委員は、県中小企業診断士協会会長の宮健氏、県立大宮古短大部長の植田真弘氏(経営情報学)、宮古市の弁護士横道二三男氏。第1回会合は21日に開き、委員長や調査日程などを決める。
3氏は、町が用意した大雪への事業委託などの経緯を記した資料を基に調べ、年度内を目標に町の対応についての検証と提言をまとめる。調査の進展次第で、事業を委託した際の町長である沼崎喜一元町長や大雪の岡田栄悟代表理事らに出席を求め、事情を聴く方針。
2013年01月12日土曜日
岩手・山田NPO問題 前町長「相談なかった」
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岩手県山田町で東日本大震災の被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の本年度事業費使い切りと従業員の給与未払い問題で、2011年の震災発生時の町長で、大雪に事業を委託した沼崎喜一前町長は15日、河北新報社の取材に対し「大雪から、本年度事業費が不足するとの相談は一切なかった」と明らかにした。
本年度の委託事業費は約7億9000万円。これまでの取材で、大雪の岡田栄悟代表は、事業には約12億円が必要だったとし、沼崎氏や佐藤信逸現町長ら町幹部と相談した上で「年度当初に事業費は不足すると伝えていた」と説明。「(事業費が)足りなくなったら、補正予算で手当てすると聞いていた」と述べている。
町によると、震災発生直後の11年度は途中で雇用者増え人件費が膨れ上がったために補正予算を組んだが、12年度は補正をしない前提で当初予算を編成したと説明する。沼崎氏は昨年7月、3期12年務めた町長を退任した。
大雪と主張が異なっていることについて、沼崎氏は「(町が設置する)第三者委員会で事情を説明する場面もある。今はこれ以上詳しく話せない」としている。
2013年01月16日水曜日
委託費使い切りNPO 社会保険料、二重取りか
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岩手県山田町で東日本大震災の被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと従業員の給与未払い問題で、大雪が2011年度に社会保険料名目で町と従業員から二重に得た可能性が高いことが16日、分かった。
町総務課によると、大雪に11年度支給された事業費は約4億3050万円。このうち、社会保険料の算定基準になる給与(基本給と各種手当)の総額は約1億9000万円だった。
町は大雪に対し、給与とは別に社会保険料として、給与総額の24.2%に相当する約4590万円を支給した。
社会保険料は従業員の給与の26~27%程度で、事業主と従業員の労使折半することになっている。しかし、大雪は事業計画策定の時点で従業員負担も含めた額を要求し、町も応じたとみられる。
河北新報社が複数の元従業員から提供を受けた給与明細によると、従業員からも社会保険料が月2万~3万円程度天引きされていた。このため、大雪は町から社会保険料の従業員負担分も含めた総額を支給されながら、従業員からも徴収していた可能性が高い。
町総務課は「事実関係を調べる」と話している。
宮古市の社会保険労務士沢田徳男さんは「事実であれば、事業計画の作り方が非常にずさんだ。そのまま契約した町もチェック機能が足りなかったのでは」と指摘している。
2013年01月17日木曜日
山田町の委託NPO問題:知事「広く議論を」 /岩手
毎日新聞 2013年01月17日 地方版
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山田町から緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪りばぁねっと。」(岡田栄悟代表理事、北海道旭川市)の不明朗な会計処理問題を巡り、達増拓也知事は16日の定例記者会見で「NPOの在り方については行政のみならず、広く市民を巻き込んだ議論が必要」との認識を示した。
知事は、県がNPOへのガイドラインを策定(10年12月)していることに言及しながらも、「NPOが対外的信頼を失うような行動に走った場合に、既存の制度ではなかなかチェックすることが難しい」と述べた。また同NPOが全従業員を解雇した問題に触れ「急に職を失った皆さんの生業と生活を被災地で守っていけるようにするのが県の大きな責任だと思う」と語った。
