2012年01月
東電、家庭向け料金も値上げ 政府、合理化条件に容認へ
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2012年1月19日3時0分
政府と東京電力は、家庭向け電気料金の値上げについて調整に入った。原発に代わる火力発電の燃料費が収益を圧迫するなか、企業向けの値上げだけでは東電存続の青写真を描けず、政府も家庭向けの値上げが避けられないとの判断に傾いた。上げ幅は5~15%の間で調整が進むとみられる。
東電の今年3月期の連結業績は、純損益が6千億円の赤字になる見通し。原発が再稼働しないと、毎年8千億~9千億円規模の赤字が続き、電気事業が成り立たなくなる。
値上げには経済産業相の認可が必要になる。枝野幸男経産相は昨年暮れ、「値上げは電力事業者の権利という考えを改めてもらいたい」と述べ、値上げに厳しい姿勢を示していた。
しかし、東電が経営破綻(はたん)すると、被害者への賠償や廃炉作業が難しくなるおそれがある。そうした事態を避けるため、政府は徹底したリストラと経営責任の明確化を条件に、値上げを認める方針を固めた。
値上げの幅は、原発の再稼働時期に大きく左右されるが、東電は10%台を求めている。政府は5~10%程度を想定している。東電は、認可がいらない企業向け料金は4月に平均17%値上げする。
電気料金をめぐっては、経産省の有識者会議が2月に報告をまとめる。東電はこの報告をふまえ、値上げ幅を固める。そのうえで、東電は将来像を描いた「総合特別事業計画」を3月にまとめ、政府に提出したあと、値上げの認可を申請する。
家庭向けの料金を値上げ改定する場合、公聴会などの手続きをへる必要があるため、実施は秋以降になる見込み。10%の値上げの場合、標準的な家庭は月600円の負担増となる。(小暮哲夫)
東京電力:家庭向け値上げ、最大10% 支援機構が素案提示
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原子力損害賠償支援機構は20日までに、3月末までに策定する東京電力の「総合特別事業計画」の素案をまとめ、主要取引銀行に提示した。公的資金投入による東電の実質国有化が柱で、収支改善策として最大10%の家庭向け電気料金の値上げなどを想定。金融機関からの融資の調整を進めるが、東電は実質国有化への抵抗感が強いほか、家庭向け電気料金の値上げには認可が必要で、枝野幸男経済産業相は慎重姿勢を崩していない。
素案は機構が1兆円規模の公的資金を投入し、取引金融機関が1兆円規模の追加融資を実施することが柱で、今後10年間の資金計画を示している。12年夏ごろに家庭向けの電気料金を最大10%引き上げるなどして、収益改善を図ることを想定。10%引き上げが実現すれば、標準的な家庭で月600~700円の値上げになる計算だ。
また経営監視を強化するため、過半数の取締役を社外から起用、東電を経営陣の人選や報酬を決定する「委員会設置会社」に移行することも検討する。
東電は火力発電の燃料費増大が経営を圧迫。廃炉費用などの負担で債務超過に陥る可能性があるため、金融機関は東電への追加融資の条件として、収支の改善を求めている。
東電は認可不要の企業向け電気料金を4月から平均で17%引き上げることを発表済み。
毎日新聞 2012年1月20日 東京夕刊
社長が「権利」と話す東電の家庭用電気料金値上げ申請は15~20% 街では怒りの声
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東京電力が、事業者用に続き、家庭用の電気料金も値上げを要求している。その額、1年で平均1万6,000円以上。利用者からは、怒りと戸惑いの声が上がっている。
家庭向け電気料金値上げの意向を示している東京電力。
その値上げ幅は、15%から20%を求めているというが、もし、20%の値上げとなれば、東京電力が試算する一般的な家庭の例で、1カ月およそ1,360円の値上がりとなる。
年間1万6,320円の負担増となる計算に、買い物中の主婦からは「2割!? 10%じゃないんですか?」、「(うちは)3,000円上がるってことか。厳しいですね。ちょっと違うことに使いたいですね」などと語った。
家計を直撃する電気料金の値上げ。
東京電力の西沢俊夫社長は「料金の申請というのは、われわれ事業者としての義務というか、権利ですので」と話していた。
値上げの主な原因は、稼働が増えた火力発電の燃料費の増加。
いわば消費者が、原発事故のツケを背負わされることになる。
街では「ふざけてるね。誰も責任とらないし、ひどいね」などと怒りの声も聞かれた。
