【東電】自業自得
「可哀そう」なんて少しも思いません。
落書き・侵入…東電へ抗議過熱 自衛に寮表札の社名隠す
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2011年4月2日11時39分
危険な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所。国民の不安といらだちが募る中、東電や社員への苦情や脅迫、嫌がらせが目立ち始めた。東電は社員の安全を守るため、社員寮の表札から社名を消した。警視庁も警戒を強める。
3月下旬、東京都中央区の東電の社員寮。入り口に掲げられた表札に黒い粘着テープが貼られ、社名が隠された。
東電東京支店が同月22日、23区にあるすべての社員寮に、表札にある社名を消すよう指示したためだ。23区には家族寮と独身寮が複数ある。各寮は、アクリル板や粘着テープを社名の上に貼ったり、社名を抜いた新しい表札に取り換えたりする作業に追われた。
東京支店は「社員と家族の安全を守るため」と説明する。
きっかけは、渋谷区にある東電のPR施設「電力館」の壁に震災後、赤いスプレーで「反原発」と落書きされているのが見つかったことだという。
同支店によると、20日午後6時半ごろ、巡回中の警備員が通りに面した外壁に縦約1メートル、横約3メートルの落書きを見つけ、警視庁渋谷署に通報した。当時、福島第一原発では自衛隊や東京消防庁による放水が始まったものの、放射能漏れが止まらず、緊迫した状態に陥っていた。
渋谷署によると、落書きは人通りが多いはずの20日午後5時からの1時間半の間に書かれたとみられる。同署は器物損壊容疑で捜査を始めた。
電力館はリニューアルオープンに備えて全面休館中。20日から再開の予定だったが、震災で当面、延期する方針だ。
18日には「計画停電で電車が遅れ、腹が立った」という自称日雇い労働者の男性(41)が本社(千代田区)の敷地内に小石を投げ込んだ。31日には、街宣車に乗った東京都の無職の男が福島第二原発のゲートを壊し、敷地内に侵入。建造物侵入などの疑いで福島県警に逮捕された。
◇
都内のある支社の幹部は「地元の警察署員から『原発問題の影響もあり、社員の安全にはくれぐれも気をつけてください』と注意を受けた。危機感は持っているが、そもそも、こちらが迷惑をかけている側でもあるので……」と複雑な表情だ。
都内にある勝俣恒久会長の自宅では、東電から要請を受けた警視庁が18日に警察官の詰め所を設置し、警戒を強めている。
東電関係者によると、東京支店で電話相談を受け付けるコールセンターには連日、原発事故や計画停電への苦情・抗議が殺到。電話応対の処理能力を超えているという。同センターに直接来て、「なぜ電話に出ないんだ」といらだちを職員にぶつける人も出ている。
都内の浄水場の水道水から基準を超える放射性ヨウ素が検出されたと公表された23日以降は、放射性物質への不安や「東電はどう責任をとるつもりか」といった抗議も寄せられている。
東電の男性社員は「自分だけでなく、家族も相当まいっている。妻は『肩身が狭い。近所の人からも白い目で見られている気がする』と話していた」と嘆く。
東京支店幹部は今の心境をこうもらした。「抗議に対応している社員の中には『自分も福島に行って手伝いたい』と希望する者もいた。原発事故の収束がうまくいかない中で、お客さんには申し訳ないという気持ちでいっぱいだ。今は我慢するしかないとみんなで言い合っている」
危険な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所。国民の不安といらだちが募る中、東電や社員への苦情や脅迫、嫌がらせが目立ち始めた。東電は社員の安全を守るため、社員寮の表札から社名を消した。警視庁も警戒を強める。
3月下旬、東京都中央区の東電の社員寮。入り口に掲げられた表札に黒い粘着テープが貼られ、社名が隠された。
東電東京支店が同月22日、23区にあるすべての社員寮に、表札にある社名を消すよう指示したためだ。23区には家族寮と独身寮が複数ある。各寮は、アクリル板や粘着テープを社名の上に貼ったり、社名を抜いた新しい表札に取り換えたりする作業に追われた。
東京支店は「社員と家族の安全を守るため」と説明する。
きっかけは、渋谷区にある東電のPR施設「電力館」の壁に震災後、赤いスプレーで「反原発」と落書きされているのが見つかったことだという。
同支店によると、20日午後6時半ごろ、巡回中の警備員が通りに面した外壁に縦約1メートル、横約3メートルの落書きを見つけ、警視庁渋谷署に通報した。当時、福島第一原発では自衛隊や東京消防庁による放水が始まったものの、放射能漏れが止まらず、緊迫した状態に陥っていた。
渋谷署によると、落書きは人通りが多いはずの20日午後5時からの1時間半の間に書かれたとみられる。同署は器物損壊容疑で捜査を始めた。
電力館はリニューアルオープンに備えて全面休館中。20日から再開の予定だったが、震災で当面、延期する方針だ。
18日には「計画停電で電車が遅れ、腹が立った」という自称日雇い労働者の男性(41)が本社(千代田区)の敷地内に小石を投げ込んだ。31日には、街宣車に乗った東京都の無職の男が福島第二原発のゲートを壊し、敷地内に侵入。建造物侵入などの疑いで福島県警に逮捕された。
◇
都内のある支社の幹部は「地元の警察署員から『原発問題の影響もあり、社員の安全にはくれぐれも気をつけてください』と注意を受けた。危機感は持っているが、そもそも、こちらが迷惑をかけている側でもあるので……」と複雑な表情だ。
都内にある勝俣恒久会長の自宅では、東電から要請を受けた警視庁が18日に警察官の詰め所を設置し、警戒を強めている。
東電関係者によると、東京支店で電話相談を受け付けるコールセンターには連日、原発事故や計画停電への苦情・抗議が殺到。電話応対の処理能力を超えているという。同センターに直接来て、「なぜ電話に出ないんだ」といらだちを職員にぶつける人も出ている。
都内の浄水場の水道水から基準を超える放射性ヨウ素が検出されたと公表された23日以降は、放射性物質への不安や「東電はどう責任をとるつもりか」といった抗議も寄せられている。
東電の男性社員は「自分だけでなく、家族も相当まいっている。妻は『肩身が狭い。近所の人からも白い目で見られている気がする』と話していた」と嘆く。
東京支店幹部は今の心境をこうもらした。「抗議に対応している社員の中には『自分も福島に行って手伝いたい』と希望する者もいた。原発事故の収束がうまくいかない中で、お客さんには申し訳ないという気持ちでいっぱいだ。今は我慢するしかないとみんなで言い合っている」
2011年04月03日の記事
「自家用車に"ひばく"とスプレー書きも」嫌がらせを受ける東電若手社員の本音
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東日本大震災で発生した福島第一原発事故の被害の広がりを受けて、東京電力への批判は強まるばかりだ。命の危険も顧みず必死に事態悪化の阻止を試みる現場作業員たちが英雄視される一方で、東電本体は事故への対応の悪さが指摘され、下請け作業員の被ばくには監督責任を問う声が上がっている。
