劣悪な労働環境
東電「決死隊」1日2食の劣悪環境 一時は水も1・5リットルのみ
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2011.3.28 14:39
東京電力福島第1原発事故の収束に向けて、放射線量の高い現場で命がけの作業を続けている同社と協力会社の社員が、1日に「非常食2食」しか摂取できないという劣悪な環境に置かれていることが28日、分かった。原子力安全・保安院の横田一磨統括原子力保安検査官が福島県災害対策本部で会見し、明らかにした。
横田氏は作業状況などの確認のため、22~26日に福島第1原発を視察。現場では新たな水、食糧などが入手困難な状況で、一時は1日あたり1人に提供される水の量は「1・5リットル入りペットボトル1本」だったという。
水に関しては、その後改善されたが、食事は朝、夜の1日2食で、朝食は非常用ビスケットと小さなパック入り野菜ジュース1本、夕食は「マジックライス」と呼ばれる温かい非常用ご飯1パックと、サバや鶏肉などの缶詰1つだけだという。
マジックライスは「ワカメ」「ゴボウ」「キノコ」「ドライカレー」の4種類から選べるという。
こうした待遇は、東電社員と協力会社社員とも一緒で、東電幹部も同じものを食べているという。
横田氏は「協力したいが基本的には事業者(東電)の問題。大変厳しい環境で作業に必要なエネルギーを得られていないと思う」と話した。
作業員は常時約400人。「約1週間おきに交代していると思われる」(横田氏)が、作業時以外は、原子炉建屋から数百メートル離れた「免震棟」と呼ばれる建物を拠点にしている。
下着など衣服も不十分で「着替えも難しい」(同)ほか、免震棟内は暖房が入っているとはいえ、夜間は毛布1枚づつしか与えられず、底冷えする中で眠っているという。
さらに、現地は基地局の倒壊などで、衛星回線を除き、固定、携帯電話ともつながらない状況。「作業員らは家族との連絡手段も断たれている」(同)。トイレの水は確保されているが、「手洗いに水が使えず、洗浄用アルコールを用いている」(同)という。
こうした環境の中、作業員からは愚痴などが聞かれるものの、作業の拒否などには至っていないという。
ただ、発電所内はテレビを全局見ることができ、24日に3人が被曝した事故のニュースでは、現場の放射線量の高さに衝撃を受ける作業員も多かったという。
横田氏は自身が5日間の現地確認中に受けた放射線量は計883マイクロシーベルトだったとし、胸部レントゲン約15回分の放射線量にあたる。
横田氏は「福島第2原発の作業員を第1に投入し、交代を促す」など、第1原発の作業員の過労や、被曝防止の対応が必要との認識を強調した。
安全管理?何それ?
東電の安全管理に疑問投げかけ 孫請け作業員が証言
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建屋の地下にたまった水で作業員3人が大量被ばくした東京電力福島第1原発で、実際に復旧作業にあたった孫請け会社の男性社員が30日までに共同通信の取材に応じ、被ばく事故現場に放射線量を管理する責任者がいなかったことを問題点として指摘した。
男性はさらに、汚染された水に足が漬かった状態で3人が作業していたことについても「普通は水の中に入って作業なんかしない」と述べ、東電の安全管理の在り方に疑問を投げかけた。
3号機タービン建屋地下で24日に被ばくしたのはケーブル敷設作業をしていた下請け、孫請けの3人。そのうち、作業をしていたのは孫請けの作業員1人で、下請けの2人は現場監督だった。孫請けの作業員ほど、危険が高い難作業を任される構図になっていた可能性もある。男性は3人が被ばくした事故の問題点として、近くに線量管理の責任者がいなかったことを挙げた。
現在、放射線量の低い場所の作業は一日8時間に及ぶこともある。作業員は全員、敷地内の免震重要棟で寝泊まりし、乾燥米や缶詰など1日2食、1・5リットルのペットボトルに入ったミネラルウオーター1本という過酷な条件下にいる。
男性は、東電が作業員を集めるために日当として1人数十万円を払うという新聞記事を読んだ。「そんなことはない。作業は何年もかかるし、多くの人員が必要だ。誰がそんな金を出すのか」とあきれる。
深刻な状態が続く1~4号機は廃炉になる可能性が高い。男性はずっと第1原発に携わってきた。「廃炉作業が終わるまでには50年くらいかかるのではないか。できれば最後まで作業を続けたい」と心情を吐露。近く、第1原発に戻るという。
2011/03/30 13:39 【共同通信】
2011年05月08日 求人と違い「福島原発で作業」
求人と違い「福島原発で作業」 大阪・西成の労働者
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日雇い労働者が多く集まる大阪市西成区のあいりん地区で、東日本大震災後、宮城県で運転手として働く条件の求人に応募した男性労働者から「福島第1原発で働かされた。話が違う」と財団法人「西成労働福祉センター」に相談が寄せられていたことが8日、関係者への取材で分かった。
センターは求人を出した業者側の調査に乗り出し、大阪労働局も事実関係の確認を始めた。支援団体は「立場の弱い日雇い労働者をだまして危険な場所に送り込む行為で、許されない」と反発している。
関係者によると、センターが3月17日ごろ、業者からの依頼をもとに「宮城県女川町、10トンダンプ運転手、日当1万2千円、30日間」との求人情報を掲示。応募して採用された男性は東北に向かった。
ところが雇用期間中の3月25日ごろ、男性からセンターに「福島第1原発付近で、防護服を身に着けがれきの撤去作業をしている。求人は宮城だったのにどうなっているんだ」と電話があった。
これを受け、センターが雇用終了後に男性や業者側に聞き取りをしたところ、男性が一定期間、防護服を着て同原発の敷地内での作業に従事していたことが判明した。
東京電力によると、原発敷地内では同社の社員以外に協力会社の労働者ががれき撤去や電線敷設などの作業をするケースがあるというが、センターは「男性の詳細な作業内容はつかめておらず、さらに聞き取りを進める」としている。
