煩雑な賠償金請求書
- 2011年09月12日、福島第一原発の事故に伴う個人向け損害賠償の本払いに必要となる書類の発送を始めた。
- 東電に仮払いを請求した約6万世帯に送られる
- 請求書が約60ページ、案内冊子が約160ページ
- 3月11日から8月末までの損害額を記入し、領収書などを添えて請求
- 合意書・示談書の中に『一切の異議・追加の請求を申し立てない』という文言があり、それに署名をさせようとしている
参考
東電賠償金請求書は1人60ページ 書類の発送開始
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2011年9月12日11時48分
東京電力は12日、福島第一原発の事故に伴う個人向け損害賠償の本払いに必要となる書類の発送を始めた。早ければ10月初めにも賠償金が支払われる。
書類は東電に仮払いを請求した約6万世帯に送られる。1人分は請求書が約60ページ、案内冊子が約160ページ。今回は3月11日から8月末までの損害額を記入し、領収書などを添えて請求する。9月以降の分については3カ月ごとに請求を繰り返すことになる。
避難先を変えた人や初めて賠償請求する人は東電に住所を伝える必要がある。農家や中小企業など向けの書類は9月中に発送する。
賠償についての電話相談は、福島原子力補償相談室補償相談センター(0120・926・404、午前9時~午後9時)で受け付ける。センターでは、約200人の担当者が1日平均1200件の苦情や相談に応対しているという。
煩雑な賠償請求手続き「私もあぜん」 枝野経産相
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2011年9月20日22時46分
東京電力の原発事故による損害賠償を請求する手続きが煩雑な問題で、枝野幸男経済産業相は20日、「分厚い書類でひんしゅくを買っている。私もあぜんとしているので、東電に(丁寧な対応を)厳しく指導したい」と述べた。
この日、被災地振興を求めて経産省を訪れた東北経済連合会の高橋宏明会長(東北電力会長)らに述べた。東電が被災者向けに作った書類は請求書が1人分で約60ページ、案内冊子が約160ページにもなる。枝野氏は「顧問弁護士がいる中堅以上の企業ならともかく、個人の事業者の皆さんには対応は丁寧にやらなければいけない」と話した。
また、今年度予算の第3次補正予算案で検討している企業立地の補助金について、原発事故の影響が大きい福島県については金額の上積みを検討していることを明らかにした。
賠償請求書に「一切異議申し立てぬ」 東電、署名求める
文言は削除へ
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2011/9/26 17:01
枝野幸男経済産業相は26日午後の衆院予算委員会で、福島第1原子力発電所事故を巡り東京電力が作成した損害賠償の請求書類に関して「合意書・示談書の中に『一切の異議・追加の請求を申し立てない』という文言があり、それに署名をさせようとしている、署名をさせているとの情報が入った」ことを明らかにした。
そのうえで「その文言を削るよう、事務方に東電への申し入れを指示をしたが、東電側から『もう印刷して配っている』との返事があった。これから(被災者に)署名させないように対応するよう、副社長に伝える」との方針を示した。
書類作成を巡っては「(経産相に)就任した段階で危惧はあったが、東電には今回の事故についての政府と同様の社会的責任を感じてもらえてないことがわかった。形式的に民間企業なので、国が手取り足取り全部やることは想定していなかった。(今後は)少なくとも、現行法上で最大限できる範囲内で直接的に東電の行動を監視していきたい」と述べた。
参考人として出席した東京電力(9501)の西沢俊夫社長は、文言について「非常に誤解を招くという形もあるので削除の方向で見直す」との考えを示した。
自民党の吉野正芳氏への答弁。〔日経QUICKニュース〕
弁護士の私もムリ…枝野氏、賠償請求書改善要求
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枝野経済産業相は26日午前の衆院予算委員会で、東京電力が福島第一原子力発電所事故の賠償で被害者に複雑な請求手続きを求めている問題について「東電の担当副社長を呼び、抜本的な改善を求める」と述べた。
枝野氏は同日夕に皷つづみ紀男副社長と経産省で面会し、東電に対し、賠償の請求書類を簡素化するか、もしくは東電側が被害者を戸別訪問して請求方法をきめ細かく説明するよう求める。
枝野氏は同委で、賠償請求書類の分量が多く複雑なことを指摘したうえで「弁護士の私でも読み切れる中身ではない。これではとても被害者は納得できない。強い姿勢で臨みたい」と答弁した。
(2011年9月26日13時53分 読売新聞)
東日本大震災:原発賠償請求、東電が簡略化ガイド 記入用紙は変更せず - 毎日jp(毎日新聞)
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原発事故の損害賠償を巡って「請求書類が膨大」と批判を受けた東京電力は11日、手続きを示した「ご請求簡単ガイド」を発送すると発表した。会見で同社は「160ページにわたる案内書を見なくても、電話での相談などで記入用紙を作成できる」と説明した。ただ、60ページに及ぶ記入用紙は簡素化しなかった。
ガイドはA4判見開き4ページ。「避難した場所・期間」「3月11日に就労していたか」など7項目を尋ねる内容で12日から発送する。東電は、7項目に記入してもらえれば、その後の電話相談や現地説明会、戸別訪問などの対応で、1時間程度で書面を作成できる見込みとしている。
合意書用紙に盛り込んでいた「今後、一切の異議・追加の請求を申し立てない」との文章は削除した。記入用紙を簡素化しなかった点について、同社は「新たな記入用紙を作れば混乱する上、改訂にも時間がかかり、賠償に遅れが生じる」と説明した。
東電は9月上旬から、補償書類約6万通を発送、返信は約7600通で、支払いを合意したのは10月8日までに約70件、支払ったのは7日までに6件にとどまる。批判を受け、600人だった担当社員は10月から1700人に増やした。
福島市の仮設住宅で暮らす同県浪江町の主婦、舛倉美津枝さん(58)も書類の多さにうんざりしているといい、「記入用紙への書き入れは今と一緒。法律の専門家ならばともかく、普通の人には分からない」と批判した。【種市房子、立山清也】
毎日新聞 2011年10月12日 東京朝刊
簡略化、それでも1005項目…東電賠償請求書
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東京電力は24日、福島第一原子力発電所事故の個人の被害者向け損害賠償請求書類を大幅に見直し、手続きを簡略化したと発表した。
書類の厚さや記入方法などに批判が集まっていたため、改善を図ったという。9月に被害者に送った初回(3~8月分)の書類と比べ、2回目(9~11月分)の書類はページ数を約半分の34ページに減らした。12月2日から発送し、同5日から受け付けを始める。一度書類が送られた人には原則今回の改善された書類が送られる。
今回の見直しでは記入欄を大幅に減らした。例えば、避難・帰宅費用の交通費は、初回の書類で「移動種別」「移動手段」「単価」の各項目で当てはまるところにすべてチェックを付ける必要があったが、今回は「移動種別」のみに整理。すべて記入するわけではないが、合計で2115項目あった記入欄は1005になった。既に1回目を請求している人は、住所などの個人情報を東電側であらかじめ印字しているため、2回目の書類に記入する必要はない。
請求書類を巡っては、被災者から「分厚くて分かりにくい」などと苦情が噴出したため、枝野経済産業相の改善指示に基づき、東電は記入法の手引を追加で送ったり、現地で説明会を開いたりしている。
(2011年11月25日09時20分 読売新聞)