東電は傘下に原発運営会社があり、さらに現地のメンテナンス請負会社、メーカー系列の派遣技術者などが複雑に絡んでおり、同じ東電関係者でも立ち位置には開きがある。
かたや英雄、かたや悪者......都内に勤務の東電社員は被災地から遠く離れていることから後者と見られやすく、在京の東電社員には嫌がらせが相次いでいるという。
「近隣の住民の方々から"早く解決しろ"とおしかりを受けた」というのは、都内勤務の東電社員Aさん(29)。現在、社員寮に住んでいるが、日増しに風当たりが強くなり、ついには駐車場の愛車にスプレーで「ひばく」と書かれる目にも遭ったという。
「寮に出入りするだけで鋭い視線が通行人の方から飛んできます。真夜中に"おい、さっさと福島に行け"という怒鳴り声も聞こえました」(Aさん)
先日、この寮は「東京電力」と書かれた社員寮の表札をビニールテープで覆い隠し、社名のないプレートと差し替える事態となった。
「石を投げられたとか、寮を出るところを記者に待ち伏せされたとか、そんな話も聞いたので、現在は埼玉県にいる親せきの家から通っています」とAさん。
渋谷にある社宅に住む東電社員Bさんは、実際に記者の直撃を受けたというが、その内容は福島の原発ではなかったという。
「社宅の建設を施工したのが西松建設だと知っているか、と聞かれました」
西松といえば裏金問題で騒がれた渦中の業者。東電の原発事業にも深く食い込んでいたと見られており、すでに一部マスコミは原発事故に端を発して見えてきた"電力の闇"にも探りを入れ始めているようだ。仮に利権がらみの問題の一つでも浮かび上がってくれば、東電に対する世間の目は一層厳しくなるだろう。
「正直、ノイローゼ気味です。会社を辞めたいけど、いま辞めたら"あのとき逃げたやつ"と一生、十字架を背負うことになってしまう。病院へ通うにも批判がありそうで、しばらくは耐えるしかないです」(Aさん)
また、東電の社員を名乗る人物がブログに「これまで電力を使っていた国民が被害者面するのはおかしい」という内容の日記を書いたことで批判を浴び、ブログを閉鎖するなど東電内部と国民の間の温度差は日増しに広がっていくように見える。
未曾有の大事故と東電上層部の不手際によって、末端の技術者や若手社員に対しても三次被害、四次被害ともいうべき状況が発生し始めているようだ。放射線という見えない恐怖への不安が消えないうちは、東電に対する風当たりが弱まる気配はない。怒りと憎しみの連鎖を少しでも早く止め、復興への足がかりを整えるためにも、官邸と東電には一日も早い事態の収拾を望みたい。
東電は傘下に原発運営会社があり、さらに現地のメンテナンス請負会社、メーカー系列の派遣技術者などが複雑に絡んでおり、同じ東電関係者でも立ち位置には開きがある。
かたや英雄、かたや悪者......都内に勤務の東電社員は被災地から遠く離れていることから後者と見られやすく、在京の東電社員には嫌がらせが相次いでいるという。
「近隣の住民の方々から"早く解決しろ"とおしかりを受けた」というのは、都内勤務の東電社員Aさん(29)。現在、社員寮に住んでいるが、日増しに風当たりが強くなり、ついには駐車場の愛車にスプレーで「ひばく」と書かれる目にも遭ったという。
「寮に出入りするだけで鋭い視線が通行人の方から飛んできます。真夜中に"おい、さっさと福島に行け"という怒鳴り声も聞こえました」(Aさん)
先日、この寮は「東京電力」と書かれた社員寮の表札をビニールテープで覆い隠し、社名のないプレートと差し替える事態となった。
「石を投げられたとか、寮を出るところを記者に待ち伏せされたとか、そんな話も聞いたので、現在は埼玉県にいる親せきの家から通っています」とAさん。
渋谷にある社宅に住む東電社員Bさんは、実際に記者の直撃を受けたというが、その内容は福島の原発ではなかったという。
「社宅の建設を施工したのが西松建設だと知っているか、と聞かれました」
西松といえば裏金問題で騒がれた渦中の業者。東電の原発事業にも深く食い込んでいたと見られており、すでに一部マスコミは原発事故に端を発して見えてきた"電力の闇"にも探りを入れ始めているようだ。仮に利権がらみの問題の一つでも浮かび上がってくれば、東電に対する世間の目は一層厳しくなるだろう。
「正直、ノイローゼ気味です。会社を辞めたいけど、いま辞めたら"あのとき逃げたやつ"と一生、十字架を背負うことになってしまう。病院へ通うにも批判がありそうで、しばらくは耐えるしかないです」(Aさん)
また、東電の社員を名乗る人物がブログに「これまで電力を使っていた国民が被害者面するのはおかしい」という内容の日記を書いたことで批判を浴び、ブログを閉鎖するなど東電内部と国民の間の温度差は日増しに広がっていくように見える。
未曾有の大事故と東電上層部の不手際によって、末端の技術者や若手社員に対しても三次被害、四次被害ともいうべき状況が発生し始めているようだ。放射線という見えない恐怖への不安が消えないうちは、東電に対する風当たりが弱まる気配はない。怒りと憎しみの連鎖を少しでも早く止め、復興への足がかりを整えるためにも、官邸と東電には一日も早い事態の収拾を望みたい。
東電営業車 パンクさせられたためオール電化シールはがす
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2011.04.18 16:00
原発事故の対応をめぐって東京電力への批判が止まない。経営幹部の責任は厳しく問われるべきだが、一般社員たちもまた、激しいバッシングの矢面に立たされている。
30代男性社員が嘆く。
「社のクルマがパンクさせられたこともあったので、クルマに貼ってあるオール電化キャンペーンの『Switch!』のステッカーをドライヤーで剥がしました。こんなときにオール電化とは何事か、とクレームがついたようで」
ところが、オール電化の新規営業中止が決まったため、家電量販店などに「ステッカーなどを外して下さい」とお願いに行ったところ、今度は店側から「なんでこっちにしわ寄せが」と怒りを買う八方ふさがり。
プライベートでも肩身の狭い思いを強いられている。
「一番つらいのは、趣味や飲み屋で知り合った人にも、勤めている会社が東電だといえないことです。いったからといって何もないかもしれませんが、相手の表情を見るのが怖い。計画停電のことがあるから、近所の視線も気になってしまうんです」(50代男性)
「友人は間近に控えていた結婚式をキャンセルしました。上司も祝辞がいえないだろうし、社内では当然という感じですね。自分も結婚を考えている女性がいますが、彼女も正直、不安そうです」(30代男性)
※週刊ポスト2011年4月29日号
原発事故の対応をめぐって東京電力への批判が止まない。経営幹部の責任は厳しく問われるべきだが、一般社員たちもまた、激しいバッシングの矢面に立たされている。
30代男性社員が嘆く。