被災自治体の職員不足を解消する対策の一環として、根本匠復興相が15日、国家公務員OBなどを直接採用し、派遣する方針を示したことについては「国が直接、人材不足をどんどん補っていくという流れができていけば大きいと思う」と歓迎した。【金寿英】
山田町の委託NPO問題:会計処理で22日に調査特別委""町議会運営委 /岩手
毎日新聞 2013年01月18日 地方版
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山田町が緊急雇用事業を委託するNPO法人「大雪りばぁねっと。」(岡田栄悟代表理事、北海道旭川市)の不明朗な会計処理問題で、町議会運営委員会は17日、初めての調査特別委員会(佐々木良一委員長)を22日午前10時から開くことを決めた。今後の調査の進め方を協議する。
調査特別委は昨年12月13日に設置されたが、一度も開かれていなかった。弁護士ら第三者による町の調査委員会は21日に開かれる。【鬼山親芳】
岩手・NPO問題 山田町、委託契約を解除 本年度末まで
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岩手県山田町で東日本大震災の被災者らを雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の委託事業費使い切りと従業員の給与未払い問題で、佐藤信逸町長は18日、大雪との本年度委託事業契約を解除した。
契約解除をしたのは、大雪が事業費を使い切り事業を休止した昨年12月11日から本年度末まで。
町は今月10日、大雪の関係者が代表を務めるリース会社「オール・ブリッジ」との不透明な契約の疑問点など27項目の質問状と、岡田栄悟代表理事の履歴書などを出すよう大雪に要求。提出の際、岡田氏とオール社代表の同席を求めた。
18日が回答期限だったが、大雪は同日未明にファクスを送付。ほとんどの項目で「(後日)郵送で提出する」「整理中」などと記していた。2人は姿を見せず、履歴書なども提出されなかった。
佐藤町長は「誠意が全く感じられず、契約を解除せざるを得ない。刑事告訴も含め、慎重に警察や弁護士と相談を続けたい」と話した。
町は同日、大雪本部と大雪の弁護士(東京)に契約解除の書類と、資料提供などの協力を求める確約書を郵送。事業活動期間中に滞在していた町の観光宿泊施設からの退去も求めた。
2013年01月19日土曜日
山田町の委託NPO問題:町、NPOの委託解除 不明朗会計、照会状回答「誠意のかけらもない」 /岩手
毎日新聞 2013年01月19日 地方版
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◇返還請求、刑事告訴検討へ
不明朗な会計処理が問題となっているNPO法人「大雪りばぁねっと。」(岡田栄悟代表理事)について、山田町は18日、震災等緊急雇用対応事業の委託契約の解除を決め、北海道旭川市の法人本部に通告文書を発送した。使途不明金など同日を期限とした町の照会状に対して回答が寄せられたが、「誠意のかけらもない」(佐藤信逸町長)と判断した。委託料の返還請求や刑事告訴に向け、本格的な検討を始める。【鬼山親芳】
町の照会状は、質問と関係資料の提出要請を合わせ27項目から成り、10日に岡田代表理事らに送付されていた。18日早朝、町にファクスで届いた回答は「現在、精査確認中」「整理でき次第報告します」などと具体的な中身に欠けていた。一方で、使途不明金9600万円については「11年度の繰り越し分の支払いに充てた」などと記していた。
通告文や町によると、解除は「国の緊急雇用創出事業補助金交付要領の要件に反した」ためとし、不明朗な会計処理が大きな理由という。契約解除の対象期間は今年度の事業委託のうち、法人が資金枯渇を理由に活動を休止した昨年12月11日から、今年3月末まで。返還請求は弁護士と相談するが、請求額は前渡ししてある年間委託料約7億9000万円のうち、この期間分となる。法人には昨年4月から12月10日までの事業実績報告書の提出を求めていく。
また町は、法人が災害復興支援隊の本部を置いていた船越地区の体育館や、岡田代表理事ら幹部が無料で宿泊している町の観光宿泊施設「ケビンハウス」の明け渡しも近く求めるという。