東電、年5千万円パーティー券 献金自粛の一方で購入
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2011年10月2日3時10分
東京電力が2009年までの数年間にわたり、自民党を中心とした50人以上の国会議員のパーティー券などを少なくとも年間計5千万円以上購入していたことが分かった。原子力政策における各議員の重要度や、電力施策への協力度を査定して購入額を決定。1回あたりの購入額を政治資金収支報告書に記載義務がない20万円以下に抑え、表面化しないようにしていた。
東電は1974年以降、「電力供給の地域独占が認められた公益企業にそぐわない」として企業献金を自粛している。その一方で、組織的に議員をランク付けし、パーティー券を購入する形で資金提供していた実態が初めて明らかになった。
複数の東電幹部らによると、東電本社には毎年、国会議員本人や秘書から政治資金集めのためのパーティー券購入の依頼が、窓口役の総務部に多数寄せられていた。東電はパーティー券の購入予算枠を確保しており、毎年50人以上の議員に配分したという。
議員ごとに原子力政策における重要度、東電の業務への協力度などを査定。東電の原発が立地・建設中の青森、福島、新潟の3県から選出された議員や、電力会社を所管する経済産業省の大臣、副大臣、政務官の経験者などは、購入額が高い議員にランク付けされた。
議員の政治団体や資金管理団体が開いたパーティーや勉強会に対する1回あたりの購入額は、政治資金規正法に違反せずに企業名を出さないようにするため、収支報告書に記載義務がない20万円以下と決められていた。査定が高い議員は上限の20万円を複数回購入。東電との関係が浅い議員は券2枚を計4万円で購入したり、依頼を断ったりしたという。
パーティー券の購入は長年続いていたとみられ、09年までの数年間は、毎年5千万円以上を購入。約1億円にのぼった年もあった。
また、09年の政権交代までは、自民党議員と民主党議員の購入金額の割合は約10対1と、自民党側が中心だった。交代後の10年も券購入を続けたが、民主党議員の購入額を増やしたという。
パーティー券購入について、東電元役員は「東電の施設がある県の選出議員かどうかや、電力施策や電力業界にどのくらい理解があるかを考慮した。関連企業に割り当て分を購入してもらうこともあった」と証言。収支報告書に社名が記載されないように金額を抑えた点については、「政治家と公的な企業につながりがあるというだけで、良からぬ見方をされる。表にならないに越したことはない」と話している。
東電広報部はパーティー券購入について、「社会通念上のお付き合い程度で行っているが、具体的な購入内容は公表を控える。飲食への支払いで、対価を伴っているので、政治献金ではない。(企業献金の自粛とは)矛盾していない」としている。(市田隆、藤森かもめ)
東電:複数の議員からパーティー券購入 献金自粛と矛盾?
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東京電力は2日の会見で、複数の国会議員のパーティー券を数年間にわたって購入していたことを明らかにした。同社は74年に政党や政治家への政治資金の支出は一切行わないことを取締役会で決めているが、パーティー券購入については「飲食の対価であって政治資金や寄付とは性質が異なる」と説明。しかし、政治資金に詳しい学者は「明らかにおかしい。問題がないと主張するなら、きちんと説明する必要がある」と指摘している。
東電広報部の説明などによると、議員の政治団体が開いたパーティーなどで「社会通念上のお付き合いとして」購入したという。自民党議員が中心だったとみられるが、所属政党や人数、金額などについては「集計しておらず、相手があることなので詳細は回答できない」と明らかにしなかった。同社の栗田隆史・広報部報道課長は「法律上許された扱いで、これまでの(政治資金を支出しないという)取り組みと矛盾しない」と強調した。
政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大法科大学院教授は「『献金しない』とアピールしながらパーティー券の購入を続けることは明らかにおかしい。東電は献金との違いを強調するが、(パーティーの)収益率が高ければ実質的な寄付に当たる。問題がないと主張するなら、実際にどれだけパーティーに出ていたのか、飲食の対価はどのレベルか、きちんと説明する必要がある」と疑問視した。【袴田貴行、川上晃弘】
毎日新聞 2011年10月2日 20時00分(最終更新 10月2日 21時14分)
経産相「買わないのが当たり前」 東電パーティー券問題
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2011年10月4日13時
東京電力が国会議員のパーティー券などを年間5千万円以上購入していた問題で、枝野幸男経済産業相は4日、「政治献金と同様の性質を帯びると受け止められてもやむを得ないパーティー券について、今後は買わないのが当たり前と私は思う」との見解を示した。記者会見で発言した。
さらに、枝野経産相は、パーティー券購入がただちには政治資金規正法違反にはならないとの見解を示したうえで、「(電気料金を算定する原価に)パーティー券の分が含まれていたとしたら問題」と述べた。今後の調査などの実施については否定的な考えを示し、「当然のことすぎるので、指導するまでもない」とした。
東電、10議員を「厚遇」 パーティー券を多額購入
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2012年1月8日5時0分
東京電力が電力業界での重要度を査定し、自民、民主各党などで上位にランク付けしてパーティー券を購入していた計10人の国会議員が判明した。電力会社を所管する経済産業省の大臣経験者や党実力者を重視し、議員秘書らの購入依頼に応じていた。1回あたりの購入額を、政治資金収支報告書に記載義務がない20万円以下に抑えて表面化しないようにしていた。
また、東電の関連企業数十社が、東電の紹介などにより、多数の議員のパーティー券を購入していたことも判明した。
複数の東電幹部によると、東電は、電力業界から見た議員の重要度や貢献度を査定し、購入額を決める際の目安としていた。2010年までの数年間の上位ランクは、いずれも衆院議員で、自民では麻生太郎、甘利明、大島理森、石破茂、石原伸晃の5氏、元自民では与謝野馨(無所属)、平沼赳夫(たちあがれ日本)の2氏。民主では仙谷由人、枝野幸男、小沢一郎の3氏だった。