「社のクルマがパンクさせられたこともあったので、クルマに貼ってあるオール電化キャンペーンの『Switch!』のステッカーをドライヤーで剥がしました。こんなときにオール電化とは何事か、とクレームがついたようで」
ところが、オール電化の新規営業中止が決まったため、家電量販店などに「ステッカーなどを外して下さい」とお願いに行ったところ、今度は店側から「なんでこっちにしわ寄せが」と怒りを買う八方ふさがり。
プライベートでも肩身の狭い思いを強いられている。
「一番つらいのは、趣味や飲み屋で知り合った人にも、勤めている会社が東電だといえないことです。いったからといって何もないかもしれませんが、相手の表情を見るのが怖い。計画停電のことがあるから、近所の視線も気になってしまうんです」(50代男性)
「友人は間近に控えていた結婚式をキャンセルしました。上司も祝辞がいえないだろうし、社内では当然という感じですね。自分も結婚を考えている女性がいますが、彼女も正直、不安そうです」(30代男性)
※週刊ポスト2011年4月29日号
原発技術者:東電人材流出やまず 韓国が引き抜き攻勢
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東日本大震災からほぼ半年後の昨年夏、東京電力の原子力部門に勤める幹部技術者が、韓国の政府関係者から食事に招かれた。「給与はどの程度カットされましたか?」「今の待遇に満足ですか?」。幹部技術者と親しい東電幹部によると、会食の目的は転職の誘いだった。打診された移籍先は国営の韓国企業だったという。
同じころ、東電の別の男性社員も、韓国政府関係者から面会を求められた。待ち合わせ場所に行くと、「力を貸してもらえないか」と転職を持ち掛けられた。韓国側からどのような処遇を提示されたかは明らかではない。
関係者によると、2人とも転職の誘いを拒否し「今も原子力部門で働いている」(幹部)というが、東芝や日立製作所など世界最先端の原発を扱う東電の運用技術を狙った「ヘッドハンティング」の一端が浮かび上がった。
韓国では90年代以降、当時は規模が大きくなかったサムスン電子がソニーやパナソニックなど日本の花形企業の技術者を「リクルート」して技術力を高め、日本の電機メーカーを「駆逐」し、世界有数の電機メーカーにのし上がった経緯がある。東電幹部は「今は東電が国内外からの『草刈り場』になっている」と危惧する。
東電は原発事故による経営環境の悪化や民主党政権の「脱原発依存」「東電解体」の動きを受け、人材流出が止まらない。東電の内部資料によると、昨年3月の事故後の退職者(定年退職は除く)は約300人と例年の3倍以上のペースで増え、年度末を控えて「退職予備軍」も200~300人にのぼるとみられている。
退職者は「技術系の若手」や「中堅・若手の優秀層」が中心で、転職先は総合商社や食品大手、外資系金融機関など。海外の原子力企業に転職した例は確認されていないというが、すべての転職先は把握しきれていない。
「引き抜き」攻勢をかける韓国は総発電量の約3割を原子力で賄う。昨年12月には東部・蔚珍(ウルジン)で計画する原発2基の建設が許可され、李明博(イ・ミョンバク)大統領は「我が国はエネルギー輸入国。原発建設は続けていく」と原発推進の姿勢を鮮明にしている。李大統領は今月5日、訪問したトルコでエルドアン首相と会談し、中断していた原発建設交渉の再開で合意。原発事故で交渉が停滞した日本メーカーを横目に韓国企業の逆転受注を狙っている。
福島原発事故後、ドイツ、イタリア、スイスが新規の原発を建設しない「脱原発」を宣言。一方、急増する電力需要や地球温暖化対策で米国や中国、東南アジアの新興国などで原発新設が進む。「中国がドイツの原発技術者の獲得に動いている」との独報道もあり、技術者の争奪戦は国境を超えて激化している。
また、原発技術の流出は、核兵器の拡散防止を目指す核安全保障を揺るがしかねない。東電は原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムをウランと混合したMOX燃料を再利用するプルサーマルを実施している。核兵器に使われるプルトニウムを扱う東電の技術は「核兵器を造る能力」(資源エネルギー庁幹部)でもある。
衆院安全保障委員会の理事の一人は「原発の推進国にとって東電の技術は垂涎(すいぜん)の的。安全保障のうえでも東電の人材や技術が流出すれば問題だ」と警戒感を強めている。【三沢耕平】
毎日新聞 2012年2月16日 8時27分(最終更新 2月16日 8時59分)
同じころ、東電の別の男性社員も、韓国政府関係者から面会を求められた。待ち合わせ場所に行くと、「力を貸してもらえないか」と転職を持ち掛けられた。韓国側からどのような処遇を提示されたかは明らかではない。
関係者によると、2人とも転職の誘いを拒否し「今も原子力部門で働いている」(幹部)というが、東芝や日立製作所など世界最先端の原発を扱う東電の運用技術を狙った「ヘッドハンティング」の一端が浮かび上がった。
韓国では90年代以降、当時は規模が大きくなかったサムスン電子がソニーやパナソニックなど日本の花形企業の技術者を「リクルート」して技術力を高め、日本の電機メーカーを「駆逐」し、世界有数の電機メーカーにのし上がった経緯がある。東電幹部は「今は東電が国内外からの『草刈り場』になっている」と危惧する。
東電は原発事故による経営環境の悪化や民主党政権の「脱原発依存」「東電解体」の動きを受け、人材流出が止まらない。東電の内部資料によると、昨年3月の事故後の退職者(定年退職は除く)は約300人と例年の3倍以上のペースで増え、年度末を控えて「退職予備軍」も200~300人にのぼるとみられている。
退職者は「技術系の若手」や「中堅・若手の優秀層」が中心で、転職先は総合商社や食品大手、外資系金融機関など。海外の原子力企業に転職した例は確認されていないというが、すべての転職先は把握しきれていない。
「引き抜き」攻勢をかける韓国は総発電量の約3割を原子力で賄う。昨年12月には東部・蔚珍(ウルジン)で計画する原発2基の建設が許可され、李明博(イ・ミョンバク)大統領は「我が国はエネルギー輸入国。原発建設は続けていく」と原発推進の姿勢を鮮明にしている。李大統領は今月5日、訪問したトルコでエルドアン首相と会談し、中断していた原発建設交渉の再開で合意。原発事故で交渉が停滞した日本メーカーを横目に韓国企業の逆転受注を狙っている。
福島原発事故後、ドイツ、イタリア、スイスが新規の原発を建設しない「脱原発」を宣言。一方、急増する電力需要や地球温暖化対策で米国や中国、東南アジアの新興国などで原発新設が進む。「中国がドイツの原発技術者の獲得に動いている」との独報道もあり、技術者の争奪戦は国境を超えて激化している。
また、原発技術の流出は、核兵器の拡散防止を目指す核安全保障を揺るがしかねない。東電は原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムをウランと混合したMOX燃料を再利用するプルサーマルを実施している。核兵器に使われるプルトニウムを扱う東電の技術は「核兵器を造る能力」(資源エネルギー庁幹部)でもある。