労働者らを支援するNPO法人釜ケ崎支援機構は「初めから原発と言ったら来ないので、うそをついて連れて行ったともとられかねない。満足な保障もない労働者を使い捨てるようなまねはしないでほしい」と話した。
あいりん地区は日雇い労働者が仕事を求めて集まる「寄せ場」としては国内最大とされる。同センターは大阪府が官民一体で労働者の職業の確保などを行う団体。
2011/05/08 23:28 【共同通信】
東芝協力企業の作業員が心筋梗塞により死亡
福島第1原発:東芝協力企業の作業員死亡 労災申請へ
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東芝(本社・東京都港区)の協力企業から派遣され東京電力福島第1原発事故の収束作業中に心筋梗塞(こうそく)で死亡した男性作業員の遺族が、「発症は短期間の過重業務が原因」として週内にも労災を申請することが11日、分かった。同原発事故の収束作業をめぐる労災申請は初めてとみられ、労働基準監督署の判断が注目される。【西嶋正信】
◇遺族「短期間の過重業務が原因」
作業員は5月14日に死亡した静岡県御前崎市池新田、配管工、大角信勝さん(当時60歳)で、タイ国籍の妻カニカさん(53)が、東芝の労災保険窓口となっている横浜南労働基準監督署(横浜市)に労災申請する。
東芝などの説明によると、大角さんは浜岡、島根原発などで作業経験があり、収束作業を請け負った東芝からみて4次下請けにあたる御前崎市内の建設会社の臨時雇いだった。
5月13日から午前6~9時のシフトで集中廃棄物処理施設の配管工事などを担当し、2日目の14日午前6時50分ごろ、特殊のこぎりを運搬中に体調不良を訴えた。福島県いわき市内の病院に運ばれ、午前9時半過ぎ、心筋梗塞での死亡が確認された。作業の被ばく放射線量は計0・68ミリシーベルトと少なく、被ばくの影響はないとされた。
一方、大角さんが体調不良を訴えてから病院に着くまで2時間以上かかるなど救急体制の不備が指摘され、以降、東電は現場に常時医師を配置する措置を取っている。東電、東芝からカニカさんに見舞金や補償は支払われていない。代理人の大橋昭夫弁護士は「大角さんは防護服とマスクを装着する過酷な環境で働いていた。命がけで作業に従事した大角さんにあまりに冷たい対応」と話し、遺族が証言する遺体の状況から死因もより詳しく調べてほしいという。カニカさんは「健康上の特段の問題はなかった」とも話し、東電と東芝に損害賠償を求めることも検討している。
労災申請について東電は「(大角さんの死と)業務との関連性は高くないと考えている」と話している。また東芝広報室は「労働と心筋梗塞との因果関係は不明で、今の段階では労災だったかどうかは判断できない」としている。
◇「危ないと知らず送り出した」と悔やむ妻
「危ないところとは知らずに夫を送り出してしまった」。大角さんの妻カニカさんは悔やむ。配管工として全国の原発を転々とし、溶接で作業服によく穴を開けて帰ってきた。福島へ行く前日の5月10日、カニカさんは新しい作業服2着と靴や帽子などを買い、旅行かばんに入れた。
11日午後8時ごろ、福島第1原発の宿舎に到着した大角さんから電話があった。
「寂しい?」
「現場は暑いから気をつけてね」
「僕を心配しないで、自分のことを心配しなさい。あと2年働く。お前は言葉(日本語の読み書き)も分からないから、2年後は一緒にタイで農業をしよう」。それが夫婦の最後の会話だった。
「いつも私をかばってくれる思いやりのある夫でした」とカニカさんは声を震わせる。「最後まで私のことを心配してくれていました。たった3日で死んでしまうなんて……」
15日朝、福島県内の警察署で夫の遺体と対面した。両耳が濃い紫色に変色、ほおやあごに傷があった。でも、病死とされ、遺族には何の補償もない。
カニカさんは弁当製造のパートとして働いている。朝5時に家を出て職場に向かい、帰りは午後7時、残業があると午後10時ごろになる。1カ月の手取りは13万円ほどだ。家にはテレビはない。「夫がいないと道も分からない」と心細さに涙する。「ただいま」「おう、お帰り」という夫婦の会話を思い出す。
今でもカニカさんは1人で暮らすアパートで「ただいま」と声をかける。でも、返事は返ってこない。
毎日新聞 2011年7月12日 2時30分(最終更新 7月12日 8時06分)
海江田氏「線量計つけると数値が出て作業できないから、作業員は線量計つけず作業してくれた」
労働安全衛生法違反を美談として称賛。
「線量計つけず作業、日本人の誇り」 海江田氏が称賛
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2011年7月24日0時15分
海江田万里経済産業相は23日のテレビ東京の番組で、東京電力福島第一原子力発電所事故後の作業に関連し、「現場の人たちは線量計をつけて入ると(線量が)上がって法律では働けなくなるから、線量計を置いて入った人がたくさんいる」と明らかにした。「頑張ってくれた現場の人は尊いし、日本人が誇っていい」と称賛する美談として述べた。
番組終了後、記者団に対し、線量計なしで作業した日時は確かでないとしたうえで、「勇気のある人たちという話として聞いた。今はそんなことやっていない。決して勧められることではない」と語った。
労働安全衛生法では、原発で働く作業員らの健康管理に関連し、緊急作業時に作業員は被曝(ひばく)線量の測定装置を身につけて線量を計るよう義務づけられている。作業員らが被曝線量の測定装置をつけずに作業をしていたのなら、法違反にあたる。厚生労働省は、多くの作業員に線量計を持たせずに作業をさせたとして5月30日付で東電に対し、労働安全衛生法違反だとして是正勧告している。
作業員の被ばく上限を引き上げようとする
検証・大震災:作業員、被ばく上限 首相「500ミリシーベルトにできぬか」
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◇「250」引き上げ3日後 安全確保、防衛相が阻止