そして、この値上げの影響は、創業70年、日替わり総菜と値段の安さで人気の弁当屋にも及んでいた。
東京・品川区のお弁当お総菜「かんだ屋」の人は「個人企業だから、お客さんに低価格でおいしいものを提供しようと思っていますけど」と語った。
かんだ屋は、家庭向け電気料金で営業していて、月10万円ほど電気料金がかかっているという。
20%の値上がりとなると、およそ2万円負担が増えることになる。
こうした小口契約の個人商店などは、お店と自宅の値上げのダブルパンチを受けることになる。
かんだ屋の人は「(20%値上げしたいという話があるが?)喜ばしい話じゃないですよ。東電の一方的なやり方じゃないですか」と語った。
悲鳴が上がる東電の値上げ要求に対し、枝野経産相は19日夜のBSフジ「PRIME NEWS」で「仮に、値上げがやむを得ない場合であったとしても、『なるほど、こういうふうに、新しい東電に生まれ変わるんだ』ということを、一定の理解がいただけない状況で、到底値上げに、はんこを押すことはできない」と語った。
政府は、東電の徹底した合理化と、経営責任の明確化が先決だとしたうえで、値上げ幅は5%から10%程度を想定しているという。
こうした中、20日午後5時から、「電気料金制度・運用見直しに係る有識者会議」が行われた。
電気料金の原価に含まれていた自治体などへの寄付金や、PR活動の運営費などを原則として除外。
新たな電気料金の算定方式などが検討されている。
(01/20 18:29)
東電:家庭用電気料金の値上げ「3年間」限定に
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東京電力と政府の原子力損害賠償支援機構は20日、3月末までに策定する東電福島第1原発事故の賠償と電力安定供給の両立を図る「総合特別事業計画」素案を固めた。政府から公的資金による1兆円規模の資本注入を受けて債務超過を回避する一方、リストラに加えて、電気料金値上げや原発の再稼働などで14年3月期に赤字脱却を目指す。焦点の家庭用電気料金の値上げについては、期間を「3年間」に限定し、利用者の理解を求める。
素案には政府が機構を通じて東電に1兆円規模の公的資本を注入し実質国有化することを明記。メガバンクなど取引先金融機関に融資残高維持とともに、福島原発の廃炉費用などで資金繰りが逼迫(ひっぱく)しないよう1兆円規模の追加融資を求める。
家庭向け電気料金の値上げは今夏ごろの実施を想定。企業向けの電気料金の値上げ(17%)の半分程度に当たる8~10%程度の値上げを3年間に限り行い、その後は値上げ前の水準に戻すことを約束し、家庭の理解を求める考えだ。家庭用電気料金変更の認可権を持つ枝野幸男経済産業相は値上げに慎重姿勢を崩していない。
東電と機構は定期検査に伴い3月にはすべての原発が停止する柏崎刈羽原発(新潟県)の早期の再稼働方針も素案に盛り込むが、立地自治体の反発も強く、実現性は不透明だ。【宮島寛、永井大介】
毎日新聞 2012年1月21日 2時30分
2012年03月の記事
東電、家庭料金10%値上げへ=7月にも-コスト削減3兆円規模
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東京電力が、家庭向けの電気料金を7月にも10%値上げする方向で調整を進めていることが4日、分かった。今月末までに策定する「総合特別事業計画」に盛り込み、枝野幸男経済産業相が総合計画を認定した後、速やかに値上げを申請する。同時に燃料・資材の調達改革や人件費の見直しを徹底。10年間のコスト削減額を、これまで想定していた2兆6488億円から3兆円規模に積み増すなど、合理化を進めて利用者の理解を得る。
申請から認可までは4カ月程度かかる見通し。政府の査定により、値上げ幅が圧縮される可能性もある。一方、東電は家庭向けとは別に、企業・工場など事業者向け電気料金を4月から平均17%引き上げる方針だ。
また総合計画には、柏崎刈羽原発を2013年度に再稼働させる方針も盛り込む。原発の運転で燃料費を削減できるため、東電は15年度にも料金を再び引き下げたい考え。その場合、値上げ期間は3年程度となる。(2012/03/04-15:39)
東電、家庭用10%値上げ申請へ 7月にも実施
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2012年3月5日10時31分