衆院安全保障委員会の理事の一人は「原発の推進国にとって東電の技術は垂涎(すいぜん)の的。安全保障のうえでも東電の人材や技術が流出すれば問題だ」と警戒感を強めている。【三沢耕平】
毎日新聞 2012年2月16日 8時27分(最終更新 2月16日 8時59分)
東電若手女性社員 メガネ買う時「あんた東電か」と叩かれる
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2012.02.28 07:00
日本屈指の巨大企業・東京電力。超安定と言われた企業にいた社員たちの生活は、あの日を境に一変した。本店の管理部門に在籍する中堅社員にこのところの社内事情について話を聞いた。
* * *
ここ数か月で世間をお騒がせしているのは、電気代の値上げでしょう。営業部門が値上げのご説明とお詫びのために顧客を回っていますが、我々本店では、値上げの前提となる、各部門の予算カットと資産売却に追われています。
意外と知られていないところでは、株式の売却が大変ですね。上場株なら市場で売れますが、未上場だと難しい。まず、株を持っている会社を訪問し、「株を手放したいので、大株主を教えてください」ということから始めるわけです。それでも、このご時世だから、我が社から株を買ってくれる会社というのはなかなか見つかりません……。
今は、社員のモチベーションの低下を心配しています。一般社員は、給与5%、ボーナス50%削減で、年収ベースで約2割カット。
これは若手女性社員のケースですが、メガネを買う時に身分証明書などをカウンターに出していたら、後ろにいた人に「あんた、東京電力か!」と言われて叩かれたそうです。こうした状況が続いてモチベーションが下がり、組織としての力がダウンしてしまうことが気がかりです。
※SAPIO2012年3月14日号
日本屈指の巨大企業・東京電力。超安定と言われた企業にいた社員たちの生活は、あの日を境に一変した。本店の管理部門に在籍する中堅社員にこのところの社内事情について話を聞いた。
* * *
ここ数か月で世間をお騒がせしているのは、電気代の値上げでしょう。営業部門が値上げのご説明とお詫びのために顧客を回っていますが、我々本店では、値上げの前提となる、各部門の予算カットと資産売却に追われています。
意外と知られていないところでは、株式の売却が大変ですね。上場株なら市場で売れますが、未上場だと難しい。まず、株を持っている会社を訪問し、「株を手放したいので、大株主を教えてください」ということから始めるわけです。それでも、このご時世だから、我が社から株を買ってくれる会社というのはなかなか見つかりません……。
今は、社員のモチベーションの低下を心配しています。一般社員は、給与5%、ボーナス50%削減で、年収ベースで約2割カット。
これは若手女性社員のケースですが、メガネを買う時に身分証明書などをカウンターに出していたら、後ろにいた人に「あんた、東京電力か!」と言われて叩かれたそうです。こうした状況が続いてモチベーションが下がり、組織としての力がダウンしてしまうことが気がかりです。
※SAPIO2012年3月14日号
↑メガネ買うのに身分証明書が必要なの?仮に要るとしてもフツーは運転免許証か保険証、パスポートを出すよね?
東電社内でも社員寮の表札や自動車から「東電」の文字を消すくらいなんだから、身分証明書→社員証はないわ。ネタ認定。
東電30代技術者「元東電社員となれば雇ってくれる場所ない」
...
2012.02.29 07:00
日本屈指の巨大企業・東京電力。社員たちは、あの日を境に、「電気の供給」という仕事に加え、「原発事故の処理」「巨額の賠償」という大きな責任を背負った。東電社員はこの1年、何を見て、何をして、何を感じてきたのか。そもそもあの悲劇は、なぜ起きたと考えているのか、東京支店の技術部門で働く30代社員に話を聞いた。
* * *
事故後、何度も会社を辞めようと思いました。妻は僕の代わりにハローワークにも行ってくれた。でも、この年で、元東電社員となれば、雇ってくれるところはありません。子供が小さいので、「私立は無理かな」とか「習い事はやめさせなきゃ」とか、将来のことを考えると、暗くなります。今は、「働くことで、少しでも被災地の復興に繋がればいい」と思い込むことで、毎日を過ごしています。
事故の原因? 国と我々電力会社の想定の甘さに尽きると思います。「組織が官僚的だ」「補償が足りない、遅い」という批判は甘んじて受けます。うちの会社は、「部署が変われば別の会社」と言ってもいいくらい、社内の風通しが悪い。
本店勤務の総務や企画といったエリート社員の中には、我々技術部門のことを“電気屋さん”と呼んで馬鹿にしていた人もいた。あなたも電気屋さんでしょ、と言い返してやりたかった。
実は、どう業務を推進したら効率的か、という話し合いをする「全店業務マネジメント推進会議」が、震災の10日前の3月1日に、本店で開かれていました。参加した社員によれば、「社外からの視点が大切だ」と話し合われたそうです。10日後の事故でわかったのは「やっぱり東京電力は内向きの会社だった」ということだから、皮肉ですね。
※SAPIO2012年3月14日号
日本屈指の巨大企業・東京電力。社員たちは、あの日を境に、「電気の供給」という仕事に加え、「原発事故の処理」「巨額の賠償」という大きな責任を背負った。東電社員はこの1年、何を見て、何をして、何を感じてきたのか。そもそもあの悲劇は、なぜ起きたと考えているのか、東京支店の技術部門で働く30代社員に話を聞いた。
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事故後、何度も会社を辞めようと思いました。妻は僕の代わりにハローワークにも行ってくれた。でも、この年で、元東電社員となれば、雇ってくれるところはありません。子供が小さいので、「私立は無理かな」とか「習い事はやめさせなきゃ」とか、将来のことを考えると、暗くなります。今は、「働くことで、少しでも被災地の復興に繋がればいい」と思い込むことで、毎日を過ごしています。
事故の原因? 国と我々電力会社の想定の甘さに尽きると思います。「組織が官僚的だ」「補償が足りない、遅い」という批判は甘んじて受けます。うちの会社は、「部署が変われば別の会社」と言ってもいいくらい、社内の風通しが悪い。
本店勤務の総務や企画といったエリート社員の中には、我々技術部門のことを“電気屋さん”と呼んで馬鹿にしていた人もいた。あなたも電気屋さんでしょ、と言い返してやりたかった。
実は、どう業務を推進したら効率的か、という話し合いをする「全店業務マネジメント推進会議」が、震災の10日前の3月1日に、本店で開かれていました。参加した社員によれば、「社外からの視点が大切だ」と話し合われたそうです。10日後の事故でわかったのは「やっぱり東京電力は内向きの会社だった」ということだから、皮肉ですね。
※SAPIO2012年3月14日号
東日本大震災「余震、いまだ止まず」(5) 東電社員「袋叩きの1年」を痛恨告白
...