自衛隊が東京電力福島第1原発の上空からヘリで放水した3月17日、東京・市ケ谷の防衛省に首相官邸から一通の文書が届く。タイトルは<線量限度の引き上げについて>。政府はその3日前、緊急作業時の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたばかりだった。それをさらに国際放射線防護委員会(ICRP)の基準に合わせて倍の500ミリシーベルトにする--。
第1原発は爆発が続き、高線量の中での作業が必要だった。作業員の安全を守る立場の厚生労働省にすれば250ミリシーベルトが「ぎりぎりのライン」。しかし、細野豪志首相補佐官(当時、現原発事故担当相)から「250では仕事にならない。役所をまとめてほしい」と要請を受けた長島昭久前防衛政務官は関係省庁にその意向を事前に口頭で伝えていた。
15日には第1原発から約50人を除いて「撤退」が始まっていた。菅直人首相は東電の撤退に怒りを募らせ、東電幹部に「決死隊になるんだ」と活を入れた。その後、周辺には「撤退すれば、アメリカが(事故収束のために)占領しに来るぞ」と漏らした。
「文書で正式な要請が来たか」。自衛隊員も直接、事故の収束作業に当たっている防衛省は、北沢俊美防衛相と内局上層部、自衛隊の各幕トップらが緊急会議を開いた。
250ミリシーベルトを超えると白血球数が一時的に減少する。500ミリシーベルトでは血液中のリンパ球が減って免疫機能が低下する。「500にすると発がん率が高くなる。そんなバカな話はない」「250と発表した後、すぐに500にするのでは何が安全か、現場は何を信用したらいいのか、ということになる」。反対意見が相次いだ。
同じころ、経済産業省原子力安全・保安院の幹部は、官邸からの要請に基づき、部下に「いつでも500ミリシーベルトに引き上げられるよう準備をするように」と指示した。放射線審議会を開いて省令を改正する必要があるため、審議会を所管する文部科学省との調整を進めた。
17日午後6時半すぎ、官邸に菅首相、北沢防衛相、海江田万里経産相、細川律夫厚労相、細野補佐官らが顔をそろえた。「500ミリシーベルトに上げられないか」と菅首相。北沢防衛相が「性急に上げるのは良くない」と述べた。
ICRP基準の「500ミリシーベルト」は人命救助が必要なほどの緊急時を想定している。「今後、巨大な爆発が起きてそのような事態が考えられるようなら国民に説明すべきだし、そうでないのなら引き上げる必要はないのではないか」。防衛省の総意が官邸に伝えられた。
菅首相は爆発の可能性は否定する。決定寸前で上限引き上げは幻に終わった。
未曽有の原発事故に政府内は混乱を極めた。その収束に向けた作業は、現場の「安全」と引き換えになっていく。
毎日新聞 2011年7月25日 東京朝刊
福島第一原発の40代作業員が急性白血病で死亡 東電「因果関係ない」
作業員が急性白血病で死亡=収束工事「因果関係なし」-東電・福島原発
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東京電力は30日、福島第1原発事故の収束作業に従事した男性が、急性白血病で死亡したと発表した。同原発での被ばく放射線量は累計で0.5ミリシーベルトで、東電は「収束作業との因果関係はない」としている。
東電によると、男性は8月上旬から7日間、同原発で休憩所の出入りや放射線量を管理する業務に従事。勤務を終えた後に体調を崩して入院し、東電は16日に死亡の報告を受けた。
勤務前の健康診断で異常はなかったという。被ばく量のうち、内部被ばくはゼロだった。(2011/08/30-12:25)
賃金のピンハネ
日当9000円――なぜ原発で働く人の賃金は安いのか
元作業員が「搾取」指摘 事故後の福島原発で働く
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事故後の東京電力福島第1原発で働いていた元作業員の男性(56)の体験を聞く懇談会が21日、日本労働弁護団が主催し東京都で開かれた。男性は「賃金をピンハネされ過ぎている」と話し、何層にもわたる下請け構造の中で中間搾取されることへの不満を訴えた。
男性は下請け会社の下、4月に4日間、放射性物質で汚染された水をためる施設で働いた。東電からは1日当たり5万円が支払われているはずなのに、下請け会社からは1万8千円しか出ないと告げられたという。男性は「あまりにも上と下と賃金が違う」と語った。
2011/09/21 21:26 【共同通信】
福島第一元作業員「賃金、手当ピンハネ」 労働局に訴え「多重派遣」も
2012年7月27日 07時03分
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東京電力福島第一原発事故の収束作業に携わった長崎県出身の元作業員男性(45)が二十六日、下請け上位の日栄動力工業(東京都港区)が職業安定法と労働者派遣法に違反する多重派遣をしていたとして東京労働局に訴え出た。二十七日には、多重派遣のほか約束された賃金が支払われていないとして、長崎県内の下請け会社四社を長崎労働局などに訴え出る。
男性は昨年七月一日~八月九日、福島第一で事故収束作業に従事していた。弁護団などによると、男性に仕事を紹介し、給料を支払っていたのは前田工業(長崎県松浦市)だが、放射線管理手帳上の所属会社は、大和エンジニアリングサービス(同県佐世保市)になっていた。
両社の間には、佐世保市の創和工業と福田工業が介在し、上には、日栄動力工業がある複雑な下請けの流れになっていた。
下請けを繰り返す中で、大和エンジニアリングは日当と危険手当の計二万四千~二万五千円を下請けに支払ったが、男性には一万千円しか支払われていなかったという。
男性は「何重もの下請け構造は不当だ。約束された日当も支払われず、危険手当もピンハネされた」と訴えている。
本紙の取材に対し、大和エンジニアリングは「請負契約であり、多重派遣ではない。下請け会社には危険手当を含めた金額を支払った」と説明。前田工業は「上にたくさんの会社があるとは知らなかった」と話している。
◆建屋外と事前説明/実は高線量要員