東京電力が今春、政府に申請する家庭向けの電気料金の値上げ幅が、約10%になることが5日、わかった。認可手続きを経て、早ければ7月にも値上げする。4月からの企業向け料金の値上げは平均17%だが、家庭向けは、料金を算定するもとになる原価(費用)を絞り込んだ新しい基準で申請する。
電力会社が自由に決められる企業向けの料金と違い、家庭用料金は国の認可が必要となる。担当の枝野幸男経済産業相は値上げ幅が妥当かどうか、申請された原価の中身を厳しく査定する方針で、実際の値上げ幅は圧縮される可能性がある。
10%の値上げの場合、平均的な家庭で月600円程度、電気代が増える。
2012年05月の記事
東電家庭向け最大12%値上げ
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東京電力は23日、家庭向け電気料金の値上げを審査する専門家委員会の会合で、同時に使える電力の大きさを示す「契約アンペア」別の値上げ幅を公表した。アンペア数が大きいほど値上げの負担が増え、7段階のうち最も大きい60アンペアの場合(平均使用量540キロワット時)は、現在より月額1677円(値上げ率は12・0%)上がる。
東電はこれまで、「標準家庭(30アンペア・平均使用量290キロワット時)」だけを例示していた。このため専門家委が詳しい試算の公表を求めていた。
試算では、1人暮らしなど家電製品が少ない世帯に多い10アンペア(平均使用量60キロワット時)と15アンペア(110キロワット時)の場合の値上げ率は3・4%。契約アンペアに応じて値上げ率も大きくなり、40アンペア(350キロワット時)は8・6%、50アンペア(450キロワット時)では10・8%になる。
標準家庭は現在より480円(6・9%)上がる。利用者側からは「500円玉1つの負担で済むというイメージに誘導しようとしている」(埼玉県の上田清司知事)などと、東電の説明に疑問の声が上がっていた。(共同)
[2012年5月23日18時30分]
東電家庭向け値上げ、8月以降に
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東京電力が7月1日の実施を申請していた家庭向け電気料金の値上げが、8月1日以降にずれ込む見通しになったことが30日、分かった。値上げ幅が妥当かどうかを査定する経済産業省の専門家委員会の作業が長引くためだ。委員会の関係者が明らかにした。
東電は原発の代替となる火力発電の燃料費増加を理由に、家庭向けで平均10・28%の値上げを申請。7月1日に実施するためには事前の告知期間を含め、経産省が6月20日までに認可する必要がある。
ただ、消費者団体などは東電の人件費などのリストラが甘いと批判。これまで3回開いた専門家委員会では、料金算定の基になる「原価」に福島第1原発事故の賠償対応費用などを含めていることをめぐって意見が分かれた。関係者は意見集約のためには「さらに毎週、計5~6回程度は議論する必要がある」と指摘し、6月20日までに認可されるのは難しいとの見通しを示した。
一方、値上げが遅れれば東電の収益が悪化して金融機関などの理解が得られなくなる恐れもあり、政府内には、遅くとも9月1日までには実施する必要があるという見方が強い。(共同)
[2012年5月30日13時9分]
2012年07月の記事
東京電力家庭向け値上げ、早期認可を促す…下河辺会長- 毎日jp(毎日新聞)
毎日新聞 2012年07月13日 23時39分(最終更新 07月14日 01時35分)
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東京電力の下河辺和彦会長は毎日新聞のインタビューに応じ、政府による家庭向け電気料金の値上げ認可が今月25日までに得られない場合、原子力損害賠償支援機構が同日予定する東電への1兆円の公的資本注入は不可能との認識を示した。公的資本が注入されなければ東電は深刻な財務不安に陥りかねないだけに、政府に早期の認可を促した。
下河辺氏は総合特別事業計画に盛り込んだ料金値上げと公的資本注入、金融機関による1兆円の融資は「三位一体だ」と指摘。特に公的資本は「一時的にせよ国民の負担に帰する金だ」と強調した。
経済産業省が値上げ幅を総合計画に盛り込んだ平均10.28%より圧縮する方針であることについては「直ちに総合計画の内容を変更しなければいけない話ではない」とした。
しかし、消費者庁が人件費の更なる圧縮を求めていることについては「『水に落ちた犬はみんなで棒を持ってたたきましょう』という振る舞いに感じる」と不快感を表明。「現場は電力安定供給に正面から取り組んでいる。それを十分理解して(人件費を)考えてもらいたい」と述べた。【和田憲二】