2012年3月24日 10時58分
「安全です」と連呼しておきながら、東京電力は福島第一原発を爆発させ、大惨事をもたらした。被災者の生活を奪い、日本中に放射能の恐怖を植え付けた元凶。東電社員はこの1年、経営幹部の言い逃れやデータ隠し、ヒドイ事故対応などで、袋叩き状態だった。
*
東電社員――。彼らに付きまとったのは、その「身分」を知られる不安だった。ある女性社員がつぶやく。
「とにかく、書類に勤務先を書くのが嫌でした。病院、カード類を作る時、各種手続きで‥‥」
原発事故によって彼ら東電社員は、当たり前だが、世間からの大バッシングという暴風雨に見舞われた。その対策として、ある「指示」がなされたという。本店に勤務する事務方の男性中堅社員が苦笑して言う。
「『居酒屋など、外に飲みに行くのを控えること』というお達しが回ってきたんです。同僚と飲みに行って仕事の話をしてしまうと、内容から東電社員だと店や周囲の客にバレてしまう。『こんな時に酒なんか飲んでる場合か!』と批判されかねません。だから、1人でコッソリと行ける店でだけ飲むようになりました。今もその状態は続いています。自分たちのことを知られている店にはもちろん行かなくなりました」
禁を破って、ごくたまに親しい同僚と食事する際も、
「ラーメン屋でメシを食いながら、ビールか焼酎を1杯飲んで、サッと帰ってくる。その際も意識して、趣味の話ぐらいしかしない」(中堅社員)
その背景にあったのは、
「複数の社宅や支店にいたずらや嫌がらせ、落書きがありました」(女性社員)
仕事現場でも、彼らの肩身はすこぶる狭い。営業系の部署にいる若手社員は嘆息するのだ。
「法人の顧客と接する部署はもう大変。『他の会社に切り換えるぞ!』と罵倒されて帰ってくる人もたくさんいましたから。新聞や雑誌、テレビでさまざまな報道がなされましたが、どこまで本当なのか、実は僕らもわからなかった。事故状況などについては、会社からメールがありました。『この報道についてはこう書かれていますが、実際はまだ調整中の案件です』とか。顧客にはそんなふうに説明しないといけなかった」
もちろん補償センターでも、謝罪対応に追われる日々。社員は福島県にも派遣されたという。先の女性社員はこう明かす。
「年齢、肩書に関係なく、総務や営業など各部署が入り交じった混成チームを組んで、順番に福島に行かされました。車や民家、土壌の除染などをするのですが、地元の要望によって作業の内容は変わります。
あとは、原発事故を処理するための資材を組み立てたり」
被災者への補償金を工面するため、外部業者に委託していた作業は社員が担当し、支出を抑制。
「工事の立ち会いなど、現場仕事が増えました。給料は減りましたが」(若手社員)
補償問題が決着し、原発廃炉、放射能拡散が収まるまで、彼らの受難は続く。
「安全です」と連呼しておきながら、東京電力は福島第一原発を爆発させ、大惨事をもたらした。被災者の生活を奪い、日本中に放射能の恐怖を植え付けた元凶。東電社員はこの1年、経営幹部の言い逃れやデータ隠し、ヒドイ事故対応などで、袋叩き状態だった。
*
東電社員――。彼らに付きまとったのは、その「身分」を知られる不安だった。ある女性社員がつぶやく。
「とにかく、書類に勤務先を書くのが嫌でした。病院、カード類を作る時、各種手続きで‥‥」
原発事故によって彼ら東電社員は、当たり前だが、世間からの大バッシングという暴風雨に見舞われた。その対策として、ある「指示」がなされたという。本店に勤務する事務方の男性中堅社員が苦笑して言う。
「『居酒屋など、外に飲みに行くのを控えること』というお達しが回ってきたんです。同僚と飲みに行って仕事の話をしてしまうと、内容から東電社員だと店や周囲の客にバレてしまう。『こんな時に酒なんか飲んでる場合か!』と批判されかねません。だから、1人でコッソリと行ける店でだけ飲むようになりました。今もその状態は続いています。自分たちのことを知られている店にはもちろん行かなくなりました」
禁を破って、ごくたまに親しい同僚と食事する際も、
「ラーメン屋でメシを食いながら、ビールか焼酎を1杯飲んで、サッと帰ってくる。その際も意識して、趣味の話ぐらいしかしない」(中堅社員)
その背景にあったのは、
「複数の社宅や支店にいたずらや嫌がらせ、落書きがありました」(女性社員)
仕事現場でも、彼らの肩身はすこぶる狭い。営業系の部署にいる若手社員は嘆息するのだ。
「法人の顧客と接する部署はもう大変。『他の会社に切り換えるぞ!』と罵倒されて帰ってくる人もたくさんいましたから。新聞や雑誌、テレビでさまざまな報道がなされましたが、どこまで本当なのか、実は僕らもわからなかった。事故状況などについては、会社からメールがありました。『この報道についてはこう書かれていますが、実際はまだ調整中の案件です』とか。顧客にはそんなふうに説明しないといけなかった」
もちろん補償センターでも、謝罪対応に追われる日々。社員は福島県にも派遣されたという。先の女性社員はこう明かす。
「年齢、肩書に関係なく、総務や営業など各部署が入り交じった混成チームを組んで、順番に福島に行かされました。車や民家、土壌の除染などをするのですが、地元の要望によって作業の内容は変わります。
あとは、原発事故を処理するための資材を組み立てたり」
被災者への補償金を工面するため、外部業者に委託していた作業は社員が担当し、支出を抑制。
「工事の立ち会いなど、現場仕事が増えました。給料は減りましたが」(若手社員)
補償問題が決着し、原発廃炉、放射能拡散が収まるまで、彼らの受難は続く。
2012年04月06日の記事
東電の依願退職者急増、先月100人超
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2011年度に東京電力を依願退職した社員の数は460人と、例年のおよそ3.5倍に上っていることがわかりました。特に先月は100人以上に達し、依願退職の動きが加速しています。