福島第一原発の収束作業で危険手当の未払いなどを申し立てる元作業員の男性は、本紙の取材に、原発の建屋外の作業だと説明されていたことや、被ばくの恐怖と闘いながらの作業だったのに正当な手当が支払われない怒りを語った。
二十キロの鉛板を入れたリュックサックを背負い、防護服に全面マスクを着け、1号機原子炉建屋の急階段をビル六階の高さまで駆け上がる。線量計の警報は鳴りっぱなし。緊張と息苦しさで心臓が破裂しそうになる。「早く終われ、早く終われ」。男性は心の中でつぶやき続けた。
昨年七月に携わった作業を男性が振り返った。建屋内にいたのは十分弱だったのに、二・四ミリシーベルトも被ばくした。一般人の年間被ばく上限の二倍以上もの線量だ。建屋内に局所的に線量が極めて高い場所があることなどが影響したとみられる。このほか男性は高濃度汚染水を処理するための配管作業など、被ばく線量の高い作業に当たった。福島第一での作業は一カ月あまりだったが、この間に計約一二・三ミリシーベルトも被ばくした。
原発作業員の被ばく上限は五年間で一〇〇ミリシーベルト。年平均二〇ミリシーベルトが作業員の手持ち線量だ。男性の場合、わずか一カ月で半年分を使ったことになる。
下請け会社も自社の社員が線量を使い切ってしまうと、次の仕事を取りにくい。そこで男性のように臨時の作業員を雇うケースが出てくる。男性は「自分が(被ばく線量の高い作業を短期で担う)高線量要員だったことを後で知った」と話し、「約束した賃金は少なくとも払ってほしい」と訴えた。 (片山夏子・東京新聞)
食事無償提供を打ち切り
東京電力が福島原発作業員の食事無償提供を打ち切り / ボーナス出るのに理解不能との声も
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2011年9月13日
現在もいっこうに収束の気配を見せない、福島原発事故問題。復旧の度合いのみならず現場で必死に復旧活動をされている作業員の方たちの健康も心配されるが、目を疑うような報道が本日発売の東京新聞に掲載されていた。
なんと、福島原発作業員へ東京電力から無償で配布されていたレトルトのカレーなどの食品提供を打ち切るというのだ。今後作業員は飲食物について福島県楢葉町にある活動拠点「Jヴィレッジ」で購入しなければならないというが、東京新聞を読んだネットユーザーたちは以下のような怒りの声をあげていた。
「ふざけるな、ピンハネも黙認しやがって」
「あのさー、あんたたちの尻拭いするために命懸けで働いてんのよ?自分たちはぬるい生活してるくせに、いい加減にしてくれないかな。あー< 足元見やがって猛烈に腹が立つ。」
「パンや魚肉ソーセージにレトルトのカレーって、ボーイスカウトのキャンプか。命張ってやってんだから、ステーキぐらい出しやがれ、モナ男!政治家さん、並びに東電さんとガッポリ儲けた株主さん、ポケットマネーで継続を!」
「ひどい…現場で命はってる作業員の人達は東電の奴隷じゃないぞ」
「東電は腐っている。」
「作業員さんへの食事くらい震災への義援金とかで仕出しとかを賄えないかなぁ。無理かなぁ」
また、その他にも「役員報酬や社員へのボーナスは出るのになぜ食事は打ち切るのか理解不能」との声もあった。確かに低い賃金で過酷な状況で頑張っている人たちに対し、あまりにひどい仕打ちと考える人が出るのは仕方のないことと言えるかもしれない。
これ以外にも真っ黒に塗りつぶした原発事故時手順書を国へ提出した問題や毎月の電気料金の値上げなどの東京電力の行為に対し、ネットの声を見ると多くの人が「国民をなめきっている」と思っているようだ。
協力企業の50代男性作業員が死亡 東電「被ばくと関係なし」
福島第1原発の作業員死亡 東電「被ばくと関係なし」
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東京電力は6日、福島第1原発事故の収束に当たっている協力企業の50代男性作業員が同日朝に死亡したと発表した。外部被ばく線量は2・02ミリシーベルトで、東電は「線量は低く、被ばくとの因果関係はない」と説明。死因については「公表するかも含め遺族と調整中」として明らかにしていない。
原発事故の収束に当たる作業員はこれまでに2人が死亡。東電はいずれも「被ばくとの因果関係はない」としている。
東電によると、男性は5日午前7時10分ごろ、協力企業の事務所で朝礼中に体調不良を訴えた。意識はあったが自力歩行はできない状態で、6日午前5時ごろに搬送先の病院で死亡した。
2011/10/06 20:25 【共同通信】
死因は敗血症性ショック 死亡の福島第1原発作業員
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2011.10.21 13:00
東京電力は21日、今月6日に福島第1原発で作業中に倒れ、死亡した50代の男性作業員の死因が、後腹膜膿瘍(のうよう)による敗血症ショックだったと発表した。
後腹膜膿瘍とは細菌感染などにより、腹膜に膿がたまった状態。免疫力の低下などで、細菌が全身にまわった可能性があるという。
東電は男性作業員について、被曝線量が2・02ミリシーベルトと低く、外傷もないことなどから、作業と死亡との因果関係はないとした。
協力企業社員の60代男性が作業中、心肺停止状態に→死亡
福島第1原発:60代男性が作業中、心肺停止状態に
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2012年1月9日 20時37分 更新:1月9日 21時13分
東京電力は9日、福島第1原発で作業をしていた協力企業社員の60代男性が作業中に倒れて意識を失い、心肺停止状態になったと発表した。この日の被ばく線量は52マイクロシーベルトだった。原発での作業に携わった期間や、これまでの累積被ばく線量は確認中という。
男性は同日朝から、原子炉冷却によって生じる汚染水処理で出た放射性物質の貯蔵タンク製造のため、コンクリートを流し込む作業をしていた。午後2時20分ごろ体調不良を訴え、同原発内の医療室で医師の治療を受けたが、回復しないため同4時半ごろ福島県いわき市内の病院へ搬送された。同原発ではこれまでに3人の作業員が病気などで亡くなっている。【野田武】