関係者によりますと、東京電力を依願退職する人は例年100数十人程度だということですが、福島第一原発事故以降、その数は増え続け、昨年度の1年間で460人と、例年のおよそ3.5倍に上るということです。特に今年3月は、その数が急増し、1か月で100人を超えました。
東電に勤めていることで子供や家族がいじめられることや、将来に希望が持てないことなどが退職の理由ということで、東電社内では人材の流出により、安定供給の確保を懸念する声もあがっています。
東京電力では、事故後、管理職は25%、管理職以外は20%、年収をカットしているほか、この夏のボーナスの支給をとりやめることを検討してます。(06日10:40)
関係者によりますと、東京電力を依願退職する人は例年100数十人程度だということですが、福島第一原発事故以降、その数は増え続け、昨年度の1年間で460人と、例年のおよそ3.5倍に上るということです。特に今年3月は、その数が急増し、1か月で100人を超えました。
東電に勤めていることで子供や家族がいじめられることや、将来に希望が持てないことなどが退職の理由ということで、東電社内では人材の流出により、安定供給の確保を懸念する声もあがっています。
東京電力では、事故後、管理職は25%、管理職以外は20%、年収をカットしているほか、この夏のボーナスの支給をとりやめることを検討してます。(06日10:40)
>東電に勤めていることで子供や家族がいじめられる
原発事故前は東電社員であることを鼻にかけて高慢な態度とっていたからじゃね?
東電社員の子供に対するイジメが多発!「電気料金値上げ分を返せ」とカツアゲetc…
2012.08.21 ニュース
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原発事故への責任追及が東電社員に集中している。確かに、原発事故において東電の責任は重い。しかし、一社員、ましてやその子供へのいじめや脅迫まで頻発しているという。
「小学生の息子が、突然『お父さんのせいで学校に行けなくなった』と言い出したんです……」と語るのは、千葉県に住む40代の東電社員、Aさん。
「朝のワイドショーに影響されて、子供の世界でも話題は東電批判。ウチの子は『(お前の親は)放射能をバラ撒いている』『原発が安全だなんて騙していた』などと毎日のように友達から非難されていたそうです。『あいつに触ると放射能が移る』とまで言われて仲間外れにされていたとか」
Aさんの住む地域には、「ホットスポット」と呼ばれる放射能の高汚染地域が点在。親が子供の被曝を心配して西日本などに転校させるケースも出てきていた。とりわけ女子生徒の反応が厳しかった。
「『私が将来子供を産めなくなったらどう責任とってくれるの?』と詰め寄られたと言っていました。原発周辺に残された犬猫の写真を突きつけられて『この子たちどうするつもり?』と責められたりもしたそうです」(同)
Aさんは現在、子供を別の地区の小学校に転校させ、「東電社員の息子」ということは隠すようにしているという。
「いちばんひどかったのは、電気料金の値上げが話題になった時です」と語るのは、都内の営業所に勤めるBさん(30代)。
「このあたりは中小零細企業が多く、電気料金値上げで多大な影響を受ける地域。ウチの子は『値上げ分を返せ』とカツアゲされていました。これまで多くの東電社員の子供は、親の仕事を誇りに思って、友達にも自慢してきたのだと思います。JRやJAL、NHKなどと同じく、子供にも分かりやすい職業ですしね。そのせいで、余計に今回のことで反発が起こっているのでは」
週刊SPA!8/28発売号「東電『一般社員』の声に出せない悲鳴」では、他にも脅迫や嫌がらせに怯えつつも、事故による責任を痛切に感じ声にも出せずにいる東電の一般社員の声を紹介している。 <取材・文/田中裕司 尾原宏之 志葉 玲 桐島 瞬>
「小学生の息子が、突然『お父さんのせいで学校に行けなくなった』と言い出したんです……」と語るのは、千葉県に住む40代の東電社員、Aさん。
「朝のワイドショーに影響されて、子供の世界でも話題は東電批判。ウチの子は『(お前の親は)放射能をバラ撒いている』『原発が安全だなんて騙していた』などと毎日のように友達から非難されていたそうです。『あいつに触ると放射能が移る』とまで言われて仲間外れにされていたとか」
Aさんの住む地域には、「ホットスポット」と呼ばれる放射能の高汚染地域が点在。親が子供の被曝を心配して西日本などに転校させるケースも出てきていた。とりわけ女子生徒の反応が厳しかった。
「『私が将来子供を産めなくなったらどう責任とってくれるの?』と詰め寄られたと言っていました。原発周辺に残された犬猫の写真を突きつけられて『この子たちどうするつもり?』と責められたりもしたそうです」(同)
Aさんは現在、子供を別の地区の小学校に転校させ、「東電社員の息子」ということは隠すようにしているという。
「いちばんひどかったのは、電気料金の値上げが話題になった時です」と語るのは、都内の営業所に勤めるBさん(30代)。
「このあたりは中小零細企業が多く、電気料金値上げで多大な影響を受ける地域。ウチの子は『値上げ分を返せ』とカツアゲされていました。これまで多くの東電社員の子供は、親の仕事を誇りに思って、友達にも自慢してきたのだと思います。JRやJAL、NHKなどと同じく、子供にも分かりやすい職業ですしね。そのせいで、余計に今回のことで反発が起こっているのでは」
週刊SPA!8/28発売号「東電『一般社員』の声に出せない悲鳴」では、他にも脅迫や嫌がらせに怯えつつも、事故による責任を痛切に感じ声にも出せずにいる東電の一般社員の声を紹介している。 <取材・文/田中裕司 尾原宏之 志葉 玲 桐島 瞬>
2014年9月23日 7時0分 NEWSポストセブン
東電社員妻告白 原発事故後卵投げられたり壁に落書きされた
...