福島第1原発:作業中心肺停止の男性が死亡
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東京電力は11日、福島第1原発で9日に作業中に心肺停止となり病院に運ばれた協力企業社員の60代男性が死亡したと発表した。死因は急性心筋梗塞(こうそく)で、被ばくとの因果関係はないとしている。
東電によると、男性は昨年5月から同原発で作業し、累積被ばく線量は約6ミリシーベルト。9日は朝からタンクの製造作業を行い、午後に体調不良を訴えて病院に搬送されたが、同日午後5時ごろ死亡した。
同原発で亡くなった作業員は4人目。東電には11日午後1時ごろ男性死亡の連絡があったという。【関東晋慈】
毎日新聞 2012年1月11日 20時21分(最終更新 1月11日 21時06分)
除染作業の男性死亡 因果関係調査へ 福島・広野
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2012年1月17日21時15分
内閣府の原子力災害対策本部と日本原子力研究開発機構は、17日に広野町の除染モデル事業に携わっていた男性作業員(59)が倒れ、搬送先の病院で亡くなったと同日発表した。除染作業との関係を調べている。
同機構によると、男性は昨年12月20日から除染作業に参加。17日は午前9時から同僚6人と広野中学校付近で一緒に作業を始め、約3時間後、倒れているのを同僚に発見された。その直前までは、かがんだ状態で表土をはぎ取る作業をしていたという。
2012年07月26日 炎天下の下で汗を流している作業員を軽視し、現場に出ない東電社員だけを優遇
「気が狂いそう」な原発作業現場 冷たい水を飲めるのは東電社員だけ
週刊朝日 7月26日(木)8時36分配信
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福島第一原発(フクイチ)で作業員として働くジャーナリストの桐島瞬氏は「東電の行為は、殺人罪にあたる」と怒りを隠さない。
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7月初め、フクイチの免震重要棟(以下、免震棟)に大型冷蔵庫が運び込まれた。
「冷蔵庫の中には、ペットボトル入りの水が大量に冷やされていて、東電社貝がいつでも飲めるようになっていたんです。それを見て、フツフツと怒りがわいてきました。作業員が詰める1階には冷蔵庫もなく、みんな生ぬるい水を飲んでいます。いまの時期、原発構内の作業で流す汗の量は尋常ではありません。それなのに、現場にロクに出ない東電社員だけが冷たい水を飲めるなんておかしいです」(冷蔵庫の搬入を目撃した作業員)
「たかだか、水が冷たいかどうかで目くじらを立てることもなかろう」と思う読者のかたもいるかもしれない。だが、夏を迎えて作業員は放射性物質とは別の敵と闘わなくてはならない。それが熱中症、脱水症だ。
外気温が30度とすると、作業員は体感温度は50度にも達する。
フクイチの屋外現場に日陰はほとんどない。私も現場に出ると、あっという間に全身から汗が噴出し、全面マスクのシールドにポタポタと滴り落ちる。ただでさえ、視界が狭いのに、さらに周りが見づらくなる。カッパを着ているときなど、これでもかというほどの汗がマスクの中に溜まり始め、気温と湿度で、気が狂いそうになる。
なぜ、現場に出ない東電社員だけ冷えた水を飲み、炎天下の下で汗を流している作業員が生ぬるい水なのか。こうした現状をおかしいと思わないことに、東電の体質がよくあらわれている。
※週刊朝日 2012年8月3日号
フクイチの除染は東電社員専用スペースのみ 作業員は1年で7ミリ被曝
週刊朝日 7月26日(木)16時12分配信
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福島第一原発で作業員として働くジャーナリストの桐島瞬氏からルポが届いた。そこには過酷な作業現場の実情と、東電社員がいかに現場作業員を軽んじているかが克明に綴られていた。
* * *
東電は今年4月、免震棟の一部を「管理対象区域」から「非管理区域」に変更したと発表した。徹底した除染で、基準を下回る汚染レベルにしたと世間に知らせたのだ。実際、床から1.5メートルの平均線量は、1月10日は1.59マイクロシーベルトだったが、5月22日には0.43マイクロシーベルトまで下がっている。室内をきれいにしました。もう、作業員がここで大きく被曝する危険性はありません----と言いたいのだろう。だが、事はそう簡単ではない。
ここに隠された巧妙なゴマカシを見ると、「さすが、東電」と言いたくなる。
発表資料をよく見ると、「免震重要棟の一部を非管理区域として運用」と書かれている。「一部」がクセモノである。では、「一部」とはどこか。
実は、2階なのだ。除染したのは2階だけなのだ。東電社貝の専用スペースである2階だけを除染し、作業員が利用する1階は、依然として高い汚染度のまま放置しているのだ。1階はどの程度汚染されているのか。放射線管理員が解説する。
「免震棟の1階に1~2時間いるだけで、約0.03ミリ被曝します。1カ月に20日間働くと約0.6ミリ、1年で7.2ミリシーベルトも浴びてしまう計算です。そんな場所で食事や休憩をしなくてはならないなんて、バカげています」
別稿の冷蔵庫の件でもわかるが、東電社員だけが恵まれた環境に身を置き、協力企業に属す作業員たちの環境は過酷なまま......。東電はこの現状に疑問を感じないのだろうか。
※週刊朝日 2012年8月3日号
2012年11月01日 元原発労働者の男性が「安全対策を怠っている」と訴える
2012年11月01日
福島原発:「線量管理おろそか」元作業員、労基署に訴え
毎日新聞 2012年11月01日 20時51分(最終更新 11月02日 00時06分)
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東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事した福島県いわき市の元原発労働者の男性(46)が1日記者会見し、東電と作業を請け負った関電工(東京都港区)を労働安全衛生法違反に当たるとして福島県・富岡労働基準監督署に申し立てたことを明らかにした。男性は「高い放射線量下で安全措置がおろそかな状態で働かされた。少しでも安全な働き方を考えてもらえれば」と訴えた。
◇東電と関電工に是正求める
男性はいわき市の電器メンテナンスの会社に所属。東電が発注し、関電工が元請けとなった仕事の2次下請けだった。昨年3月24日に3号機のタービン建屋内で、電源ケーブルを敷設する作業に当たった。
申告書や男性によると、作業前に「線量が若干高いが作業に支障はない」との説明を受け、被ばく線量計を毎時20ミリシーベルトに設定して作業に入った。だが、実際には建屋地下には高濃度の汚染水がたまっており、数分で線量計のアラームが鳴り始めた。
東電の作業グループは地下の空間線量を測定し、「線量が毎時400ミリシーベルトを超えている」と現場から撤収したにもかかわらず、男性らの作業は続行された。男性は長靴を履いておらず、たまり水に危険を感じたことから地下での作業を拒否した。最終的に作業は全体で40060分行われ、関電工と1次下請けの3人は地下での作業を行い、1回の作業で1730180ミリシーベルトを、男性は11.15ミリシーベルトを被ばくした。
申告書では、関電工が高線量の場所にとどまって作業を続けさせるなど安全対策を怠ったこと、東電は違反行為を防止する措置を怠ったことが労働安全衛生法違反に当たるなどとして、線量管理のあり方の是正などを求めている。男性は「今年3月以降は会社から仕事もなく実質的に解雇された。原発の末端で働く者は危険な状態で働いていても訴える機会もなく、使い捨てられる」と述べた。
関電工は「詳細を知らないが、労基署の判断に従いたい」とコメントした。東電広報部は「非常事態に復旧作業にあたり高線量の被ばくをした労働者には申し訳なく思っている。労基署の求めがあれば真摯(しんし)に対応したい」と話している。【東海林智】
下請会社が除染手当を中抜き?
2012年11月5日7時6分
除染手当、作業員に渡らず 業者が「中抜き」か 福島
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【青木美希】政府が主導する東京電力福島第一原発周辺の除染で、現場作業員に税金から支払われる「特殊勤務手当」が本人に支給されていない事例が相次いでいることが分かった。元請けのゼネコンに続いて下請けがいくつも連なる多重請負構造の中で手当が「中抜き」されているとみられ、環境省は実態調査に乗り出す。
環境省は今年1月から作業拠点となる役場などの先行除染に着手。すでに18件(計35億円)を発注し、数千人が働いている。環境省は、通常の給料とは別に現場の線量や原発からの距離に応じて1日3300円~1万円の特殊勤務手当を作業員に支払う契約を元請けの11社・1組合と結び、手当分を含めて除染事業の予算を計上している。
ところが、ゼネコン6社が受注した1億円以上の先行除染の6件すべてで、作業員に手当が適正に支給されていない事例が朝日新聞の取材で見つかった。
複数の下請け会社幹部や作業員が「作業員に渡していない」「受け取っていない」と証言。「他の会社も払っていない。作業員に手当のことを知らせず、日当5千円で働かせている会社もある」と話す社長もいた。
除染特勤手当、作業員から「支払われていない」
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東京電力福島第一原発周辺で実施されている国直轄の除染事業を巡って、環境省は受注した事業者が現場作業員に支給する「特殊勤務手当」(1日あたり最高1万円)について、適切に支払われているかどうかの調査を始めた。
同省の除染事業の契約では、現場作業員に特殊勤務手当を支払うことになっており、その費用も含めて予算を計上している。手当は通常の日当に上乗せされ、額は線量の強さや原発との距離に応じて決められている。事業者は除染が終わり次第、手当の支払い状況も含めて同省に報告書を提出することになっている。
現場作業員から「手当が支払われていない」との声も出ており、同省は10月30日付で、事業者に手当の支給を徹底するように通知。同省によると既に終了した事業で不正は見つかっていないが、提出された報告書の再チェックも実施する。
(2012年11月5日13時24分 読売新聞)
原発周辺の除染手当「支払われず」…環境省調査
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東京電力福島第一原発周辺で実施されている国直轄の除染事業を巡って、現場作業員から「特殊勤務手当(1日あたり最高1万円)が支払われていない」との声が出ており、環境省は、受注した事業者が適切に支払っているかどうかの調査を始めた。
同省の除染事業の契約では、現場作業員に特殊勤務手当を支払うことになっており、その費用も含めて予算を計上している。手当は通常の日当に上乗せされ、額は線量の強さや原発との距離に応じて決められている。事業者は除染が終わり次第、手当の支払い状況も含めて同省に報告書類を提出することになっている。
長浜環境相は5日、「そういう状況があるとすればゆゆしき事態。私自身が元請けの責任者を呼び、直接事情を聞きたい」と、訪問先の福島県南相馬市で報道陣に話した。
(2012年11月5日19時26分 読売新聞)
東日本大震災:福島第1原発事故 「除染手当不払い」 環境省、指摘受け注意喚起
毎日新聞 2012年11月05日 東京夕刊
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東京電力福島第1原発事故の除染で、旧警戒区域と旧計画的避難区域(11市町村)に入って作業に関わった作業員に支払われる「特殊勤務手当」が適正に支払われていないとの指摘があり、環境省が元請けのゼネコンに適正な支給を求める通知を出していたことが5日、分かった。