2011年3月11日に起こった東日本大震災と津波の影響によって、東京電力の福島第一原子力発電所で大規模な事故が発生した。今も避難を余儀なくされている被災者もおり、汚染水問題や電気料金値上げを巡る問題など課題は数多く残されている。
事故後から批判され続けている東京電力。社員の妻たちはどう過ごしているのだろうか。山本典子さん(40才・仮名)は3年前をこう振り返る。
「原発事故直後は、住んでいた社宅に卵を投げられ、仲がよかったママ友が露骨に私を避け出しました。別のママ友からは『電気代にコストを転化しているから、ご主人の給与が下がらなくっていいわね』と、嫌味を言われたこともあります。
給料は下がっていたけど言い返せなかった。ゴールデンウイークに旅行に行く予定があるのを知ったママ友からは『あんなことをしてよく旅行になんて行けるわね』とも言われました。そして、小学生だった子供が学校でいじめの対象に。結局、社宅を出て引っ越しました」
山本さん一家は、今も周囲に“夫は電気関係の会社”としか伝えずに生活している。田中ゆう子さん(37才・仮名)は陰湿な近所いじめにあったと告白する。
「震災以降、家の壁には近所の住民からいたずら書きされるようになりました。消していると後ろから卵が投げつけられる。そんなことの繰り返しで、諦めて相手にしないように自分に言い聞かせましたが、子供への影響を考えて引っ越しました。頑張って建てたマイホームを泣く泣く売って、予想外の費用がかかり家計が苦しいです。
夫の通勤時間も長くなりました。他の奥さんも皆同じだったと思います。子供への被害が心配で通学に付き添って行った知り合いもいました。今は少し落ち着きましたが、思い出したくない過去です」
東京電力のグループ会社に勤務する夫をもつ守口友美さん(50代・主婦)は、隣町まで買い物に行かざるを得なくなったという。
「顔なじみの個人商店に顔を出したところ、これまでは普通に愛想よく対応されていたのに、『お前なんかに売るものなんてない。帰れ!』と言われてしまった。仕方なく少し遠いけど、素性を知られる恐れがない大型スーパーまで買い物にでかけました。主人の担当は風力発電で事故とは直接関係がないので、まさか影響があると思いませんでした」
問題を起こした企業に勤める夫を持つというだけで、ある日家族に襲いかかる悲劇。非難の矛先は無関係な家族にも向けられるという現実を肝に銘じておきたい。
※女性セブン2014年10月2日号
事故後から批判され続けている東京電力。社員の妻たちはどう過ごしているのだろうか。山本典子さん(40才・仮名)は3年前をこう振り返る。
「原発事故直後は、住んでいた社宅に卵を投げられ、仲がよかったママ友が露骨に私を避け出しました。別のママ友からは『電気代にコストを転化しているから、ご主人の給与が下がらなくっていいわね』と、嫌味を言われたこともあります。
給料は下がっていたけど言い返せなかった。ゴールデンウイークに旅行に行く予定があるのを知ったママ友からは『あんなことをしてよく旅行になんて行けるわね』とも言われました。そして、小学生だった子供が学校でいじめの対象に。結局、社宅を出て引っ越しました」
山本さん一家は、今も周囲に“夫は電気関係の会社”としか伝えずに生活している。田中ゆう子さん(37才・仮名)は陰湿な近所いじめにあったと告白する。
「震災以降、家の壁には近所の住民からいたずら書きされるようになりました。消していると後ろから卵が投げつけられる。そんなことの繰り返しで、諦めて相手にしないように自分に言い聞かせましたが、子供への影響を考えて引っ越しました。頑張って建てたマイホームを泣く泣く売って、予想外の費用がかかり家計が苦しいです。
夫の通勤時間も長くなりました。他の奥さんも皆同じだったと思います。子供への被害が心配で通学に付き添って行った知り合いもいました。今は少し落ち着きましたが、思い出したくない過去です」
東京電力のグループ会社に勤務する夫をもつ守口友美さん(50代・主婦)は、隣町まで買い物に行かざるを得なくなったという。
「顔なじみの個人商店に顔を出したところ、これまでは普通に愛想よく対応されていたのに、『お前なんかに売るものなんてない。帰れ!』と言われてしまった。仕方なく少し遠いけど、素性を知られる恐れがない大型スーパーまで買い物にでかけました。主人の担当は風力発電で事故とは直接関係がないので、まさか影響があると思いませんでした」
問題を起こした企業に勤める夫を持つというだけで、ある日家族に襲いかかる悲劇。非難の矛先は無関係な家族にも向けられるという現実を肝に銘じておきたい。
※女性セブン2014年10月2日号
2012年11月07日 東電社員福島送りを発表
東電、福島に「復興本社」計画
2012年11月08日
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東京電力は7日発表した福島復興本社の計画で、トップに福島第二原発の元所長をすえ、体制を500人増強するなど、「地元密着」をアピールした。ただ、福島本社は東電社内の「一組織」にすぎず、権限をどこまで持つかは不透明。賠償や廃炉問題をどうやって早期に解決するか、計画は具体策に欠けた。
●賠償・廃炉 具体策欠く/「第二」存廃判断も棚上げ/東電「福島本社」発表
東電は行動計画で「福島事故の責任を全うする」と掲げた。来年1月にできる福島本社の代表就任が決まった石崎芳行副社長(59)は福島市内での記者会見で、賠償や廃炉、被災者支援を「不手際や作業の遅れを反省している。いの一番に取り組まねばならない最優先課題だ」と強調した。
計画の中には、本社開設に伴い、県内スタッフを4千人に増員することや、雇用の創出や産業振興を図るため、「世界最先端の石炭火力発電所建設」や、原発作業員らの活動拠点になっている「Jヴィレッジ」を復旧させ、県に返還する方針も盛り込んだ。
肝心の賠償問題については、家財道具と会社資産の賠償や、自主避難者らへの賠償を12月中に受け付けると明示した。
しかし、賠償をどう進めるかについては、社内で賠償を受け付ける部署と、賠償の訴訟を受け持つ部署を統合して「業務連携・情報共有を一層強化」とするだけ。福島本社がどこまで決定権を持つかは未定で、発表を聞いた県幹部は「福島本社に実際にどこまでの権限が与えられるのかも分からない」と、賠償が本当に進むのか懐疑的だ。
計画には、県や県議会が求めている県内の原発の「全基廃炉」について、一言も触れられなかった。
石崎氏は「知事や議会の廃炉要請は重く受け止めているが、国のエネルギー政策もはっきりしていない」。石崎氏自身は2007年から3年間、第二原発の所長を務めており、「私自身、いろんな思い入れがある」とも述べた。