環境省によると、除染に関わる作業員には、特殊勤務手当として、作業に関わった時期などに応じて1日に330001万円が国の負担で支給される。このことは、元請けのゼネコンと契約を結ぶ際の仕様書で規定されている。しかし、適正に支払われていない可能性を指摘する声が環境省に届いているため、10月30日付で、注意を喚起する文書を送付した。
除染関連の作業については、労働基準法に基づき、誰に対していくら支払ったかを示す「賃金台帳」を、作業完了後に環境省に提出するよう決められている。環境省によると、これまでに提出された賃金台帳では、不払いの事例は見つからなかったという。
環境省は「今までの範囲では把握していないが、不払いはあってはならないことなので、調査を進める」としている。
特殊勤務手当に関しては環境省の事故対策窓口で相談を受け付けている。連絡先は東京が03・6741・4535、福島は024・523・5391。【藤野基文、比嘉洋】
東日本大震災:福島第1原発事故 除染手当不払い、国が支給求める
毎日新聞 2012年11月06日 大阪朝刊
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東京電力福島第1原発事故の除染で、旧警戒区域と旧計画的避難区域(11市町村)に入って作業に関わった作業員に支払われる「特殊勤務手当」が適正に支払われていないとの指摘があり、環境省は5日、元請けのゼネコンに適正な支給を求める通知を出したことを明らかにした。
環境省によると、特殊勤務手当は、危険が伴う作業に対し、通常の労賃とは別に、除染作業に関わった時期などに応じて1日330001万円が国の負担で支給される。これは、元請けのゼネコンと契約を結ぶ際の仕様書で規定されている。さらに、作業完了後には労働基準法に基づき、誰にいくら支払ったかを示す「賃金台帳」を環境省に提出するよう決められている。同省は10月30日付でゼネコンに適正な支給を求める通知を送付した。
特殊勤務手当に関しては環境省の事故対策窓口で相談を受け付けている。連絡先は東京が03・6741・4535、福島は024・523・5391。【藤野基文、高橋秀郎】
2012年11月06日 原発作業員の給料DOWN→作業員の確保が困難に
福島原発作業員が辞めていく「給料下げられ食事も自前。危険なだけで生活できない」
2012/11/ 6 17:04
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高い放射線被曝を受けるかもしれないという恐怖と戦いながら、東京電力福島第一原子力発電所事故の処理に当たっている原発作業員。筆者の縁者も福島にいる。彼は事故が起きる前までは原発とは無関係の東電関連会社に勤務していた。
しかし、事故後は事故の緊急対応要員として福島に動員された。そして、現在はほぼ福島常駐という状態だ。どんな作業に従事しているのかと問いかけても、多くを語ろうとしない。話してはならないという雰囲気が伝わってくる。こうした中、原発作業員に離職者が相次いでいる。
月25万円が今じゃ20万円。除染作業の方が高い日給
キャスターの国谷裕子は「福島の事故は人類がこれまで経験したことのない事故で、廃炉までは40年かかるといわれています。しかし、廃炉作業要員は少なくなっており、廃炉にするための技術も人材の確保も見通しが立っていません」と語る。
ある現役の作業員は毎日車で2時間かけて現場に入る。途中の事務所で防護服に着替えるが、「現場に入るときは小走りで入りますが、30分作業をしたら1時間ぐらいの休憩を取らないと心配になります。この先、どうなるかまったく見えないので不安です」と証言した。別の中年の作業員も「毎日、周囲の作業員たちが辞めていく。それまでは無料だった宿舎から出ろといわれた。食費も自前でしろと通告された。去年(2011年)までは月に25万円もらっていた給料も、20万円前後まで減らされた。家族もいて、これでは生活できない」と嘆いた。
取材を担当した野津原有三(NHK社会部記者)は「以前なら作業員の月給は日給換算で1万5000円前後でしたが、いまは1万円前後まで減らされています。地元のハローワークなどを取材したところ、除染作業などの方が日給は高い。原発作業員を辞め、そうした職種に転職する人が多いようです」と伝えた。
東電幹部「このままでは原発作業に精通している人材いなくなる」
国谷「なぜ作業員の待遇が悪化しているのですか」
野津原「これまでは原発作業を直接受注する元請けと、その下に第1次下請け、第2次下請けとなっていました。これで何とか作業員の人材が確保されていましたが、この構造が崩れつつあります」
ある元請け企業幹部は「事故後、東電は競争入札を導入して厳しいコスト削減を求めてきた。うちの場合は3割の経費削減が行われ、スタッフの給料を減らさざるを得なかった」という。東電の幹部は「このままでは原発作業に精通している人材がいなくなる。若い人材を確保して教育し、一人前の作業員に育て上げればならないが、状況は厳しい」という。
国谷が「危険な作業と待遇の悪化、この連鎖を断ち切る方法はありませんか」とゲストの中央大学法科大学院・安念潤司教授に聞く。「まず危険を顧みず作業に当たってくれている作業員に感謝の気持ちを忘れてはいけません。作業員の賃金を確保することが重要ですが、そのためには電気料金の再値上げか税金の投入かの2つしかありません。電力会社も資産の売却や経費の削減に取り組む必要があり、何よりも国が原発を今後どうするかを早急に決めることが重要です」
原発を廃炉にするための作業員すら確保が難しくなっているのに、さらに新設・再稼働をすすめようという政府、自民党は、本気でそれが可能だと考えているのだろうか。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2012年11月5日放送「原発作業員が去っていく 福島第一原発『廃炉』の現実」)
国から支払われた特殊勤務手当(危険手当)がピンハネされていた
除染作業員 怒りの訴え 「危険手当ピンハネされた」
2012年11月26日 朝刊
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東京電力福島第一原発の収束作業をする作業員や除染作業員を支援しようと、労働問題に取り組む「被ばく労働を考えるネットワーク」が二十五日、福島県いわき市で第一回の相談会を開いた。除染作業員の男性らが訪れ、「国から支払われた特殊勤務手当(危険手当)がピンハネされている」と訴えた。
労働相談に訪れたのは、福島県田村市の国が除染を進める地域で、除染をした青森県の五十八~六十一歳の男性作業員五人。男性らは九月から約二カ月、約八百人の作業員とともに山の草刈りなど除染作業をした。国が除染を進める年間放射線量が高い地域では、危険手当が一日一万円ほど出るが、五人には支払われていなかったという。
五人は大手ゼネコンの三次下請け会社に勤務していた。「危険手当があるのを知った時は驚いた。どこでピンハネされているか分からない。健康診断も除染の講習も自費。当初はマスクの支給もなかった」と説明した。
会場では、阪南中央病院の村田三郎副院長が原発作業員らの被ばく問題について講演。「長期にわたる作業員の徹底した被ばく線量と健康管理が必要。被ばくとの関係が否定できない健康被害が出た時は、国と東電が補償すべきだ」と話した。
会場では生活相談も行われ、避難生活をする人や地元住民も訪れた。大熊町の女性は「収束作業をする作業員は、国が年金まで補償すべきだ」と話した。
2013年07月31日 賃金抑制のため、十八歳未満の少年を働かせる
福島県棚倉町の除染会社社長加藤正勝容疑者(53)
福島県郡山市の別の除染会社社長富岡美起夫容疑者(34)
少年に除染させた疑い 福島、2社長逮捕 賃金抑制目的か
2013年7月31日 夕刊
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東京電力福島第一原発から二十キロ圏内の除染業務で、十八歳未満の少年を働かせたとして、福島県警は三十一日、労働基準法違反の疑いで、同県棚倉町の除染会社社長加藤正勝容疑者(53)と、同県郡山市の別の除染会社社長富岡美起夫容疑者(34)を再逮捕した。
少年の日当は成人より安い六、七千円程度だったとみられ、県警は両容疑者が、賃金を抑えようとしていたとみている。
再逮捕容疑では、共謀して二〇一二年十一月、二十キロ圏内にある同県川内村の避難指示解除準備区域の山林で、当時十六、十七歳の少年四人を十八歳未満と知りながら、除染業務に従事させたとされる。労働基準法では、十八歳未満に、有害な放射線にさらされる業務に就かせることを禁じている。
加藤容疑者は容疑を認め、富岡容疑者は「十八歳未満とは知らなかった」と否認している。
両容疑者は、同県田村市内で少年に除染させた疑いで逮捕されたが、福島地検郡山支部が三十一日に処分保留で釈放した
2013年08月12日 熱中症対策のミストが放射能汚染水でした(テヘッ☆
2013-08-12 15:51
福島第一 10人放射能汚染 顔面に最大10ベクレル/3 水源閉鎖
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12日午後0時33分ごろ、東京電力福島第一原発内で、バスを待つために重要免震棟前にいた10人が、熱中症対策のミスト(霧状の水)をあびて放射能汚染した事故について、東電は汚染源が疑われるミスト発生装置の水源を閉鎖した。
この水源からの水は、重要免震棟や5、6号機のトイレなどにも使われており、福島第一原発では午後1時16分に、手洗いの水などの使用を禁止している。
また放射性物質による身体汚染が確認されている10人については、頭や顔面に最大1平方センチメートルあたり10ベクレルの汚染が確認されたことから、ホールボディカウンターによる検査を指示したとのこと。
2013年10月16日 劣悪な労働環境
下着とマスクから他人の異臭…福島原発作業員の劣悪待遇
2013年10月16日 掲載
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今月に入り、福島第1原発で立て続けにトラブルが起きている。ほとんどが「タンクにゴムパッドを置き忘れた」といった単純ミスだが、原因は作業員の人手不足と士気の低下だ。事故の年は3万円近かった日当が今では半分以下に。なのに、国と東電が「急げ、急げ」とプレッシャーをかけるから、ミスが増えるのも当然だ。
士気の低下はカネのせいだけじゃない。福利厚生面の待遇悪化が作業員のやる気をそいでいるという指摘がある。
以前は線量オーバーで離職した作業員は、無料で健康診断や人間ドックを受けられたが、今ではよほどの高線量を被曝(ひばく)しなければ認められないという。作業員の取材を続けているジャーナリストの布施祐仁氏が言う。
「東電のコストカットで、事故直後は温泉旅館やホテルだった作業員の宿がプレハブみたいな仮設住宅になりました。しかも個室ではなく相部屋がほとんど。これではプライベートを保てないし、疲労回復は望めないでしょう」
作業員は床にマットを敷いただけのプレハブ内で雑魚寝をして休憩する。全面マスクと防護服で包まれた作業員はいつも汗でビッショリ。そんな男たちが集まれば、異臭もするし食事どころではなくなる。しかも、以前は新品の下着が毎日支給されていたのに、今は洗濯して再利用するようになった。他人の臭いが残っている場合があるという。
<ムワッと漂う男臭で仕事どころじゃない>
「作業員が口を揃えて『クサイ』と訴えるのがマスクにこびりついた臭いです。呼吸口のフィルターは毎回交換しますが、ヘルメット部分は事故直後から使い回しているものがあるそうです。かぶった瞬間、ムワッとした男の臭いで息苦しくなるといいます」(布施祐仁氏)
福島原発はただでさえ危険な現場だ。給料が安いうえ環境が不衛生では、腕のいい働き手が集まらなくなるのは当然といえる。蟹工船みたいな労働環境の改善は喫緊の課題だ。
よそサイト様まとめ
半数が偽装請負?あり得ない状態で働く原発作業員たち - NAVER まとめ