●知事「ようやく出発点」
7日の発表では、福島本社の所在地は未発表だった。原発事故以降、住民や企業の流出に悩む県内自治体では、「4千人体制の拠点」を地元に招致したいとの思惑も出始めている。
「福島や郡山より、双葉郡8町村内かそれに近い場所に作ることが重要だ」と広野町の山田基星町長。現場に近い方がスピード感を生むとの考えだ。緊急時避難準備区域が解除され1年が過ぎる。「先方から話があれば社屋でも社員宿舎でも、用地などに広野は協力を惜しまない」と述べた。
本社の県内設置を「遅すぎた感がある」とする福島市の瀬戸孝則市長も「県が東電との交渉を主導するためにも、本社機能は県庁所在地への設置が適当だ」と主張する。
ただ、本社の所在地をどこにするにしても、東電への不信感は強い。浪江町の馬場有(たもつ)町長は「これまで期待を何度も裏切られ、東電への信頼は失墜している。福島本社では加害者としての意識を持ち、現地できちんと対応するのか」。双葉町の井戸川克隆町長も「ずっと東電の姿が見えなかった。目に見える形で対応するのは当然。もうとっくにやっておかないといけない対応だった」と話す。
避難者側にも本社設置の効果は不透明だ。
「東電社員が県内に何人来ても、自治体は交渉などの際に移動の手間が省けていいが、住民には何の得もない」。浪江町から福島市の借り上げ住宅に避難している伊藤暢秀さん(74)は町役場で東電社員に賠償の相談をしても、親身に聞いてもらえた記憶はない。本社設置を「ただのポーズにしか見えない」と話す。
佐藤雄平知事は7日夕、県庁で東京電力の下河辺和彦会長らと面会。東電が新たな経営方針の中に、福島の復興を盛り込んだ点を「ようやく出発点に立ったと理解している。(賠償や除染で東電は)取り組みが遅いと言わざるを得ない、というのが県民の思い」と厳しい表情で述べた。下河辺会長は、「福島の再生が最優先の課題だ。不退転の決意で臨む」と語った。
●賠償・廃炉 具体策欠く/「第二」存廃判断も棚上げ/東電「福島本社」発表
東電は行動計画で「福島事故の責任を全うする」と掲げた。来年1月にできる福島本社の代表就任が決まった石崎芳行副社長(59)は福島市内での記者会見で、賠償や廃炉、被災者支援を「不手際や作業の遅れを反省している。いの一番に取り組まねばならない最優先課題だ」と強調した。
計画の中には、本社開設に伴い、県内スタッフを4千人に増員することや、雇用の創出や産業振興を図るため、「世界最先端の石炭火力発電所建設」や、原発作業員らの活動拠点になっている「Jヴィレッジ」を復旧させ、県に返還する方針も盛り込んだ。
肝心の賠償問題については、家財道具と会社資産の賠償や、自主避難者らへの賠償を12月中に受け付けると明示した。
しかし、賠償をどう進めるかについては、社内で賠償を受け付ける部署と、賠償の訴訟を受け持つ部署を統合して「業務連携・情報共有を一層強化」とするだけ。福島本社がどこまで決定権を持つかは未定で、発表を聞いた県幹部は「福島本社に実際にどこまでの権限が与えられるのかも分からない」と、賠償が本当に進むのか懐疑的だ。
計画には、県や県議会が求めている県内の原発の「全基廃炉」について、一言も触れられなかった。
石崎氏は「知事や議会の廃炉要請は重く受け止めているが、国のエネルギー政策もはっきりしていない」。石崎氏自身は2007年から3年間、第二原発の所長を務めており、「私自身、いろんな思い入れがある」とも述べた。
●知事「ようやく出発点」
7日の発表では、福島本社の所在地は未発表だった。原発事故以降、住民や企業の流出に悩む県内自治体では、「4千人体制の拠点」を地元に招致したいとの思惑も出始めている。
「福島や郡山より、双葉郡8町村内かそれに近い場所に作ることが重要だ」と広野町の山田基星町長。現場に近い方がスピード感を生むとの考えだ。緊急時避難準備区域が解除され1年が過ぎる。「先方から話があれば社屋でも社員宿舎でも、用地などに広野は協力を惜しまない」と述べた。
本社の県内設置を「遅すぎた感がある」とする福島市の瀬戸孝則市長も「県が東電との交渉を主導するためにも、本社機能は県庁所在地への設置が適当だ」と主張する。
ただ、本社の所在地をどこにするにしても、東電への不信感は強い。浪江町の馬場有(たもつ)町長は「これまで期待を何度も裏切られ、東電への信頼は失墜している。福島本社では加害者としての意識を持ち、現地できちんと対応するのか」。双葉町の井戸川克隆町長も「ずっと東電の姿が見えなかった。目に見える形で対応するのは当然。もうとっくにやっておかないといけない対応だった」と話す。
避難者側にも本社設置の効果は不透明だ。
「東電社員が県内に何人来ても、自治体は交渉などの際に移動の手間が省けていいが、住民には何の得もない」。浪江町から福島市の借り上げ住宅に避難している伊藤暢秀さん(74)は町役場で東電社員に賠償の相談をしても、親身に聞いてもらえた記憶はない。本社設置を「ただのポーズにしか見えない」と話す。
佐藤雄平知事は7日夕、県庁で東京電力の下河辺和彦会長らと面会。東電が新たな経営方針の中に、福島の復興を盛り込んだ点を「ようやく出発点に立ったと理解している。(賠償や除染で東電は)取り組みが遅いと言わざるを得ない、というのが県民の思い」と厳しい表情で述べた。下河辺会長は、「福島の再生が最優先の課題だ。不退転の決意で臨む」と語った。
2013年12月21日 55歳以上の東電全役職者福島送りを発表
東電、55歳以上の全役職者投入 福島復興を加速
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東京電力が、55歳以上の一定の役職社員を原則として全員、福島第1原発事故に伴う福島県内での復興業務に投入する方向で検討していることが20日、分かった。転勤後は賠償、除染、廃炉などの作業を担当する。併せて福島勤務の社員の給与を上乗せするなど待遇改善策も導入し、社員の士気を高める。
東電は組織の効率化の一環として10ある支店を全廃し、それに伴って出る千人程度の人員を福島の復興業務に充てる方針。経験豊富なベテラン社員に現場のけん引役を担ってもらうことで、復興を加速するのが狙いだ。
2013/12/21 00:19 【共同通信】
東電は組織の効率化の一環として10ある支店を全廃し、それに伴って出る千人程度の人員を福島の復興業務に充てる方針。経験豊富なベテラン社員に現場のけん引役を担ってもらうことで、復興を加速するのが狙いだ。
2013/12/21 00:19 【共同通信】
- 最終更新:2014-10-05 22:55:36